2327 2018/01/30アラカルト②

琵琶鯉
余命翁様、スタッフの皆様、そして全国の同士の皆様、日本再生への御働きありがとございます。
さて、昨年の衆議院選挙において自民党がどうにか勝利いたしましたが、今地方において、衆議院選挙で国民にNoを突き付けられた旧民進党(希望の党、立件民主党)の落選国家議員達が、その知名度を利用して、無所属という名のゾンビの如く蘇ってきております。 ほんとに心から地域の事を思い、少しでも住民の為に働くつもりなら構わないのですが、自分のためだけの理由(中国、韓国のため、在日の為に働く)ような人間が自治体の長になるのは、絶対に反対です。
今年は、全国の市長選挙が軒並みあります。是非、皆様、市長に立候補する方々の政治信条と実績を確認してください。
そして、この事を拡散をお願いします。

らいむ
皆様の深い洞察、鋭い意見を拝見してすごいなぁと思い、いつも心引き締まる思いで読ませて頂いています。
今回コメントしようと思ったのは、前に話題になった、GATE彼の地にてかく戦えりをラジさよ(テレビではなくラジオなので)の夫にDVDで見せた事に刺激を受けたらしく原作の漫画を買ってきたからです。
まだまだ覚醒にはほど遠いですが拒否感は無いみたいです。
ただ、学生時代に高待遇でバイトしていた毎日新聞(代々国立の医学部歯学部で受け継がれる)の悪口は禁句ですね。
家庭内での言論弾圧、結構キツイですが頑張ります。
おバカな話ですみません。
本間 敬一
「月刊余命三年時事日記」を予約するには、どのようにすればよいのですか?

.....現在、出版担当が準備している。2月10日過ぎにはお知らせできると思う。

ミカンの実
日本が大好きです。ミカンの実です。五十六パパさん、ありがとうございます。余命様スタッフの皆様、本当にいつもありがとうございます。(皆さんのこと、大好きです。)
本買います。注文は、ネット上に注文書が出て来て印刷して、それにお金を添えて郵便書留で送ればいいのでしょうか?
Amazonみたいにネット上で注文できてクレジット決済できたらいいのですね。(個人情報の扱いなどが大変かもしれませんが。)どのような形になるのかとても楽しみにしています。これからのことですけど、私、できれば毎月、(うずしお)か(ヤマト)に、三千円寄付していきます。ほんの少しですけど、寄付するの楽しいです。
正直なところもっと貧乏になると覚悟していたのですが、生活レベル下げることなく楽しく本を買ったり、寄付ができていたりしています。Kの逆法則で、豊かになっていってます。もっと豊かになる為に頑張りますね。

団塊
月刊余命三年時事日記の入手方法を教えて下さい。
余命本は買って読んだりしておりますが、余命ブログは時々覗いているくらいです。
私は団塊の世代ですので、それでも目からウロコがどっさり落ちました。

 

勃ちあがれ日本人
「平壌」五輪とやらに総理が訪朝されるそうですね。
是非両論あるようですが(賛否ではない。賛成は此処では一人も居ないと思うからw)個人的には行っても良いと思います。
南チョンに呼びつけられ、国家間の合意を覆しても日本は受け入れるという「間違ったメッセージを伝えに行く」みたいで腸が煮えくり返り、怒髪天を衝く方も多いのでしょう。余命読者はインテリジェンス高い方々なので、心配することはないのですが、周りで目覚め始めた方が居て、怒りに我を忘れているようなら、「だがちょっと待って欲しい(笑)」なのです。
安倍ちゃんは「合意を再検討しましょう」などと一ミリも言わないでしょう。ブンブン大統領に「おめえ分かってんのか?」と釘刺しに行くだけです。
総理が五輪に行こうが行くまいが日本政府は「合意の誠実な履行を求める」を言い続けて、現状は変わりません。(多分)
この結果どうなるかを考えてみましょう。
間違ったメッセージ?上等です。
間違ったメッセージとして受け取ってくれた方が良いのではないでしょうか?
「安倍が臣下の礼を取りに来たニダ」などと調子こいて五輪を終えて、侮日をエスカレートさせていく蓋然性が高いです。
安倍ちゃんとしては2Fや煎餅に「あんたらの顔立てたぜ」と責められる口実を無力化でき、内政で足を引っ張られるリスクを減らせます。
南鮮は、最悪の敵です。「味方の顔をした敵」「被害者に成りすました敵」のままで居続けるからです。五輪に総理が行くことで南鮮の化けの皮が剥がれやすくなるなら、その方が良いのです。
余命を私が支持しているのは、討つべき敵の優先順位に国内を筆頭にしているからです。その順序が正しいと思うからです。
また、炙り出しと呼んで「味方の顔をした敵」を「敵の顔をした敵」に判別して「討つべき大義名分」を確保する事を第一にしているからです。
皆さんも私も腹に入らないでしょうが、米国が「誰が見ても明らかな形」で南鮮を見限り、北朝鮮の様に「敵の顔をした敵」になり、日本が叩いても誰もが当たり前と思うようになる時が分水嶺です。
今は、その時ではないと思います。
特亜は華夷秩序と儒家思想を捨てきれないので「日本を見下す衝動」「上の者は下の者をひどく扱う衝動」を抑えきれないバカです。
その衝動の儘に振舞いはじめ、身を亡ぼすのは近いでしょう。
所詮、外の敵です。工作員を使って内部から仕掛けるか、戦争で直接叩くかしか排除できませんが、今の日本には両方とも無理なのです。
「その時」までは、憲法改正も含めた内政の充実と獅子身中の虫排除に協力するのが賢明だと思います。

 

八咫烏
前回の投稿を採用いただきありがとうございました。その内容である安倍総理ヒラマサ開会式出席、「なんでなんだろう」とずっと引っかかってばかりでした。あまりにも違和感がありすぎる。
で、ふと「自衛艦の港湾進入をもぎ取ってくるつもりなのかな?」と思ったのです。拉致被害者の件だけでなく、有事の際に邦人を避難させるのに自国艦を派遣するのは当然ですが現状韓国が自衛隊の入国を拒否しています。その交渉材料として開会式参加をぶら下げたのか?と推測しました。
で、更にふっと「ん?もしかしたら“総理という身分の人間が行けば連れて行ける誰か”を半島に乗り込ませるのが目的とか?」と思ったのです。
…もしそうなら誰だろう、と。
ずーっとぼんやり考えて某News U.S.さんを開いてあっ!となりました。まとめられた書き込みの中に
「日本の総理大臣が政府専用機という航空自衛隊の飛行機と自衛官のパイロットとCAで南朝鮮に乗り込むぜw」
という一文が。これか!となりました。
以下の推測はもし差し障りがあればこの投稿ごと削除なさって下さい。
この政府専用機に乗り込んでゆく自衛官に、連絡を取らせるつもりなのではないでしょうか。拉致被害者の方、もしくはその関係者と。
更にこれは願望でしかないのですが、全員とは言わなくとも拉致被害者の一部だけでも直接、政府専用機で救出するつもりなのではないでしょうか。
願望です。北ではなく南に行くのだから限りなくその可能性はゼロに近いでしょう。
だけど綱紀がどんどん緩んでいるように見える北からの脱出、南進も、大量に物量としての人員移動をせざるを得ない北朝鮮五輪参加で成功の確率は飛躍的に上がります。そして政府専用機は即ち動く大使館です。その内部に他国の人間なんか入れるわけがないしこれを攻撃なんか絶対に出来ません。ましてや一緒に乗り込むのは日本国首相なのです。これ以上安全な「帰国ルート」なんてはっきり言えば無いでしょう。
これか?まさかのウルトラCを狙ってしかも実現させる気なんか安倍ちゃん?
昨日からこの妄想がぐるぐるして仕方ありません。
月刊ハナダで安倍総理にロンクインタビューしたジャーナリスト、有本香さんがおっしゃっていましたが、「政府内の親韓勢力の圧力に負けて参加表明したわけではなさそうだ」とのこと。彼女は「米国から打診されたのだろう」と言っていました。ただこうもおっしゃっていました。
「総理がどんな表情だったかをお聞きしたんですが、“やる気が漲っている”という時の表情だった。(中略)今回も夕刊フジの見出しではないが、“オレが行って言ってやるんだ”と、そういうかんじはある。」
つまり、【誰かから無理強いされたわけでは決してなく自分から能動的にアクションを起こそうとしている】わけです。
私が木曜の朝これを聞いて引っかかった複数の、【なぜ】【今】【しかもこのタイミングで】に説明がついてしまうんですよね。妄想ですけど。ええそりゃあもう妄想ですけれども。
安倍総理の地元下関は近いから知っていますが【朝鮮自治区】です。駅前に何があるか知ったらここにいらしてる皆さん憤死しますよ。私も初めて見た時開いた口が塞がらなかった。現市長の前の市長は正真正銘の朝鮮人です。神田小学校卒業というのはイコール朝鮮人なんですよ。親父のシンタローの秘書が晋三氏の政治家としての出発点で、だからこそ下関という土地を通じて彼は朝鮮というものがどういうもんなのか知り尽くしています。(これは有本さんもおっしゃっていました)そして彼の発言にもあったのですが、政治家として強い想いを喚起させたのが拉致問題でした。絶対に自分が解決する、という言もどうやら真実の思いから出たもののようです。
その安倍晋三がこの不可解極まりないタイミングでこんな発言と行動をする。その目的はもしかしたら…と、思わずにいられない。
国際問題です。こんな事をしでかせば多分、日本が非難轟々でしょう例え何十年と誘拐されていた自国民を救出した正義の行動であったとしても。わかっていますがでも…と。思ってしまう私も甘ちゃんなのでしょうね。
最初から最後まで徹頭徹尾妄想でお贈りしました今回の投稿、翁様どうぞ思う存分ボツになさって下さい(笑)長文失礼致しました。月刊余命の続報をお待ちしております。
八咫烏

 

日本に恩返し
余命爺様、スタッフ様
安倍総理がはたして、暗殺のリスクを承知で、慰安婦合意の履行を求めるためだけに韓国に行くでしょうか?
それでも行く理由は、アメリカが安倍総理に訪韓を指示したとみるべきではないでしょうか。
行き過ぎた対北朝鮮融和策にくぎを刺したいアメリカが安倍首相に同行を求める、その見返りは何なのでしょうか。
また。安倍総理が暗殺リスクを承知の上、韓国に出張る日本の国益に合致することは何かと考えると、朝鮮有事の際、在日米軍が竹島を利用し(韓国の警備隊は撤退または撃退)、戦略物資の補給と、韓国消滅後の西側陣営が、中国に飲み込まれた朝鮮半島に対峙する日本海の要衝である竹島の日米による共同管理もあるのではないでしょうか。
そして、考えたくもありませんが、安倍総理とペンス副大統領の両名が暗殺された場合、北朝鮮への開戦の大義名分ができる。
いくらお花畑の日本国民でも、韓国、北朝鮮に対する怒りが一気に爆発、日本国内の除鮮の導火線となる人柱を覚悟の上での、安倍総理の訪韓のような気がします。
したがって、反日活動を行ってきた朝鮮総連や韓国民団の皆さんは、安倍総理の訪韓時の暗殺を全力で阻止しないと、日本にいる自分たちは本国に帰還せざるをえなくなるでしょう。
居座れば殲滅は必至。終戦時のような朝鮮進駐軍のような恫喝・乱暴狼藉は、今の自衛隊相手では通用しないでしょう。
安倍総理のみが、訪韓の深層を知るですが、興味深いブログがありましたのでご紹介します。
政治ブログ:祖国創生
首相訪韓の黒幕・日韓合意の黒幕・慰安婦問題の黒幕 みんな同じだった?(その1)
ttp://sokokuwanihon.blog.fc2.com/blog-entry-843.html
———- 以下転載 ———-
安倍首相の訪韓。暗殺リスクがあることを確信している。
それは、北朝鮮系だと皆様思われているだろうが、実はそうではないようだ。
正確には、何者かに指示された北朝鮮系を装う人物と書くべきだろう。
それを説明すべく、情報収集している。
なぜそうするのか?
多くの政治家、言論人が、安倍首相の訪韓反対は表明するものの、その背景にある真相分析を試みようとしないからである。
私も首相の訪韓には反対である。心情的には絶対反対。
しかし、安倍首相がもし世界支配層の指示を受け、やむなくそう判断、行動している場合、政権支持する我々が今為すべきことは何であろうか?
———- 以上転載 ———–
安倍総理暗殺のリスク
————以下転載 ———-
①仮に、訪韓した日米の二人が暗殺された場合、アメリカは、北朝鮮工作員の仕業であるとし、それを口実に開戦を決断するかもしれない。(米朝開戦の大義名分が出来たということ)
②仮に、訪韓した安倍首相だけが暗殺された場合、暗殺を指示した黒幕は、イスラエルの首都移転に係わる日本政府の対応への………………
③または、慰安婦問題の処理が「最終的かつ不可逆」なものでなければ困る、慰安婦問題の黒幕が、安倍首相に慰安婦問題に係わる対応を一任しているという見方もできる。
③のみが、首相が韓国から無事帰還できるシナリオである
———– 以上転載 ———-
安倍総理が無事に帰国することを切に願っています。  (日本に恩返し)

ma
余命翁様、年賀状ありがとうございました。
また、日本国内の半島由来の反日の方々と反日日本人及びその組織の日々の炙り出しありがとうございます。
これらの反日の背後には、もちろん半島がいることが明らかですが、そのまた背後には当然支那共産党が控えていることも明らかです。
1月23日に参議院議員会館にてSMGネットワークの発足式があり、縁あって出席致しました。発足式には、カナダ人弁護士のデービット・マタス氏、カナダ元国務大臣デービッド・キルガー氏、イスラエル心臓外科医ジェイコブ・ラヴィー医師がスピーカーとして参加され、山田宏議員と城内実議員が発言されていました。
今最優先すべきは余命翁様が推進して頂いておりますことであることは明らかですが、大本である支那共産党にも打撃を与えることが必要と思います。支那共産党に最も打撃を与えられるのがこのSMGネットワークが扱っている事項だと思います。
個人的には、より多くの日本人に拡散すべきだと思います。この支那共産党が最も隠したがっている重大なる秘密の一つを多くの日本人が知ることが、支那共産党に大打撃を与えることになると思います。
余命ブログの趣旨とは違う、ということは私も理解しておりますが、もし、可能であればアラカルトに出して頂けますと、発足式に出た意義もあったことになります。
なお、SMGネットワークの事務局長様には、とあるブログへの転載の許可を得ております。
SMGネットワーク
ttp://smgnet.org/http://smgnet.org/
設立趣意書
中国における不正な移植臓器売買は、間違いなく今世紀最大の国家犯罪の1つであると言えます。国際的な人権規範が確立されつつある今日に於いてなお、同国では「良心の囚人」から――多くの場合、生きたまま――臓器を抜き取り、共産党幹部とその一族、そして国内外の富裕層の需要に応じて提供する生体ビジネスの蛮行が半ば公然と、そして現在進行形で横行していることが判明しています。
これらの事実は、世界的に名を知られたカナダの人権弁護士と閣僚経験者両名による10年以上にわたる調査、そしてアメリカ人ジャーナリストによる120名以上からの聴き取り調査、実際に施術にあたった後欧州に亡命したウイグル人医師の証言等々、確度の高い数多の証拠によって裏付けられたものです。
中国側はこれら移植に用いられた臓器の出所を「死刑囚から」と説明してきましたが、中国で年間に実行されるといわれる死刑数と移植手術数はまったく釣り合っていません。中国政府の公式発表によれば国内で実施される臓器移植は年間約1万件ですが、最新の調査ではその6倍から10倍の件数が推定され、思想信条上の理由で捕らわれた「良心の囚人」の生命が万単位で奪われている可能性が指摘されています。
では、毎年万単位で闇に葬られている「良心の囚人」とは一体誰か――?
その大部分をなすのが、ウイグル・チベットなどの少数民族、そして無実の罪で逮捕された法輪功の修煉者や他の宗教者であると考えられています。米国務省の国別レポートによれば主に思想犯や政治犯を収容する中国の労働収容所には25万人が囚われていますが、中国事情に通じた外国人のなかにはその半数以上が法輪功の修煉者であると指摘する人もいます。そして、この労働収容所こそが需要に応じて提供を行う〝生体臓器バンク〟の供給源であると考えられているのです。
およそ現代社会ではあり得ないようなこの悪徳行為に対し、国際社会の監視の目も日々厳しくなっています。直近では昨年6月、米下院議会が「移植臓器販売の目的で宗教犯・政治犯を殺害することは言語道断の行為であり、生命の基本的権利に対する耐え難い侵害である」として、「すべての良心の囚人からの臓器移植を即刻停止することを中国共産党に要求する」などの条文を含む6項目の決議案343号を採択しました。米国に先駆け、2013年に欧州議会で決議案が通過しています。各国議会でも「魔の行い」である中国の「臓器収奪」を停止させようと、非難決議や調査請求が相次いでいます。イスラエル、スペイン、イタリア、台湾ではすでに法規改正を実施し、自国からの「移植ツーリズム」を厳しく取り締まっています。
このような世界情勢のなか、独り日本だけが現在進行形の「魔の行い」に手をこまねいていて良いのか――。良いはずがありません。なぜなら、中国はわが国の隣国であり、我々もこの生体ビジネスの一環に、知ると知らざるとを問わず、既に加担してしまっているからです。
既に日本から数百人に及ぶ患者が中国に渡り、移植手術を受けた――という関係者の証言があります。移植を行う中国東北地方の幾つかの大規模病院は日本人患者を主な顧客に想定した病床を備えていたことも判っています。また、最新報告によれば、執刀にあたる多くの中国人医師が日本で最先端の移植技術を学んで帰ったことも判明しています。
私たちは、現在なお中国で行われている臓器収奪と売買を直ちに全廃することを求め、ここに「中国における臓器移植を考える会」を結成し、関係各所に対し、以下のように働きかけてゆく所存です。
•私たちは、現在進行形で続いている中国の臓器収奪犯罪に関し、この重大な人権問題を広く日本国民に周知させるため、多くのメディアがこの問題を取り上げるよう、働きかけていきます。
•私たちは、かつてなき邪悪な迫害である臓器収奪を即刻停止するため、中国に対し非難声明を発表するよう、日本政府に対し働きかけていきます。
•私たちは、臓器移植目的の日本国民が中国への渡航を禁ずることの法制化を求め、議会へ働きかけていきます。
•私たちは、例え間接的にであれ、日本の先端医療技術が中国における「良心の囚人」からの臓器収奪に加担しないよう、日本の医学界と関連各界に働きかけていきます。
2018年1月
中国における臓器移植を考える会
発起人代表/加瀬英明
(ma)

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2326 ら特集新潟弁護士会⑥

新潟県弁護士会
ttp://www.niigata-bengo.or.jp/

憲法改正国民投票法案に反対し、十分な国民的論議を求める決議
現国会では、憲法改正に関する国民投票法案が与党および民主党の双方から提出され、本年5月3日までの成立を目指すとして、修正協議等がなされている。しかしながら、その各修正案を含め、双方の法案には重大な問題がある。
そもそも憲法は、国の基本原則を定めるのみならず、国家の権力を制限し国民の人権を保障するため、そのよりどころとして制定されたものである。したがって、その改正は、国の基本原則と国民の人権保障の変更につながる。まして、一部で取り沙汰されている憲法の全面改正は、現在のわが国の成り立ちと人権保障の全面的な変更となるのであって、それは明治維新や戦後民主化にも匹敵する大改革である。
加えて、現行憲法は、国民自身、政府による戦争の惨禍に苦しみ、また周辺諸国民に対し多大の被害をもたらした反省に立って、侵略と戦争を捨て平和に徹し、民主主義を確立し、人権保障を貫く固い決意をもって、制定されたものである。
憲法の改正は、このような国と国民の自由や人権のあり方の変更につながるものであるから、国民の十分な理解と熟慮の上、将来の世代と世界に対し、重い責任をおって慎重に行うべきである。
こうした観点からすると、与党案および民主党案(その各修正案を含む)には、次のとおり重大な問題があり、看過することはできない。
第1に、憲法改正が国民の少数の判断で決定されるおそれのあることである。
与党案および民主党案は、ともに国民投票の最低投票率に関する規定を置いていない。その結果、たとえば投票率40%の場合には、投票権を有する国民の5分の 1程度の賛成で憲法改正が可能となる。これは、憲法の重要性、その改正の重大性に鑑みて極めて不合理であり、両法案はその基本的な制度設計において、重大な欠陥を有している。
第2に、自由で公正な国民の意思の形成が妨げられるおそれがある。
テレビ・ラジオ等のマスコミによるCM広告の影響力は大きい。これらを利用した広報は巨額の費用が必要であり、その利用は資金力によって大きく左右されてしまう。しかし、両法案は、政党の広報活動については定めるものの、それ以外の個人・団体が行う広報活動については何ら言及がない。これでは、マスコミの有料広告が資金力のある個人・団体に独占され、自由で公正な国民の意思形成が妨げられるおそれがある。
したがって、一定の公的ルールを設け、著しい情報格差を生じない配慮がなされるべきである。
第3に、国会の発議後、国民投票までの期間が短いため、国民の間で活発な議論と熟慮ができない。すなわち、両法案とも発議後60日以降180日以内に国民投票を実施するとしている。
しかし、憲法改正の具体的な内容は国会の発議によって初めて確定するところ、国のあり方を左右する重大な問題について、国民の間で活発な論議をし、主権者一人ひとりが熟慮して決断するには、「60日以降180日以内」はあまりに短い。
また第4に、国民の意思を正確に反映しないおそれがある。
両法案ともに、投票方法を国会に全面的に委ねている結果、一括投票の余地を残している。しかし、国民の意思は、少なくとも主要な争点ごとに、明らかにされるべきであり、その意思を正確に反映する制度が不可欠である。
さらには、憲法改正には国民の活発な論議が必要であるが、両法案は、この点でも問題を残している。公務員と教育者(教育関係者)全般について、「影響力または便益」を利用した国民投票運動を禁止しているからである。
国民投票運動の制約は、投票関係者などについては合理性があるものの、大部分の公務員や教育者には、むしろ自由な言論こそ保障されるべきである。安易な禁止は、公務員らの人権ひいては国民的な論議に配慮を欠くものである。
以上のとおり、現在の与党案および民主党案とも看過しがたい問題があり、その修正協議の状況を踏まえても、当会は、両案に反対せざるを得ない。
よって、国会においては、憲法改正にかかる国民投票法案の審議にあたっては、今国会の成立にこだわらず、国民的論議を十分尽くすよう求める次第である。
2007年(平成19年)2月28日
新潟県弁護士会臨時総会

教育基本法改正に関する会長声明
現在開会中の第165回臨時国会において、教育基本法の改正が審議されており、政府は、これに最優先で取り組むとしている。
しかしながら、教育基本法の改正は国民的な論議のもと、慎重に行うべきであり、当会は、現在審議中の教育基本法改正案に反対である。
1.教育基本法の改正については、国民的議論が十分なされていない。
教育基本法は、憲法が保障する教育にかかわる基本的人権を実現するために定められた教育法規の根本法である。同法は、前文において、「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。」「ここに、日本国憲法の精神に則り、…この法律を制定する。」と謳っている。すなわち憲法を受けて制定された準憲法的な性格を有しているのである。
また、個人の尊厳を重んじ、子どもが基本的自由の保障のもとで学び成長する権利を保障している同法は、 1989年国連で採択された子どもの権利条約の理念に沿うものである。すなわち、同条約は、子どもの教育は「人権及び基本的自由並びに国際連合憲章にうたう原則の尊重を育成すること。」を指向すべきとしている(同条約29条)。
したがって、教育基本法の改正は、子どもの将来のあり方を大きく左右するばかりでなく、憲法や子どもの権利条約の保障する基本的人権と自由の保障に関連する重要問題である。
しかるに、改正案は、非公開の協議会等で議論されただけで上程されたものであり、国民に対する十分な情報提供や国民的な議論はほとんどなされていない。同法の重要性に鑑みた場合、その改正を議論するのであれば、国民的議論を徹底することが必要不可欠である。
2.子どもたちのために、いま何が必要か。
政府は、「子どものモラルの低下、学ぶ意欲の低下、家庭や地域の教育力の低下等の問題があることから、教育基本法を改める必要がある」などとして教育基本法の改正を求める。
しかし、これらの問題は、教育基本法の改正によって解決できることだろうか。
子どものモラルや学ぶ意欲の低下、いじめや不登校など、小中学生をめぐる悲惨な事件などは、子どもを取り巻く競争や格差、ストレスの深刻化、社会の荒廃などその社会的環境にこそ大きな原因がある。また教育のあり方にしても、国際連合子どもの権利委員会は、1998年、日本政府の報告書に対し、「児童が、高度に競争的な教育制度のストレス及びその結果として余暇、運動、休息の時間が欠如していることにより、発達障害にさらされている」と指摘して、適切な措置をとることを勧告し、2004年にはさらに、この勧告について、「十分なフォローアップが行われなかった」と再度指摘しているところである。
そうであるならば、教育基本法の改正によって、これらの問題は何ら解決されないのであって、問題の解決のためには、何よりもまず、子どもを取り巻く社会的環境の整備や上記指摘を真摯に受け止めた適切な措置をとることこそが必要である。
これらについて適切な対策を講じないまま、教育基本法を改正しようとするのは、本末転倒である。
3.改正案は、国家による個人の尊厳への介入と教育の統制のおそれがある。
(1)個人の尊厳の後退と精神的自由への国家的介入のおそれ
現行の教育基本法は、憲法の基本理念たる個人の尊厳を、教育の場面において改めて確認したものである。しかるに政府改正案は、個人の尊厳や個性の尊重を、教育の目的からはずし、逆に、「公共の精神」や「伝統」を定める。これは、教育における個人の尊厳の理念を大きく後退させ、戦前に見られた国家のための人材育成の思想が窺われるものである。
また、改正案は、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできたわが国と郷土を愛する・・・態度を養うこと」としている(第2条第5号)。
しかし、「伝統や文化の尊重」や「国や郷土を愛する態度」は、知識や体験を踏まえ個々人が自由で自発的に形成すべきものである。
これらを法律で定めた場合、子どもが「国と郷土を愛する態度」等を涵養しているかどうかが特定の基準で評価され、その強制に結びつくおそれが高い。現に、一部の学校で実施されている卒業式等における国歌斉唱の強制や「愛国心」の通知表における評価などは、「愛国心」などの強制が現実化・一般化するおそれを示すものである。
そのようなことになれば、憲法19条によって保障された思想・良心の自由を侵害することになる。
(2)教育の自主性を大きくそこない教育の国家統制の道を開く
教育基本法は、戦前の国家統制教育に対する深い反省から、教育の自主性を尊重し、教育、ことに教育内容に対する不当な支配・介入を抑止すべく第10条を規定し、同条2項において、教育行政の目標を、教育目的の遂行に必要な諸条件の整備確立に限定した。
この点、改正案は、現行法の「(教育は)国民全体に対し直接に責任を負って行われるべき」(第10条第1項)の部分及び同条第2項全部を削除して、「教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべき」とし(第16条第1項)、政府が教育振興基本計画を定めるものとしているのである(第17条)。
こうして改正案は、教育に関する国の国民に対する責任を曖昧にし、法律の規定や政府の教育振興基本計画によって教育内容を統制し、教育現場への国家介入・国家統制を容易にするおそれのあるものである。
教育は本来、人間の社会的・文化的な営みであって、最高裁判所判決も、「教育に対する行政権力の不当、不要な介入は排除されるべきである」(旭川学力テスト事件大法廷判決)と述べているところである。
改正案は、教育の自主性を大きく後退させ、教育の本質を変容させかねないものであり、とうてい賛成できるものではない。
4.現在、国会において審議されている教育基本法の改正案は、教育の理念そのものを大きく転換し、あるいは、憲法上・条約上の精神的自由が侵害される危険性を含むものである。
よって、当会は、現在審議中の改正案に反対し、国民的な論議の中で慎重に検討することを、ここに求める次第である。
新潟県弁護士会会長 馬場 泰

共謀罪の与党修正案に反対する会長声明
1.司法改革のための最終意見書について
2001年6月12日、司法制度改革審議会は、司法改革のための最終意見書を発表し、その中で「国民が利用しやすく、判りやすい司法」「司法を支えるスタッフの質量の確保」「国民が参加し支える司法」という目標を設定し、これに基づき、内閣に司法制度改革推進本部が設置され、3年内を目処に司法改革関連諸法案の成立をめざすとされた。
これまでに、裁判官指名諮問委員会や地域委員会の設置、地裁・家裁委員会の設置・改組がなされてきた。本年4月からは、法科大学院が開設され、司法試験合格者は1,500名となり、近く3,000名まで増員されることとなっている。
2.裁判員法案等について
(1)裁判員及び検察審査会委員の守秘義務について
裁判員の守秘義務については、衆議院での一部修正により、懲役刑の上限が1年から6ケ月に下げられたが、依然として、裁判員は任務中のみならず任務終了後においても、職務上知り得た秘密について守秘義務を負うとされ、違反について懲役刑が法定されている。このような厳しい守秘義務を課することは裁判員を萎縮させ、参加意欲を減退させるものである。また運用を通じて、裁判員制度を改善していくために、裁判員自身が経験を語ることが大切であり有用であるにも関わらず、これを不可能にするものである。裁判員に対する守秘義務の強調は、国民の司法参加という本来の目的を損なう危険性があるといわざるを得ない。
また検察審査会法第44条についても、検察審査会委員に対して従来の罰金刑から、裁判員法案第79条と同様懲役刑が選択的に法定されることとなる。
そもそも検察審査会委員については、特定の守秘義務違反について罰金刑が法定されていたが、実際には審査会委員の良識に委ねられ、昭和22年に法制定後、守秘義務違反が問題にされることもなかったものであり、いまさら懲役刑を加えることの必要性は全く考えられない。
それゆえ裁判員・検察審査会委員については、任期中は、職務上知り得た事項を守秘義務の対象とするが、任務終了後は、自分以外の発言者が特定されるような形での評議内容の公開など一定の範囲に守秘義務を限定すべきである。また違反について罰則をもうけるにしても、現行検察審査会法と同様罰金刑にとどめるべきであるし、それで充分である。
(2)裁判官・裁判員の数について
裁判官と裁判員の数については、現在の部制度下では、3人の裁判官の一体性が強固であり、部総括裁判官の影響力の強さもあって、6名の裁判員が参加しても、市民の意見の反映は事実上困難である。あくまで裁判官は、1~2名とし、裁判員は9~10名とすべきである。
(3)評決について
法案の過半数では、充分議論が尽くされないまま、安易に結論が出される惧れがある。
法案の裁判官3人裁判員6人の合議体の場合、裁判官3人の意見が一致すれば後は2人の裁判員の賛成で他は反対でも関係ないこととなる。過半数の論拠として、現行法が過半数であることがあげられるが、司法改革は現状の司法のあり方に問題があるから改革されるものであり現行法を前提とすること自体が誤りである。
3.刑事訴訟法改正について
(1)開示証拠の目的外使用の禁止について
刑事手続において検察官から開示される証拠の「複製等」を、被告人もしくは弁護人が審理の準備以外の目的で「人に交付、提供すること、電気通信回線を通じて提供すること」を全面的に禁止し、被告人がこれに違反したときは懲役刑を含む罰則を科することとしている。また弁護人については「対価として財産上の利益その他の利益を得る目的」がある場合に刑罰の対象とされている。
しかしながら、証拠の内容を問わず、また公判廷で取り調べられたものか否かを問わず、一律に禁止対象としている点で、被告人の防御権を不当に制約し、また裁判公開制度や報道の自由とも抵触するおそれが大きいと言わざるを得ない。また弁護人についても「対価として利益をうる目的」としても、テレビの出演料や研究書を含む冊子での引用等が、これに該当すると解される余地が十分ある。
衆議院で一部修正され「前項の規定に違反した場合の措置については、被告人の防御権を踏まえ、複製等の内容、行為の目的及び態様、関係人の名誉、その私生活又は業務の平穏を害されているかどうか、当該複製等に係る証拠が公判期日において取り調べられたものであるかどうか、その取り調べの方法その他の事情を考慮するものとする」との規定が挿入されたが、そもそも刑罰規定の構成要件としては、明確であることが不可欠であり、このような不明確で恣意的運用を可能にする規定は、それ自体が罪刑法定主義に違反すると言わざるを得ない。
本規定は、修正によっても、被告人の防御権を不当に制約し、裁判の公開原則や報道の自由と抵触するものである。
(2)取調べの可視化について
自白偏重の捜査・裁判をあらため、客観的証拠に基づく捜査・裁判を実現するためには、取調べの可視化が必要である。
裁判員制度の導入にともない、より一層公判中心主義が貫かれ、自白調書の任意性や検面調書の特信性などについて、裁判員がその審理・判断に参加するためには、取調べ状況をビデオやテープに録音するなど取調べの可視化の実現が不可欠である。
裁判員制度の導入とこれにともない刑事訴訟法を改正する場合、取調べの可視化が法律施行の必要条件であることを明確にすべきである。
(3)尋問、陳述制限の強化について
1.刑事訴訟法第295条の尋問・陳述制限命令違反について、弁護士会への措置請求規定がもうけられた。また刑事訴訟規則第303条1項の措置請求要件について「審理の迅速な進行をさまたげた場合」の要件を削除し、措置請求を容易にするのではとの指摘もなされている。
2.新潟地裁においては、通訳人の適否をめぐって弁護人の意見陳述を一方的に禁止し、監置命令と監置のための拘束命令を発した事案があり、平成16年3月29 日、弁護士会は、職権的な訴訟指揮は弁護活動を萎縮させ、被告人の弁護権を制約する恐れが有るとして、当該裁判官に申入れをした。
当該事案は、控訴審で無罪となったが、一方的な尋問・陳述制限は、正当な弁護活動に対する侵害であるだけでなく、実体的真実発見を妨げる要因にもなることは明らかである。尋問・陳述制限の強化など、裁判の職権化に反対するものである。
4.代理人報酬敗訴者負担制度の導入について
この制度については、司法制度改革審議会の意見書の趣旨に反して、訴訟提起を萎縮させるものであり、とりわけ、消費者・労働・医療・行政などの分野ではその弊害が著しい旨指摘してきた。
今回の法案は、双方に訴訟代理人が選任されている場合で、双方が共同で訴訟上申し立てた際に、敗訴者負担となるものとしている。
しかしながら、法案が成立すれば、敗訴者負担の規定を契約約款に導入する動きが急速に広がり、実体法の解釈を含めて、なし崩し的に敗訴者負担制度が導入される危険性がある。
このままの立法化には反対であり、仮に立法化する場合には、少なくとも消費者契約、労働契約及び一方が優越的地位にある事業者間の契約についても、代理人報酬敗訴者負担条項の効力を否定するための立法化措置をとるべきである。
5.総合法律支援法案について
1.弁護士会は、当番弁護士活動を通じて、起訴前弁護の必要性を強く訴えてきた。また法律扶助協会を実質的に支え、広く国民が司法を利用できるよう法律扶助の充実をめざして活動を強化してきた。さらに公設事務所や法律相談センターの活動によって、司法過疎解消に努めてきた。
これら活動の多くは、私たちの長年にわたる特別負担金を含むボランティア的な公的活動によって支えられてきたが、本来、国の財政支出によって実施されるべき事業である。
2.本法は、弁護士会の長年の活動を反映した側面をもっているが、同時に、この機会に法律扶助、国選弁護等の活動を、法務省の監督下に一元化するという方向を見逃すわけには行かない。とりわけ弁護活動は、国家の捜査・起訴に対して、被告人の憲法及び刑事訴訟法上の権利を護ることに本質がある。また法律扶助等の案件には、国家や行政機関を相手方とする事案も多数存在する。
したがって、関与弁護士の職務の独立性と弁護士自治がきわめて大切であり「国家は必要な資金を出すが、内容について干渉しない」との原則を、組織・運営の両面から具体化し、条文化すべきである。
3.法案では、国選弁護、法律扶助などは、日本司法支援センターに一元化されることとなっており、同センターは独立行政法人とされているが、人事、運営を含めて法務大臣の監督下におかれ、日弁連の組織、運営に対する関与は、法文上明らかにされていない。また個々の弁護士が、これら業務に携わるためには、同センターが制定する法律事務取扱規定によるものとされている。
このような状況では、弁護士業務遂行上の独立性が制約をうける危険性があると言わざるを得ない。
4.法案の一部修正によって、契約弁護士の「懲戒」規定が削除されたり、組織・運営について弁護士会の実質的関与が法務省側から説明されているが、法律の運用をもって法律の合理性、正当性を根拠づけることはできない。
同センターの組織・運営について、日弁連の責任ある地位役割が法定化されるべきてある。また契約弁護士の業務の遂行については、弁護士会の諸規定にしたがっておこなわれることが明確にされるべきである。
5.公的弁護や法律扶助については、必要かつ充分な訴訟活動が保障されなければならない。同センターの財政運営状況によって、必要な弁護費用、必要な代理人費用が削減されるような事態は、許してはならない。また司法過疎に対する対応や犯罪被害者支援の活動などについても、当然必要な予算が組まれるよう、働きかけをしていく必要がある。

「ゲートキーパー」立法に反対する会長声明
政府は、2005年11月17日、FATF(国際的なテロ資金対策に係る取組である「金融活動作業部会」)勧告実施のための法案提出と、その法整備のためFIU(金融情報機関)を金融庁から警察庁に移管することを決定した。ゲートキーパーは、日本語では「門番」を意味するが、法案は、マネーロンダリング及びテロ資金対策のため、従来の金融機関のほかに、弁護士などの専門職を不動産売買等一定取引に関し「門番」と位置づけ、「疑わしい取引」をFIUに報告する義務を負わせる制度を創設するものである。
弁護士に対し、依頼者の疑わしい取引に関する情報を政府に報告する義務を課すFATF勧告そのものが、弁護士制度の本質に関わるものとして、諸外国の弁護士及び弁護士会がその実施に反対しており、FATFの重要な加盟国であるアメリカやカナダでは勧告による立法はなされていないし、ベルギーやポーランドでは違憲訴訟が係属している。日弁連もこれまで国内法制度化に反対してきた。この度の政府決定は、弁護士の報告先を警察庁とするものであり、弁護士及び弁護士会に対する国民の信頼を損ね、弁護士制度の根幹を揺るがすものとして到底容認できない。
弁護士は、法律に関する専門知識を有するだけではなく、国家権力から独立して依頼者の人権と法的利益を擁護することにその本質がある。弁護士は、職務上知りえた秘密を保持する権利を有し、依頼者に対しては高度な守秘義務を負っている。これは、市民の側からすると、秘密のうちに弁護士と相談することができる権利を保障されているということにほかならない。しかし、「疑い」だけで弁護士が依頼者の秘密を捜査当局に「密告」しなければならないとしたら、依頼者は安心してすべての事実を弁護士に告げることはできないし、弁護士が依頼者に対して法律を遵守するための適切な助言をすることもできない。かくては、マネーロンダリング及びテロ資金対策の目的に反する結果となるものである。
当会は、マネーロンダリング及びテロ資金対策が重要であることを否定するものではない。弁護士がマネーロンダリング等に関与することは弁護士倫理に反し、懲戒処分の対象となっており、弁護士会は、そのための研修を引き続き重ねる所存である。
ゲートキーパー立法は、弁護士を、依頼者の秘密を密告する捜査機関の手先とすることで、弁護士制度ひいては司法制度そのものに対する信頼を根底から覆すもので、国民の権利にとって失われるものが余りに大きい。
以上から、当会は、今後、国民の理解を得ながら、日弁連とともに、反対運動を展開していくことを決意する。

共謀罪の新設に反対する会長声明
当会は、今後国会において審議が予定されている「犯罪の国際化及び組織化に対処するための刑法等の一部を改正する法律」案における「共謀罪」の新設等について、以下の理由により反対する。
1.「共謀」とは、犯罪を共同で遂行しようという意思を合致させる謀議、謀議の結果として成立した合意をいうもので、「共謀罪」はこのような犯行の合意だけで処罰対象とし、実行行為も、その予備行為さえも要件としていない。このような「共謀罪」は、何らかの「顕示行為」を構成要件とする刑法の原則に反し、刑法の人権保障機能を破壊するものである。
2.「共謀」という概念は、上記のとおり非常に曖昧であって、刑罰法規として構成要件の明確性を欠いている。従って、思想そのものを処罰するおそれが大であり、憲法が定める思想信条の自由、表現の自由、集会・結社の自由など基本的人権に重大な脅威を及ぼすものである。
3.「共謀罪」は、会話や電話、メ-ルなどの内容が犯罪を構成することとなるため、捜査機関の捜査は通信傍受や自白偏重に傾く危険性が強い。
4.この法案が上程される要因となった「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」では、「金銭・物質的利益を目的とし」、「重大犯罪、条約犯罪の実行を目的とした」、「組織的犯罪集団による越境的な性質を有する」行為に限定することできるにも拘わらず、「共謀罪」ではこれらを要件としていない。
5.長期4年以上の犯罪に適用され、対象となる犯罪は600以上の類型に及ぶため、市民の日常生活や活動に対して広範囲にわたる監視とその結果としての萎縮が憂慮される。
6.証人買収罪は、現行法の証人威迫罪や偽証罪・罪証隠滅罪の教唆犯として取り締まることが可能であり、その新設によって弁護活動に対する不当な介入が生じる懸念がある。
7.リモ-トアクセスによる差押えは、捜索差押えの範囲を場所と物とで特定して明示することを要求する憲法35条の精神を没却する。
8.捜査機関による通信履歴の保全要請は、裁判所の令状によるものではないため、司法的チェックがなく、濫用され通信の秘密を侵害するおそれがある。
当会としては、昨今の麻薬や銃の密輸、テロなどに代表される国境を越える組織犯罪に対する有効な対策の推進を否定するものではないが、「共謀罪」の新設等を初めとする上記法案は、以上のとおり、刑法の原則である罪刑法定主義に反し、憲法上の言論の自由等基本的人権の保障を危うくするなど、そのいずれにも問題があるものであるから、反対する。

司法改革関連法案についての決議
今通常国会では、裁判員法案など重要な司法改革関連法案が審議されており、これら法案は、日本の司法のあり方に大きな影響を与えるものである。
そこで、法案の重大性に鑑み、以下の通り当会の意見を述べるものである。
1.裁判員制度等について
(1)裁判員及び検察審査会委員の守秘義務について
裁判員の守秘義務については、当初法案が一部修正され、懲役刑の上限が当初の1年から6ケ月に引き下げられた。しかしながら、依然として、裁判員は任務中のみならず任務終了後においても、職務上知り得た秘密について守秘義務を負うとされ、違反について懲役刑が法定されている。
このような厳しい守秘義務を課すことは裁判員を萎縮させ、参加意欲を減退させ、ひいては国民の司法参加という本来の目的さえ制約しかねない問題である。
検察審査会委員についても、従来の罰金刑から、裁判員法案と同様に懲役刑が法定されることになる。
そもそも検察審査会委員については、特定の守秘義務違反について罰金刑が法定されていたが、実際には委員の良識に委ねられ、これまで罰則事案の発生は見られなかったものであり、いまさら懲役刑を加えることの必要性は到底考えられない。
裁判員・検察審査会委員については、任期中は、職務上知り得た事項について守秘義務の対象とするが、任務終了後は、自分以外の発言者が特定されるような形での評議内容の公開など一定の範囲に守秘義務を限定すべきである。また違反について罰則をもうけるにしても、現行検察審査会法と同様罰金刑にとどめるべきであるし、それで充分である。
(2)裁判官・裁判員の数について
裁判官と裁判員の数については、現在の部制度下では、3人の裁判官の一体性が強固であり、部総括裁判官の影響力の強さもあり、6名の裁判員が参加しても、市民の意見の反映は困難である。したがって裁判官は、1~2名とし、裁判員は9~10名とすべきである。
(3)評決について
評決について法案では過半数によるとされているが、評決は、全員一致を目指し、どうしてもそれに至らない場合のみ4分の3程度の特別多数決とすべきである。
2.刑事訴訟法改正について
(1)開示証拠の目的外使用の禁止について
刑事手続において検察官から開示される証拠の「複製等」を、他に交付するなどの行為を全面的に禁止し、被告人がこれに違反したときは懲役刑を含む罰則を科することとし、弁護人についても「対価として財産上の利益その他の利益を得る目的」がある場合は同様とされる。
この規定は、適用にあたって、被告人の防御権を踏まえて、諸事情を考慮する旨の修正がなされたが、依然として被告人の防御権を不当に制約するおそれがあり、また裁判公開制度や報道の自由とも抵触するおそれがあると言わざるを得ない。また修正条項自体が、諸事情を考慮して適用するというものであり、刑罰規定の構成要件としては、全く不明確で、恣意的運用を可能にするもので、罪刑法定主義に反するものである。
(2)取調べの可視化について
取調べの可視化は、世界の刑事手続の趨勢であり、予てよりその実現方が求められてきたところであるが、裁判員制度の導入にともない、不可欠な条件となってきた。公判中心主義を貫き、自白調書の任意性や検面調書の特信性などの審理・判断のためには、取調べ状況をビデオやテープに録音するなど、可視化の実現が不可欠であり、裁判員制度の導入とこれにともない刑事訴訟法を改正する場合、取調べの可視化が法律施行の必要条件であることを明確にすべきである。
(3)尋問・陳述制限の強化
刑事訴訟法第295条の尋問・陳述制限命令についての弁護士会への措置請求規定は、正当な弁護活動を萎縮させる危険性があり、撤回されるべきである。
3.代理人報酬敗訴者負担制度の導入について
法案は、双方に訴訟代理人が選任されている場合で、双方が共同で訴訟上申立てをした場合は「敗訴者負担」を適用するとする。
しかしながら、法律が制定されれば、敗訴者負担の規定を契約約款で導入する動きが広がり、約款についての実体法の解釈を含めて、なし崩し的に敗訴者負担制度が導入される危険性がある。
このままの立法化には反対であり、仮に立法化する場合には、少なくとも消費者契約、労働契約及び一方が優越的地位にある事業者間の契約についても、代理人報酬敗訴者負担条項の効力を否定するための立法化措置をとるべきである。
4.総合法律支援法案について
国選弁護、法律扶助の業務は、同法によって設置される日本司法支援センターに一元化される。刑事弁護人の活動は、被疑者・被告人の権利を護るため国家に対峙して職務を全うするところに制度の核心がある。また法律扶助案件の一定数は、国や行政機関などを相手方とする事件である。したがって、これらの分野で弁護士の職務を全うするためには、職務の国家からの独立性と弁護士自治が不可欠である。
しかしながら、同センターは、組織的にも業務上も、起訴をする側である法務省の監督を受けるとされており、他方で日弁連が人事、業務に関与すべき規定はもうけられていない。また担当弁護士の選任はすべて同センターが行い、弁護士が国選弁護や法律扶助案件を取り扱う際には、同センターの法律事務取扱規程によることとされている。したがって業務の受任、遂行段階においても、同センターを介して、弁護士活動が制約を受ける危険性が、存在すると言わざるを得ない。
同センターの組織・運営について、これまで国選弁護、法律扶助の活動を全面的に担ってきた弁護士会の意見が反映される仕組を作ること、また弁護士の職務遂行上の独立性が厳格に守られることが、法律上も明確にされるべきである。
当会は、本法案について、上記趣旨に則り修正がなされることを求め、人権擁護の制度的保障である業務の独立性、弁護士自治の擁護のために取りくむことを表明する。
また同センターに一元化することによって「安上がりで無責任」な国選弁護や法律扶助などという事態が発生しないよう、更には司法過疎等の克服などを含め、財政上の手当が充分なされることを求めていくものである。

2325 ら特集新潟弁護士会⑤

新潟県弁護士会
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死刑執行に関する会長声明
本年7月28日、東京拘置所において2名の死刑確定者に対する死刑が執行された。
死刑が執行されたのは、昨年7月以来1年ぶりのことであり、民主党政権に政権交代してから初めての死刑執行である。今回死刑執行を命じ、執行にも自ら立ち会った千葉景子法務大臣は、昨年9月の就任会見においては、「死刑の存廃、終身刑の導入の議論もある。広い国民的議論をふまえ、道を見出したい」旨発言し、死刑の執行に慎重な姿勢を示し、死刑制度の見直しを示唆していたにもかかわらず、国民的議論を行うこともなく、死刑執行がなされたことは誠に遺憾である。
当会は、2009年(平成21年)5月20日の定期総会決議において、「生命の尊厳」を尊重しなければならないという立場から、「裁判員裁判施行にあたり多数決による死刑評決に反対し、死刑制度の見直しを求める」決議を採択し、(1)裁判員裁判における死刑「評決」にあたっては全員一致の評議結果にいたるまで慎重な量刑評議をすること、(2)政府・法務省に対し、死刑制度を取り巻く捜査、公判、執行に至る全過程における問題点について、早急に改善のための具体策を明らかにすること、(3)国会に対し、死刑制度調査会を設置して死刑廃止を含めた死刑制度に関する検討を行い、その間、法務大臣による死刑執行を一時停止する法律を速やかに審議、制定することを求めた。
また、本年3月、いわゆる足利事件の再審公判において、宇都宮地方裁判所は、菅谷利和氏に対して、無罪を言い渡したが、このことは重大事件において今なお冤罪が存することを明らかにしたものであり、既に死刑が執行された者の中にも同様のケースがあるのではないかとの懸念が高まっている。
千葉法務大臣は、死刑執行後の記者会見において、今後、東京拘置所の刑場を報道機関に公開し、法務省内に死刑執行を考える勉強会を立ち上げる意向を示した。これらの提案は、死刑執行に先立って行われるべきものであり、今回の千葉法務大臣の死刑執行はその順序を明らかに誤るものである。当該勉強会が、法務省内の議論にとどまらず、真に開かれた国民的議論の場になることを求めるものである。
よって、当会は、「生命の尊厳」を最大限尊重しなければならないという立場から、あらためて、国会及び政府に対し、裁判員裁判制度のあり方も踏まえながら死刑制度に対する国内外からの問題点の指摘を真摯に受け止め、死刑廃止を含めた死刑制度に関する国民的議論を行うこと、その間、死刑執行を一時停止するよう、重ねて強く求めるものである。以上
2010年(平成22年)8月10日
新潟県弁護士会 会長 遠藤 達雄

取調べの全面可視化の早期実現を求める決議
2009(平成21)年5月21日、わが国の刑事司法のあり方を根本的に変革させる裁判員制度が施行された。
他方で、日本弁護士連合会、当会を含む各地の弁護士会ほかの市民団体が声を大にして求めてきた取調べ全過程の録音・録画(全面可視化)は、いまだに実現されていない。
当会は、密室での取調べが時として違法不当な取調べを生み、虚偽自白の誘発、冤罪の発生という許されざる事態を現実に引き起こしていること、罪のない者が処罰されるという最大の人権侵害を見逃すことはできないことから、2008(平成20)年2月29日の臨時総会において、被疑者・被告人の人権擁護や裁判員裁判の適正な実施のために、裁判員裁判実施までに全面可視化が実現されることを強く求める旨を決議した。
その後に密室での強圧的な取調べにより虚偽自白が得られたことが判明した、いわゆる布川事件、足利事件といった冤罪事件の存在によっても、全面可視化の必要性は裏付けられる。足利事件の再審公判で検事による取調べの録音テープが再生されたことは、虚偽自白に依拠した冤罪の防止や自白の任意性・信用性の判断にとって可視化が有効かつ不可欠であること、もっとも、取調べ過程の一部だけの可視化では不十分であり全面可視化が必要であることを如実に示したものというべきである。私たちも、日々の弁護活動の中で違法不当な取調べに関する主張を認めてもらえないことを経験しており、真実解明のための全面可視化の必要性を実感するところである。
この間、可視化実現をマニフェストに掲げる民主党を中核とする政権の発足や、可視化実現を目指す議員連盟の発足等により、その実現可能性は格段に高まってはいる。しかし、他方で、政府内に今通常国会への取調べの可視化法案(刑事訴訟法改正法案)提出を見合わせる動きがあることは、極めて遺憾である。
当会は、これまでにも上記総会決議をはじめ様々な取り組みを行ってきたところであるが、引き続き取調べの全面可視化の実現のために全力を尽くす決意を新たにするとともに、政府に対しては取調べ可視化法案を今通常国会に一刻も早く提出することを、国会に対しては同法案を早期に可決成立させることを各求め、取調べの全面可視化を早期に実現するよう強く求める。
2010(平成22)年2月26日
新潟県弁護士会臨時総会

身柄全件国選付添人制度の早期実現を求める会長声明
少年は、わが国の未来を支える礎石である。
他方で、少年は、社会・学校・家庭における様々な矛盾にさらされる弱い存在でもある。それ故に、結果として少年が非行を犯した場合、大人が様々な立場からその更生のために尽力すべきである。
また、少年は、心身ともに未成熟であり、自己を防御する能力も未だ不十分である。そこで、少年が非行を犯したとして逮捕・勾留等され、被疑者として捜査機関から取調べを受ける捜査段階はもとより、その後事件が家庭裁判所に送致され、少年審判手続に移行した後においても、大人にも増して充実した法的支援が必要とされるのは当然である。
しかし、現行少年法では、少年審判手続において、国の責任により選任され少年の立場を擁護する国選付添人は、検察官関与決定や被害者等による傍聴申出がなされた事件で必要的に選任されるほかは、殺人、強盗等の一定の重大事件につき裁判所の裁量で極めて限定的に選任されるにすぎない。さらに、2009(平成21)年5月より、捜査段階における被疑者国選弁護制度の対象事件が窃盗や傷害等のいわゆる必要的弁護事件にまで拡大された結果、捜査段階では少年に国選弁護人が選任されても、少年審判段階では国選付添人が選任されない事態が生じている。
このような現行制度に鑑み、当会は、2004(平成16)年12月、観護措置により身柄を拘束され、かつ、検察官により少年院送致以上の処遇意見が付された少年に対し、弁護士会の基金からの援助により付添人に就任する弁護士を派遣する「当番付添人制度」を開始し、2009(平成21)年10月からは、対象を観護措置により身柄を拘束された全ての少年に拡大した。このような「当番付添人制度」は、全国の弁護士会に広がりつつある。
しかし、少年の健全育成は、本来、国の責務である。国は、少年の健全育成を目的とする少年審判手続において、少年に対する適正手続保障のためにその責任を果たすべきである。
よって、当会は、現行の「当番付添人制度」の下で少年の権利を擁護する付添人活動に全力を尽くす決意を改めて表明するとともに、国に対し、現行少年法を改正し、少なくとも、観護措置により身柄を拘束された全ての少年について、国の責任で、国費により弁護士付添人を選任する制度を早急に実現するよう求める。
2010(平成22)年2月2日
新潟県弁護士会 会長 和田 光弘

葛飾ビラ配布事件に関する会長声明
2009年11月30日、最高裁判所第二小法廷は、東京都葛飾区内のマンションで政党の政治的意見等を記載したビラを配布していた行為が住居侵入罪に当たるとした東京高等裁判所判決に対する上告について、被告人の上告を棄却する判決を言渡した。
しかし、本件で処罰対象となった政治的意見をビラで配布するという行為は、マスメディアを直接利用することが困難な市民にとって、自らの意見を直接かつ確実に市民に伝達するための極めて重要な手段であり、かつ、戸別に配布されたビラを受領することによって市民はマスメディア等では報道されない情報を得ることができるという点においても極めて重要な意義を有している。戸別のビラ配布行為は市民による政治的意思表明や政治的活動を支えるために必要不可欠な表現行為の一つであり、それに対する規制は必要かつ最小限のものでなければならない。
ところが、本件において、最高裁は、表現の自由の重要性について言及しながらも、「たとえ表現の自由の行使のためとは言っても、そこに管理組合の意思に反して立ち入ることは、本件管理組合の管理権を侵害するのみならず、そこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害するものといわざるを得ない。」と述べ、本件行為に対し刑罰を科すことは憲法21条1項に違反しないとした。
しかし、そこには、管理組合の管理権の性格や位置づけ、保護法益の範囲や重要性に関する精密な比較検討が行われていない。
管理権が政治的意思形成過程を支えるものとして特に重要とされる表現の自由と同等な法益として取り扱ってよいのか、本件ビラ配布行為によって管理権がどの程度侵害されたのか、また、私生活の平穏が具体的にどの程度侵害されたのか、それらは政治的意思表明を背景とする表現の自由を規制してまでも保護しなければならないものであるのかなどについて、厳密に検討した形跡は認められない。
新潟県弁護士会は、最高裁判所が表現の自由の重要性、とりわけ戸別のビラ配布が国民の政治的意思形成に果たす役割、並びに、表現の自由の規制に際して自らが憲法の番人として厳密な検証を行うべき職責を有しているという認識について危惧の念を持たざるを得ない。
最高裁は2008年4月11日にも政治ビラの戸別配布を処罰することについて本件と同様に憲法21条に違反しないとする判断を示していたが、日本における政治ビラの戸別配布に対する規制に対しては、国際人権(自由権)規約委員会が2008年10月、「政府に対する批判的な内容のビラを私人の郵便受けに配布したことに対して、住居侵入罪もしくは国家公務員法に基づいて、政治活動家や公務員が逮捕され、起訴されたという報告に懸念を有する」旨の表明をし、日本政府に対し、「表現の自由に対するあらゆる不合理な制限を撤廃すべきである」と勧告するなど、国際社会から厳しく批判されていたところである。また、日本弁護士連合会は、2009年11月6日に開催した人権擁護大会において、裁判所に対し、「憲法の番人として市民の表現の自由に対する規制が必要最小限度であるかにつき厳格に審査すること」を求める宣言を採択したところであった。本判決は、これら国内外の意見を無視したものであり、表現の自由に対する不当な規制を後押しする大変問題のある判決であると言わざるを得ない。
当会は、最高裁に対し、表現の自由の重要性と憲法の番人として自らの職責をあらためて認識し、表現の自由が問題となる事件については、その重要性を十分に考慮して判断することを強く求める。 以上
2010年1月14日
新潟県弁護士会 会長 和田 光弘

民主党政権発足にあたって 会長談話
本日、衆参両議院において、民主党党首鳩山由紀夫氏が首班指名されたことにより、民主党政権が発足することとなりました。
新潟県弁護士会会長としては、民主党政権において、マニフェスト記載の各政策が、実現されることを強く期待します。
とりわけ、刑事裁判における捜査段階の取調べ可視化は、裁判員裁判が始まっている現段階では、焦眉の課題であり、政権による早急な取り組みを期待します。
また、消費者行政も、消費者の目線に立った行政の実現のため、当会が会長声明を発している人事の適正化も含め、十分な対応をされるよう期待しています。
さらには、裁判員裁判の量刑評議(とりわけ死刑評議の全員一致)が慎重に行なわれるよう決議した当会決議についても考慮されるとともに、国際的な人権選択議定書の批准を視野に入れた死刑制度の見直しをぜひとも検討されるよう再度求め、新政権にも、新潟弁護士会の総会決議を送付したいと思います。
民主党政権がこれら国民・市民の人権に行き届いた政策を実行されることを期待して、会長談話とします。以上
2009年9月16日
新潟弁護士会 会長 和田光弘

消費者庁長官及び消費者委員会の人事に関する会長声明
2009年(平成21年)5月29日、消費者庁関連3法が成立し、消費者庁が設立されることとなった。
消費者庁及び消費者委員会の設立は、従来の産業優先の行政から、消費者、生活者のための行政への転換をはかる、画期的なものであり、当会としても、消費者の権利を尊重し、消費者が安全で豊かな生活を営むことができる社会の実現に向けて、これら機関が果たすべき役割が極めて大きいものとして、その活動に大いに期待するところである。
しかし、法や組織が作られても、これを担う地位に就く者に設立の経緯・趣旨を理解した適切な人材が選任されなければ、消費者の権利の擁護が推進されず、法を制定し、組織を作った意義は失われるものである。
そこで、当会は、政府に対し、以下のとおり要請する。
(1) 消費者庁長官、消費者委員会委員の選任にあたっては、消費者の権利擁護の観点から、消費者問題に精通し、消費者の目線に立って権限を行使できる者、消費者問題に消費者の権利擁護の立場から真摯に取組んできた者を選任すべきであり、そのためには、日本弁護士連合会や消費者団体と十分に協議したうえで選任すること。
(2) 消費者委員長の選任については、消費者庁及び消費者委員会設置法に規定されているとおり(同法12条)、委員の自由な意思に基づく互選によらなければならず、これに政府が介入しないこと。 以上
2009年8月4日
新潟県弁護士会 会長 和田 光弘

死刑執行に関する会長声明
本年7月28日、大阪拘置所において2名、東京拘置所において1名、合計3名の死刑確定者に対する死刑が執行された。
当会は、本年5月20日の定期総会において、「生命の尊厳」を尊重しなければならないという立場から、「裁判員裁判施行にあたり多数決による死刑評決に反対し、死刑制度の見直しを求める」決議を採択し、(1)裁判員裁判における死刑「評決」にあたっては全員一致の評議結果にいたるまで慎重な量刑評議をすること、(2)政府・法務省に対し、死刑制度を取り巻く捜査、公判、執行に至る全過程における問題点について、早急に改善のための具体策を明らかにすること、(3)国会に対し、死刑制度調査会を設置して死刑廃止を含めた死刑制度に関する検討を行い、その間、法務大臣による死刑執行を一時停止する法律を速やかに審議、制定することを求めた。
ところが、政府・法務省は、死刑制度を取り巻く問題点に対する具体的な改善を何らとることもなく、今回3名に対して死刑を執行した。当会は、「生命の尊厳」を最大限尊重しなければならないという立場から、あらためて、国会及び政府に対し、死刑制度に対する国内外からの問題点の指摘を真摯に受け止め、早急に改善するよう求めるとともに、死刑廃止を含めた死刑制度に関する検討を行ない、その間、死刑執行を一時停止するよう重ねて強く求める。 以上
2009年8月4日
新潟県弁護士会 会長 和田 光弘

海賊対処法に反対する会長声明
第171回通常国会に提出されていた「海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律」案は、6月19日参議院で否決されたが、同日、衆議院の特別多数決で再可決され法律として成立した(以下「海賊対処法」という。)。この海賊対処法は、日本国憲法に違反するおそれがきわめて強いものである。
海賊対処法は、海賊行為に対して海上保安庁が対処するだけでなく、自衛隊に対して、活動地域や保護対象となる船舶について何らの限定を加えることなく、公海上で、すべての国籍の船舶に対する海賊行為に対処し、かつ、一定の場合には武器使用まで行うことを認めた。しかも、同法は、緊急な事態に対処するための特別措置法ではなく、恒久的な対応法として位置づけられている。同法は、領海の公共秩序を維持する目的の範囲(自衛隊法3条1項)を遙かに超えて、自衛隊の活動地域を全世界の公海にまで拡張し、一定の場合には、自衛隊に武器使用まで行うことを可能にするものである。日本国憲法は、恒久平和主義の精神に立ち、第9条において武力による威嚇又は武力の行使を放棄しているのであり、自衛隊の海外活動に対しては憲法上制約が課されていると解されるところ、海賊対処法は、この憲法上の重大な制約に違反するおそれがきわめて大きい。
また、海賊対処法では、武器使用の要件が、「他に手段がないと信ずるに足りる相当な理由」(同法6条)など、きわめて曖昧な規定であり、恣意的な判断のもとに安易に武器使用がなされる危険性を否定できない。
さらに、同法は、防衛大臣が内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の海外対処行動の判断を行うものとし、国会へは事後的な報告で足りるとされるのであり、国会は承認機関ですらない。それだけでなく、同法は、急を要するときには、防衛大臣が必要となる行動の概要を内閣総理大臣に通知すれば足りるとし、内閣総理大臣の承認すらも不要としている。これらも国民主権、民主的統制を不当に軽視するものである点で、決して看過できない重大な問題である。
海賊行為は、深刻な国際問題であり、現在の海賊行為が行われているソマリア沖の問題について、わが国を含めた国際協力が必要である。しかし、国際紛争を解決する手段として武力を放棄し、恒久平和主義を宣言した日本国憲法の下、わが国が海賊対策としてなすべきことは、日本国憲法が宣言する恒久平和主義の精神にのっとり、無政府状態を原因とする貧困状態の解消に向けた支援活動など、非軍事的国際協力である。
当会は、日本国憲法を尊重し、擁護する立場から、海賊対処法を執行することなく、速やかにその廃止の手続を執るよう要請する。
2009年(平成21年)7月21日
新潟県弁護士会 会長 和田 光弘

裁判員裁判施行にあたり 多数決による死刑評決に反対し、死刑制度の見直しを求める決議
1 憲法第13条は、「生命」に対する国民の権利について、国政上、最大の尊重を必要とすることを規定している。かつて最高裁判所は、「生命は尊貴である。一人の生命は、全地球よりも重い。」とし、人間存在の根元である「生命」が、いったん失われれば二度と戻らないことを示し、われわれ一人一人の想いを、あらためて「生命ある人間そのものの尊厳」に立ち返らせた。
2 「死刑」は「生命」を奪う究極の刑罰である。裁判員裁判においては、一般市民も、裁判官とともに死刑を科するか否かの判断に直面し、死刑を科するには些かの誤謬も許されないという葛藤に向き合わなければならない。「死刑」は、一人の人間の「生命」を断ち切り、社会から完全に排除するという、他の自由刑等の刑罰とはおよそ異質な刑罰であるうえ、現在の死刑制度を取り巻く、捜査、公判、執行の過程には、誤判のおそれをはじめ、量刑基準の曖昧さ、執行停止制度の不備など多くの問題が存する。このことは、市民的及び政治的権利に関する国際規約第6条に基づく国連機関による近時の勧告(死刑執行停止・廃止)からも明らかである。
3 われわれ新潟県弁護士会は、基本的人権の擁護と社会正義を実現するとの使命に基づき、「生命ある人間そのものの尊厳」を重視する立場から、以下のとおり、意思を表明する。
(1) 当会は、平成21年5月21日から裁判員裁判制度が実施されるにあたり、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成16年5月28日法律第63号)第67条が「死刑」についても多数決評決としていることに反対するとともに、死刑評決を行わざるを得ない場合、裁判員裁判体は「死刑」が「生命」を奪う究極の刑罰であることを真摯に受けとめ、「死刑」評決にあたっては、全員一致の評議結果に至るまで慎重な量刑評議をする必要があるものと考える。
(2) そのうえで、当会は、政府・法務省に対し、あらためて死刑制度を取り巻く、捜査、公判、執行に至る全過程において、国内外から指摘を受けている問題点に対し、早急に、改善のための具体策を明らかにすることを求める。
(3) さらに、当会は、国会に対し、日本弁護士連合会が提唱しているとおり、「死刑制度調査会」設置による死刑廃止も含めた検討を行うことと、その間、法務大臣による死刑の執行を一時的に停止する法律をすみやかに審議し、制定することを求める。 以上
平成21年5月20日
新潟県弁護士会定期総会

定額給付金支給に関する会長談話
2009年3月4日、「景気後退下での住民の不安に対処するため、住民への生活支援を行なう」ことを目的とした定額給付金の支給が決定された。
総務省の事業概要によれば、基準日(平成21年2月1日)の時点で、住民基本台帳または外国人登録原票のいずれかに載せられている人たちに給付金を支給することとしたものの、その支給先としては、個々の住民にではなく、住民票上の世帯主に一括して支給することとした(但し、外国人登録者の場合には個々の住民に支給される)。しかも、申請期限は受付開始から6ヶ月としている。
しかし、配偶者からの暴力等により住民票の異動をせずに生活しているDⅤ被害者の人たち、実際には別居しているが離婚問題が解決するまで住民票を異動できない事情がある人たち、基準日前に離婚や別居が合意されたが住民票の異動が間に合わなかった人たち、基準日直後に別居に至った人たち、あるいは、離婚事件に限らずとも訳あって住民票の住所地に居住していない人たち(ホームレス、ネットカフェ難民等)など、住所と居所が相違する人たちは多数存在する。逆に、住所と居所は同一でも、家庭内別居のまま係争している夫婦や家族もいる。
これらの人たちとしては、上記基準に従い、画一的に、世帯主に対して定額給付金が支給された場合には、加害者だったり、離婚紛争の相手方であったり、人間関係が非正常な家族であったりする世帯主等に対して、直接、定額給付金の交付を求めなければならないことになる。しかしながら、このような行動が期待できないことは、事案の内容を考えれば自ずと明らかである。
そうすると、これらの人たちは、具体的権利である定額給付金受給権を事実上行使できず、同権利が否定されたに等しい結果となりかねない。
新潟県弁護士会は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする団体として、国の施策実施に際し、このような実質的不平等が、いわゆる社会的弱者の側に発生し又は発生する恐れが極めて高い状況にあること、それにも拘らず、その抜本的対策が採られていないことについて深く憂慮する。
よって、定額給付金事業の実施主体である新潟県内の各地方自治体に対し、次の通り要望する。
①まず、画一的処理に親しまない人たちが多数いること及び具体的支給方法如何では、憲法で保障された平等権を侵害するおそれがあることを具体的に認識すること、
②それらの問題に的確に対応するため、個々の受給者の事情にも十分配慮すること
例えば、以下の諸事情のある場合には、当該受給者分の定額給付金の世帯主への支給を一旦中止して対応を検討する、弁護士会の法律相談や法テラスを紹介するなどの配慮がなされるべきである。
別居家族やDV被害者の代理人弁護士から地方自治体に対して、別居家族や紛争当事者分の定額給付金を世帯主へ支給しないよう要請があった場合
基準日以降一定期間内(例えば6ヶ月以内)に離婚届出をした夫婦の場合(この事実は支給する地方自治体に顕著である)
その他、以下の書類が提示された場合。離婚後の住民票、DⅤの保護命令、調停調書、判決、法的紛争が係属中であることを証する文書、別居者の賃貸借契約書、その他客観的に別居の事実を確認できる文書など
以上のような事例においては、紛争が6ヶ月程度では解決しない場合も多いので、申請日と支給時期が大きく乖離する場合にも、支給時期についても柔軟な対応や格段の配慮を行うよう要望する。
平成21年3月23日
新潟県弁護士会会長 髙野 泰夫

少年審判における被害者等の傍聴は厳格に行うべきことを求める会長声明
今般、被害者等(被害者や遺族)による少年審判傍聴を認める「改正」少年法が成立した。被害者等による少年審判傍聴(以下、「被害者傍聴」という。)の導入は、少年の健全育成を目的とする少年法の理念に照らし多くの問題があることは、当会、日弁連及び全国の単位弁護士会の会長声明等で指摘したとおりである。しかるに、今回、国会審議が尽くされたとはいえないまま、少年法の基本理念を揺るがしかねない「改正」が行われたことは誠に遺憾である。
この「改正」は、当会等が指摘した問題点を踏まえ、法案の傍聴許可要件に、次の要件を付加して成立した。
1.少年の健全な育成を妨げるおそれがないこと
2.予め弁護士付添人の意見聴取を要すること(同付添人未選任時は、同選任を原則として義務付)
3.12歳未満の少年審判は被害者等の傍聴対象外とすること
4.12歳、13歳の触法少年については精神的に特に未成熟であることを十分に考慮すべきこと
しかしながら、この要件付加によっても、家庭裁判所の運用如何では、被害者傍聴が容易に認められ、その結果、少年法の基本理念を揺るがす事態を引き起こしかねない、と考える。
要件1の認定は、当該少年の性格、従前の供述内容、事情聴取や調査における態度、普段の生活態度や生活状況などを踏まえ、更に、被害者傍聴についての少年や保護者の気持、従前の被害者等の態度など諸般の事情を勘案したうえで、被害者傍聴を許可しても少年の自由で率直な供述を妨げるおそれがないと認められる事例について、「少年の健全な育成を妨げるおそれがない」と認定しうる場合に限るべきである。なぜならば、被害者傍聴による、少年の萎縮や迎合によって、率直な供述をなしえない可能性、その結果当該少年の更生にとって適切とは言い難い処分がなされる危険性を否定できないからである。
また、要件2について、少年及び保護者が「付添人を不要との意思を明示した時」には弁護士付添人選任義務を免除している点は不当である。なぜならば、少年及び保護者が、少年の権利擁護者であるはずの弁護士付添人を選任すれば、被害者に反省の態度が伝わらないかのように誤解している例が少なからずあるし、少年と保護者との関係が破綻している事例、世間体を気にして事案を理解しようとせず少年の意思を無視抑圧してでも早期に事件終結を図ろうとする保護者の事例等では、保護者が弁護士付添人選任を拒否し、その結果、弁護士付添人が選任されないことがありうるからである。これでは少年の権利を十全に擁護し得ない。
少年の権利擁護者たる付添人の不選任を容認する場合には、少年や保護者において、付添人の立場や役割を十分に理解していること、その意思が明確に表示されていることはもちろん、その意思確認の方法についても、少年や保護者の真意を十分に汲み取ることができる方法である必要がある。これらは、最高裁判所規則に委任されているから、最高裁判所は、同規則制定にあたり、ことが付添人選任に関するものであることを踏まえ、曖昧な意思表示や事務的な意思確認処理を容認するものであってはならず、厳格な手続履践を核とする意思確認規則を設けるべきである。
以上より、当会は、今後の「改正」少年法の運用を注視しつつ、少年付添人活動、犯罪被害者支援活動の一層の充実強化を図るとともに、最高裁判所に対しては厳格な規則の制定を、家庭裁判所に対しては少年の健全育成の理念を損なうことのないよう被害者傍聴許可要件の厳格運用を強く求めていく決意である。
2008(平成20)年7月7日
新潟県弁護士会会長 髙野 泰夫

名古屋高裁自衛隊イラク派遣差止訴訟判決に関する決議
本年4月17日、名古屋高等裁判所は、いわゆる自衛隊イラク派遣差止訴訟において、以下のような判決を下した。
すなわち、本判決は、現在のイラク国内における多国籍軍と武装勢力の間の戦闘は、実質的には平成15年3月当初のイラク攻撃の延長であって、外国勢力である多国籍軍対イラク国内の武装勢力の国際的な武力紛争が行われているといえるとし、特に、首都バグダッドは、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(以下「イラク特措法」という。)上の「戦闘地域」に該当するとした。そして、航空自衛隊のバグダッド空港への空輸活動は、多国籍軍の戦闘行為にとって必要不可欠な軍事上の後方支援を行っているものということができ、航空自衛隊の空輸活動のうち、少なくとも多国籍軍の武装兵員を「戦闘地域」であるバグダッドへ空輸するものについては、他国による武力行使と一体化した行動であって、自らも武力行使を行ったとの評価を受けざるを得ず、政府と同じ憲法解釈に立ち、イラク特措法を合憲とした場合であっても、武力行使を禁止したイラク特措法2条2項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条 3項に違反し、かつ、憲法9条1項に違反する活動を含んでいると判断した。
また、本判決は、憲法前文の平和的生存権について、全ての基本的人権の基礎にあってその享有を可能ならしめる基底的権利であり、裁判所に対してその保護・救済を求め法的強制措置の発動を請求し得る具体的権利性が肯定される場合があると判断した。
このように、高等裁判所において自衛隊の活動の違憲性が正面から判断されたこと及び平和的生存権の具体的権利性が肯定されたことはいずれも憲法制定後初めてであり、画期的なことである。本判決は、法の解釈、適用という裁判所本来の権限を行使してその職責を全うし、これまで判断の回避がなされることの多かった問題に真正面から取り組むものとして、高く評価されるべきものである。
本判決について、政府は、違憲判断は傍論にすぎないなどとして特段の対応をとるつもりはないとの態度を示し、航空自衛隊のトップである航空幕僚長は、本判決を揶揄するかのような発言をしている。しかし、憲法の最高法規性(憲法98条1項)、国務大臣、公務員らの憲法尊重擁護義務(同99条)の各規定、行政府の違憲行為を司法府によって統制しようとする権力分立の観点に照らせば、上記政府の対応等は誠に遺憾である。政府は、高等裁判所が今回の自衛隊の空輸活動をイラク特措法、憲法9条1項に反すると判断したことを真摯に受け止めるべきである。
よって、当会は、政府に対し、本判決の趣旨を十分に考慮し、航空自衛隊のイラクにおける空輸活動を直ちに中止し、航空自衛隊を撤退させるよう求める。
平成20年5月23日
新潟県弁護士会定期総会

被害者等による審判傍聴規定新設を含む少年法改正案に反対する会長声明
内閣は、本年3月7日、今通常国会(第169回)に「少年法の一部を改正する法律案」(閣第68号)を提出し、間もなく衆議院において同法律案の審議が始まろうとしている。
しかし、上記法律案には、少年法の理念と目的に照らし、以下のとおり問題があるため、当会は上記法律案に反対する。
1.被害者等による少年審判の傍聴について
上記法律案は、故意の犯罪行為により被害者を死傷させた罪、刑法211条(業務上過失致死傷等)の罪について、家庭裁判所が、被害者等から、審判期日における審判の傍聴の申出がある場合において、少年の年齢及び心身の状態、事件の性質、審判の状況その他の事情を考慮して相当と認めるときは、傍聴を許すことができるとしている。
しかし、被害者等に審判の傍聴を許すことには、少年の責任追及ではなく健全育成を目的とし(少年法1 条)、少年の言い分を受け止めることを通じて少年自ら内省を深め更生の意欲を育てるという少年審判の教育的・福祉的機能を後退させるおそれがある。被害者等にとっても、事件から間もない時期に審判を傍聴すべきか否かの決断という新たな心の負担を負うこととなる上、被害者等の傍聴により少年が萎縮し事実や心情を率直に語ることが困難となる結果、被害者等の「事実を知りたい」という切実な願いも実現されない可能性が高く、苦しみや悲しみをさらに深めるだけに終わりかねない。
さらに、家庭裁判所が「相当と認めるとき」という要件も曖昧で少年の更生よりも事案の重大性等を重視し安易に傍聴を許す運用がされかねない点、対象事件に萎縮可能性が類型的に高いと考えられる14歳未満の少年による触法事件をも含めている点も極めて問題である。
2.被害者等による記録の閲覧・謄写の範囲の拡大について
上記法律案は、被害者等による記録の閲覧謄写の要件を現行法よりも緩和し、閲覧謄写を原則可能とし、対象となる記録の範囲も法律記録の少年の身上経歴等に関する部分にまで拡大している。
しかし、このような法改正は、少年や親族等関係者のプライバシーに関する情報の流出の危険を増し、少年の健全育成という少年法の目的実現の妨げとなりかねない。現行法の運用上、被害者等による記録の閲覧謄写は十分に機能しており、これ以上に、閲覧謄写を原則可能とし対象となる記録の範囲を拡大する必要性はない。
もとより、犯罪被害者等の支援は重要な課題であり、事件直後から専門家による支援や心のケアを受けられる制度の一層の充実が図られるべきである。しかし、犯罪被害者等の保護と少年の健全育成という少年法の理念・目的との調整は、上記法律案のような少年法の根幹に関わる法改正によってではなく、現行法の被害者等による記録の閲覧謄写(少年法5条の2)、被害者等の意見聴取(同法9条の2)、審判の結果通知(同法31条の2)といった諸規定を十分に活用することにより図られるべきである。少年審判の傍聴についても、被害者等がいる場で審判を受けることが少年の健全育成に資すると考えられる場合は、少年審判規則29条に基づき被害者等の在廷を許可する運用例があるのであり、現行法の解釈として認められる範囲で行われるべきである。
以上より、当会は、被害者等による少年審判の傍聴を認め、被害者等による記録の閲覧謄写の要件緩和、対象となる記録の範囲拡大を内容とする上記法律案に反対し、国会における廃案を求める。
2008(平成20)年4月21日
新潟県弁護士会会長 髙野 泰夫

2324 ら特集新潟弁護士会④

新潟県弁護士会
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秘密保全法制定に反対する総会決議
第1 決議の趣旨
当会は、現在政府がめざしている秘密保全法制に反対であり、秘密保全法案やその関連法案が国会に提出されないよう強く求める。政府は直ちに法案化作業をとりやめるべきである。
第2 決議の理由
1 はじめに
政府は、昨年8月の「秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議」の「報告書」を受け、「情報保全に関する検討委員会」による法案化作業を経たうえ、国会に秘密保全法制関係法案を提出しようとしている。報告書の提起する法制は、国民の知る権利、取材・報道の自由、思想信条の自由、プライバシー権など憲法の保障する基本的人権を侵害し、国民主権を否定する危険性を有するものである。その一方、法制化の必要性を裏付ける立法事実に関しては、その検証は論外といっていいほど不十分である。
基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士の団体である当会は、このような秘密保全法制そのものに対して反対であり、その国会への上程に強く反対する。
政府が本通常国会への法案提出を断念した旨の報道もあるが、法案化のための作業はまだ継続しているものと推認される。政府は直ちに法案化作業をとりやめ、秘密保全法の制定を断念してこれを公表すべきである。
2 広範囲の重要な情報が国民から隠される危険性
報告書は、「我が国の利益を守り、国民の安全を確保するためには、政府が保有する重要な情報の漏えいを防止する制度を整備する必要がある」といい、秘密とすべき事項の範囲を「①国の安全、②外交、③公共の安全及び秩序の維持」の3分野とし、「特別秘密」として保護すべき情報を指定するのは当該情報の作成・取得主体である各行政機関等であるとしている。
本来国政に関する情報は主権者である国民に対し原則として公開されるべきところ、この法制が成立するとあらゆる分野の情報を対象として行政機関の恣意的な判断によって特別秘密に指定される危険性がある。例えば、福島第一原子力発電所の事故に関する政府や東京電力の情報管理と運用の実態などに照らすと、情報保有者に不都合な情報が国民の目から隠されてしまうことの危険性が、抽象的な杞憂の範疇にとどまらないものであることは明らかである。
3 取材や報道の自由が制約され国民の知る権利が侵害される危険性
報告書は、犯罪行為のみならず「社会通念上是認できない行為」を含む取得行為も「特定取得行為」として処罰の対象としている。また、実際に漏洩行為が行われたか否かにかかわらず、共謀、教唆、煽動行為を独立犯として処罰するとしている。
メディアの取材行為も処罰の対象とされる可能性がある。取材の自由が規制され、自己規制的に取材活動が萎縮することになり、国民に必要な情報がもたらされなくなり、ひいては主権者である国民の知る権利が侵害される危険性がある。
4 「適性評価」の名の下に国民のプライバシー等が侵害される危険性
報告書は、特別秘密を取り扱う予定の者(以下、取扱者という)の適性を判断するため、「適性評価制度」を創設し、取扱者のみならずその家族や交際者等に関するプライバシー情報を行政機関等が収集することを認めている。また、報告書は、適性評価の観点として、「我が国の不利益となる行動をしないこと」を掲げ、調査事項として「我が国の利益を害する活動への関与」等をあげている。
特別秘密が広範囲であるうえ、取扱者の範囲や調査対象の範囲も無限定であり、「適性評価」の名のもとに行われる情報収集活動によるプライバシー侵害が無限に広がる危険性を秘めている。
また、「我が国の利益」は何かについては議論が分かれており、行政機関等が国益に反すると恣意的に判断することにより、思想・信条等を理由とする差別が行われる危険性がある。
5 裁判を受ける権利や弁護人選任権が侵害される危険性
国民には公平な裁判所において迅速かつ公開の裁判を受ける権利が保障されており、被疑者被告人には弁護人を選任する権利が保障されている。
しかし、秘密保全法違反の刑事裁判の場合には、「特別秘密」の立証を、もっぱら外形立証により推認させる方法によることが予想され、被疑者被告人側にとって「実質的に秘密として保護すべき情報といえるのか」という主張立証が極めて困難となり、どのような事実が争点となっているかも明らかにされないまま裁判が進行し、実質的に公開原則違反及び裁判を受ける権利が侵害される。
また、秘密保全法違反の弁護人は、被告人が接した情報が「特別秘密」にあたるのか否か、保護されるべき実質秘なのかを調査するために当該情報の関係者に聴き取りを行う場合も、特別秘密の特定取得行為または漏えいの教唆行為として秘密保全法違反とされてしまう危険性がある。そうすると、弁護人の弁護活動は委縮し、ひいては被疑者・被告人の弁護人選任権や裁判を受ける権利が侵害される危険性がある。
6 立法の必要性は検証されていない
有識者会議は、秘密保全法の立法の必要性を、「国の安全や国民の安全を確保するとともに、政府の秘密保全体制に対する信頼を確保する観点から、政府が保有する特に秘匿を要する情報の漏えいを防止することを目的として、秘密保全法制を早急に整備すべきである」と説明している。
また、政府の検討委員会は、この点に関して、「情報漏えいに関する脅威が高まっている状況及び外国との情報共有を推進していくことの重要性」などといっている。
これらはいずれについても、極めて抽象的な言及にとどまっていてその検証は論外といっていいほど不十分である。秘密保全法制の規制により危殆にさらされようとしているのは、思想良心の自由、表現の自由、プライバシー権といった、国民主権主義の根幹をなす人権である。立法事実の緻密な検証なしにかかる法制が設けられることは、わが国の民主主義と自由主義に対し、深刻な脅威をもたらすことが必至である。
他方、秘密の保全は、現行法においても、国家公務員法、地方公務員法、自衛隊法等の規定により十分に対応が可能であるという事実を想起するなら、秘密保全法制定のための立法事実は十分に検証されておらず、制定の必要性はまったく裏付けられていないことは明らかである。
7 国民が主権者として判断するためには、情報開示の姿勢こそが望まれる
報告書が「特別秘密」とする「①国の安全、②外交、③公共の安全及び秩序の維持」こそ、国民が主権者として判断することが必要な事項である。何が我が国の利益になるか、何が国民の安全になるかについて、国民が判断するためには、政府が保有する情報を広く開示していくことこそが望まれる在り方であり、その統制に向かおうとする姿勢は、方向性をまったく間違えているといわざるをえない。
よって以上のとおり決議する。
2012年5月18日
新潟県弁護士会定期総会

死刑執行に抗議する会長声明
声明の趣旨
平成24年3月29日、約1年8か月ぶりに3名の死刑囚に対し、死刑の執行がなされた。この点に関し、新潟県弁護士会会長として、以下のとおり声明する。
1 死刑の執行が、執行に反対する意見において提起されてきた多くの疑問点について十分に議論することなく、意見の趣旨を軽視して断行されたことについては、極めて遺憾である。
2 国会は、死刑の執行を一時的に停止する法律の制定に向けて最大限の努力をして実現にこぎつけるべきである。
3 国会は、死刑判決の確定後6か月以内に法務大臣が執行命令を出さなければならないとする刑事訴訟法475条2項を削除する立法をすみやかに行うべきである。
声明の理由
1 わが国において、死刑の執行は、千葉景子元法務大臣時代の平成22年8月に執行された後、その後4代の法務大臣からは命令が発せられず、約1年8か月間にわたり執行されないまま推移してきた。しかるに、小川敏夫現法務大臣は、就任直後から「大変つらい職務だが、その職責をしっかりと果たしていきたい」等とのべて積極姿勢を示唆し、就任後約2か月にして、執行命令をするに至った。
2 法務大臣の決断の背景には、死刑制度が現存し、適正な裁判手続を経て死刑判決が確定した以上、法が適正に運用されていることを示すためには死刑を執行しなければならないとの判断があったものと推認される。
しかし、わが国では確定した判決に基づく刑が、死刑判決以外は概ね適正に執行されて治安も維持されているのであり、反対意見が少なくないにもかかわらず、この時期に死刑を執行しなければならない必然性があったとは考えられない。
新潟県弁護士会は、平成21年5月20日開催の総会で、「裁判員裁判施行にあたり多数決による死刑評決に反対し、死刑制度の見直しを求める決議」を賛成多数で可決し、その中で、政府・法務省に対し、死刑制度について、国内外から指摘を受けている問題点に対し、早急に、改善のための具体策を明らかにすることを求めた。また、国会に対しては、死刑廃止も含めた検討を行うことと、その間、法務大臣による死刑の執行を一時的に停止する法律を速やかに制定することを求めた。
今回の死刑執行は、かかる決議の趣旨を踏みにじるものであり、極めて遺憾である。
3 死刑執行によって失われるのは、かつて最高裁判所が「地球よりも重い」と表現したことのある人命である。命の大切さという観点からは、死刑囚であることの一点のみをもって他の人とは違うということはいえない。政府・法務省は、国政の運営にあたり、あらためて生命の尊厳ということに思いを至らせるべきである。
4 死刑制度の存廃論については多くの意見があり、新潟県弁護士会の中でも、意見が一つにまとまっているわけではない。存置論にも廃止論にもそれなりの根拠はある。しかし、命の大切さ、生命の尊厳に対する思いは、双方の論者に共通するはずである。そうであればこそ、死刑の執行を一時的に停止して、この問題を国民全体で広範に議論する機運を盛り上げることこそが正しい道筋である。
5 全国の刑務所に収監されている死刑囚の数は、今回の3人の執行後でも132人と言われている。歴代法務大臣の多くが在任中執行命令を出さないままで任期を終えている。もともと訓示規定であるとはいうものの、刑事訴訟法475条2項本文は守られず、事実上空文化している。その原因は、死刑の執行が、生命の尊厳を尊重するという国家の基本理念に関わる問題であることにあるとみるべきであろう。死刑執行命令を出すかどうかは、現実には、法務大臣の個人的な信条や政治理念に左右されている。命令を出した法務大臣は、苦悩したうえで決断したとしても、死刑制度に反対する人たちから強い非難を受ける。こうしたことは、法治国家としては異常な事態であるといわなければならない。このような事態を打開することは立法府である国会の責務である。国会は、速やかに刑事訴訟法475条2項を削る立法を行い、同時に、死刑の執行を一時的に停止する法律の制定に向けて最大限の努力を開始し、必ずその実現にこぎつけるようにすべきである。
2012年(平成24年)4月6日
新潟県弁護士会
会 長 伊 藤 秀 夫

秘密保全法制定に反対する会長声明
有識者会議の「秘密保全のための法制の在り方について」(以下「報告書」という。)を受けた政府の検討委員会は、2011年(平成23年)10月7日、「秘密保全に関する法制の整備について」を決定し、秘密保全に関する法制(以下「秘密保全法」という。)の法案化を進めることとした。
秘密保全法は、①国が、重要な情報を「特別秘密」に指定し、②指定した「特別秘密」の取扱者を選定し(適性評価制度)、③「特別秘密」を漏えい・取得等した者を処罰する法律である。しかし、同法は、国民の知る権利、取材・報道の自由、プライバシー権など憲法上の人権を侵害する極めて問題のある法律であり、立法の必要性も存在しない。
当会は、秘密保全法制定には反対であり、法案が国会に提出されないよう強く求めるものである。
1.内容不明確かつ恣意的に決められる「特別秘密」
(1) 報告書によると、秘密保全法で保護される「特別秘密」は、「国の安全、外交、公共の安全及び秩序の維持」の三分野のいずれかに関わる、秘匿の必要性の高い情報と定義され、何が「特別秘密」に該当するかは、当該情報を扱う行政機関等が判断するとされている。
(2) しかし、三分野に関する情報は極めて広範囲で、秘匿の必要性という限定も機能しない。そのため、「特別秘密」の意義は不明確で、明確性の原則(憲法21条1項)及び罪刑法定主義(憲法31条)に違反する。また、行政機関等に都合の悪い情報は、全て「特別秘密」とされるなど、行政機関等の恣意的な運用の危険性が大きい。
2.「適性評価」の名の下に多くの国民のプライバシーを侵害する
(1) 報告書によると、指定された「特別秘密」を保全するため、誰が当該情報を取り扱うにふさわしいかを判断する制度として、適性評価制度を導入する。
(2) しかし、同制度は、対象者及びその家族等のプライバシー情報を行政機関等が収集することを認める。対象者及びその家族等の範囲が広範囲に広がることも併せると、適性評価制度は、不特定多数の国民のプライバシー権(憲法13条)を侵害する。
3.内部告発を抑制し、取材・報道の自由、知る権利を侵害する
(1) 報告書によると、「特別秘密」の外部流出について、秘密漏えい、特定取得行為、教唆(独立教唆含む)・共謀・煽動を処罰する規定を設けている。
(2) しかし、「特別秘密」の定義は不明確かつ広範囲である上、「特定取得行為」の概念も犯罪に至らない「社会通念上是認できない行為」としており極めて不明確である。また、共謀・煽動も処罰対象としていること等から、内部告発により国民に重要な情報を公開することを抑制するとともに、内部告発を働きかける報道機関の取材の自由や報道の自由を侵害し、ひいては国民の知る権利(憲法21条1項)を侵害する。
4.弁護人選任権を侵害する
秘密保全法違反の被疑事件や被告事件の弁護人が、被疑者・被告人の接した情報について、それが「特別秘密」に該当するか否かを調査するために関係者から聴き取りを行うことも、秘密保全法違反とされるおそれがある。そうすれば、弁護人の弁護活動は制約され、被疑者・被告人の弁護人選任権(憲法37条3項)を侵害する。
5.立法の必要性は存在しない
秘密の保全は、現行の国家公務員法・自衛隊法等による罰則で十分対応できる。過去の秘密漏えい事件も、秘密を漏えいした公務員に対する起訴猶予処分や、執行猶予付きの有罪判決等の比較的軽い処罰で済んだものがほとんどである。
そうすると、そもそも厳罰化等の要請はないといえ、秘密保全法を制定する必要性はない。
2012年(平成24年)3月27日
新潟県弁護士会 会 長  砂  田  徹  也

刑事公判中の偽証嫌疑による証人逮捕・勾留に関する会長声明
現在、新潟地方裁判所新発田支部に係属中であり、被告人が無罪を主張している窃盗等被告事件において、弁護側の証人として被告人のアリバイを証言した者が、平成24年1月27日、偽証の疑いで逮捕され、その後勾留された。
しかし、無罪主張をしている事件の公判係属中に証人を偽証の嫌疑で逮捕・勾留することは、公判中心主義、当事者対等主義の原則に背くものであり、極めて不当である。検察官は、証人の証言の信用性については、法廷において弾劾すべきであって、証人逮捕という強権的な方法を取るべきではない。
今回のような事態が繰り返されれば、刑事事件の法廷で証言しようとする証人に対し、検察側に沿った証言をしなければならないという心理的圧力を与え、証人は記憶に従った自由な証言ができなくなる。その結果、真実発見が阻害され、誤った判決を導く危険性が高まり、ひいては被告人の公正な裁判を受ける権利が奪われることになる。
仮に偽証が疑われる場合であっても、証人が証言した裁判の公判係属中に当該証人の身柄拘束等を伴う強制捜査を行うことは、極力謙抑的であるべきで、安易に行うべきではない。本件でも、罪証隠滅の余地が乏しく、また、逃亡する可能性が低く、勾留の必要性があるとは認められないとして、準抗告により勾留決定が取り消されている。
日本弁護士連合会(以下「日弁連」という。)は、昭和43年の第11回人権擁護大会において、いわゆる八海事件などの刑事事件公判中、偽証嫌疑による証人の逮捕が行われたことを受け、被告人が無罪を主張する事件の公判係属中においては、「検察官は公訴事実の立証につき証人逮捕という権力的な方法をとらず、他の合理的方法によるべきである。」と決議し、法務大臣及び検事総長に対する要望として執行している。
平成13年1月17日には、検察側証人が公判前に供述していた内容とは異なる証言をしたとして、同事件の被告人が無罪を主張して公判係属中であるにもかかわらず、秋田地方検察庁が偽証などの疑いで同証人を逮捕し、秋田地方裁判所もその勾留を認めたという事件が生じたが、同月19日、日弁連は、前記決議に違背する事態が再び発生したことに対して、「法廷における真実の証言を確保し、被告人の公正な裁判を受ける権利を保障する見地から、前記決議の趣旨が徹底され、同様の事態を今後招くことのないよう求めるものである。」と抗議の会長声明を発している。
このように、日弁連から繰り返し決議や声明が出されているにもかかわらず、この度同様の事態が発生したことは極めて遺憾である。
当会は、公正な刑事裁判の実現と真実発見の見地から、今回の証人逮捕・勾留に対して厳重に抗議するとともに、今後、同様の行為が繰り返されることのないよう強く求めるものである。
2012年(平成24年)2月28日
新潟県弁護士会 会 長  砂 田 徹 也

「米百俵」の精神を受け継いで -法曹養成制度における給費制の意義を考える-
宣    言
司法権の根幹にある「法の支配」は、他の二権の多数意思による人権侵害をチェックするために、現行憲法により司法権に付与された違憲法令審査権を背景としている。
法の支配を担うのは、法曹である裁判官、検察官及び弁護士である。将来の法曹にふさわしい人材を養成する法曹養成制度のありようは、それ自体、司法権の独立性のみならず司法権の機能にも深く関わっているというべきである。
司法修習制度は、統一、公平、平等の理念のもと、昭和22年、戦後の疲弊、困窮による混乱期に誕生した。当初から司法修習生には給与が支給されてきた。
給費制について、当時の法制局は、裁判官や検察官と同じように、弁護士も国家事務を行うものである、弁護士になるには司法修習生を必ず経なければならないものであるから給与を支給する旨説明し、以来、64年に亘り、司法修習制度における給費制は維持されてきた。
この、「弁護士も国家事務を行うものである」との認識は、弁護士は民間でありながら司法権の機能に深く関わり、裁判官や検察官と同等に公益的立場にあることを端的に示すとともに、司法を担うにふさわしい法曹養成は国家の責任と負担によっておこなうべきであるとの意思を明確に示したものというべきである。
「法曹養成に関するフォーラム」は、昨年11月26日の裁判所法改正の際になされた以下の衆議院の附帯決議を実施するために本年5月13日に設置された。
政府及び最高裁判所は、裁判所法の一部を改正する法律の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 改正後の裁判所法附則第四項に規定する日までに、個々の司法修習終了者の経済的な状況等を勘案した措置の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。
二 法曹の養成に関する制度の在り方全体について速やかに検討を加え、その結果に基づいて順次必要な措置を講ずること。
右決議する。
給費制は、法曹養成制度を経済的側面から支える重要な柱であり、その採否如何によっては、その制度趣旨の根本的変更を伴うものというべきである。
ところが、フォーラムでは、第3回目の7月13日に、貸与制を前提として議論をするとの方向でとりまとめがなされた。回答率14%にも満たない弁護士の所得調査のデータが提出されるなどして、貸与金の返済は可能との認識に至ったため、とされている。
このようなデータ等を根拠にしたとりまとめをすること自体に大きな問題があるというべ
きである。また、検討の順序やあり方を示した、同附帯決議二の、「法曹養成の在り方全体について検討し、その結果に基づいて順次必要な措置を講ずる」という文言にも反するというべきである。
少なくとも、法曹養成制度全体の在り方という制度の根本に関わる議論をした後、他の制度との兼ね合いの中で、給費制の是非を問い、議論を経た上でとりまとめがなされるべきであろう。
その際、給費制導入について、弁護士の公益的立場を前提とした司法修習制度発足当時の法制局の説明を転換すべき必要性の有無を検証することが必要である。
今般の、貸与金の返済可能性のみに焦点を当てた座長の取りまとめは、法曹養成制度のありようを検討する立場にある機関として、拙速且つ不充分であるとの批判を免れないというべきである。
明治3年(1870)5月、戊辰戦争に敗れ疲弊し困窮する長岡藩(現長岡市)の士族には、日に三度の粥(かゆ)すらすすることのできない者もいたという。この窮状を見るに見かねた支藩の三根山藩(現新潟市巻町)の士族たちは、見舞いとして米百俵を贈った。
長岡藩の大参事小林虎三郎は、米の分配を求める士族たちを前に、将来の長岡の発展は人にある、米は人材養成のために学校の建設資金にしようと提案して説得し、米百俵を売却して国漢学校を建て、今日の長岡発展の礎をつくった。
これがいわゆる「米百俵」の故事であり、危急存亡のときにこそ将来を見据えた先見を持つべきこと、それが今を生きる人間の務めであることを教えている。
現在、将来の司法を担おうと希望する若者たちが激減している。
私たちは、これが、有為な人材の司法離れと、それによる法曹養成制度の弱体化を招きかねず、将来的に司法権の機能低下につながりかねない、という危惧を共有した。
私たちは、この「米百俵」の精神に学び、震災復興の中にあっても、先人が持ち合わせた先見の明を持ち続けたいと考える。
私たちは、司法修習生の給費制が、法曹養成制度の根幹として、将来においても維持存続されるべきであること、それが米百俵の精神を受け継ぐ私たちの先見であることを確認するとともに、フォーラムに対し、現下における法曹養成制度の矛盾やゆがみ並びにその根本的な是正について徹底した議論を行ったうえで、再度、給費制の是非について検討するよう求める。
以上宣言する。
平成23(2011)年7月30日
市民集会
「米百俵」の精神を受け継いで
-法曹養成制度における給費制の意義を考える-
主催 新潟県弁護士会  共催 日本弁護士連合会・関東弁護士会連合会

守田貴雄司法書士に対する懲戒処分に関する会長談話
平成23年4月8日、新潟地方法務局長は、新潟市内で司法書士業務を営む守田貴雄司法書士に対し、債務整理事件における司法書士法等違反行為を理由として、4月22日から1か月間の業務停止処分をした。
当会が聞知するところでは、同司法書士は、数百名の債務整理事件を受任しており、今回の業務停止処分の結果、債務整理を依頼した方々に混乱や被害が発生しかねない事態が予想される。
新潟県弁護士会は、債務者の生活再建の視点で多重債務者の救済活動に長年取り組んできたものであり、同司法書士のこの度の行為は甚だ遺憾である。当会の会員は、今後も、多重債務者の救済の観点から、法に基づく債務の減免や過払金の取戻しなどに誠実に取り組む決意であり、当会は、同司法書士に依頼した方々の混乱と被害の発生を防止するため、本日、無料電話相談を開始した。
2011年(平成23年)4月22日
新潟県弁護士会会長 砂 田 徹 也

少年に対する死刑確定に関する会長談話
最高裁判所は、1994年(平成6年)秋、大阪、愛知、岐阜の3府県で少年らのグループによって計4人の若者を死亡させた、いわゆる連続リンチ殺傷事件の被告人ら3人の死刑判決に対する上告について、3月11日、上告を棄却する判決を下した。
1983年(昭和58年)7月8日のいわゆる永山最高裁判決以降、犯行当時少年に対する死刑判決が確定しているのは2人だけであるところ、この度の上告棄却により、犯行当時少年であった被告人ら3人に対する死刑判決が確定することになる。
死刑については、死刑廃止条約が1989年12月15日の国連総会で採択され(1991年発効)、1997年4月以降、国連人権委員会(2006年国連人権理事会に改組)は「死刑廃止に関する決議」を行い、その決議の中で日本などの死刑存置国に対して「死刑に直面する者に対する権利保障を遵守するとともに、死刑の完全な廃止を視野に入れ、死刑執行の停止を考慮するよう求める」旨の呼びかけを行った。また、2008年10月には国際人権(自由権)規約委員会は、日本政府に対し、「政府は、世論調査の結果に拘わらず死刑廃止を前向きに検討し、必要に応じて国民に対し死刑廃止が望ましいことを知らせるべきである。」との勧告をしている。
また、死刑廃止国は着実に増加し、1990年当時、死刑存置国96か国、死刑廃止国80か国(法律で廃止している国と過去10年以上執行していない事実上の廃止国を含む。)であったのに対し、現在は、死刑存置国58か国、死刑廃止国139か国(前同)となっており、死刑廃止が国際的な潮流となっていることは明らかである。
とりわけ、少年については、死刑については、子どもの権利条約は18歳未満の子どもに対する死刑を禁止しており、少年法も第51条で「罪を犯すとき18歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する。」として、罪を犯した当時18歳未満の少年に対しては死刑を科さないとしている。これは、18歳未満で重大な事件を起こした少年の場合、成育過程においていくつものハンディを抱えていることが多く、精神的に未成熟であることから、あらためて成長と更生の機会を与え、自らの行為の重大性に向き合わせようとする趣旨である。本裁判における少年は犯行当時18歳であったが、これらの法の趣旨は、犯行当時18歳の少年に対する判決においても尊重されるべきである。
このような状況の下で、最高裁判所が犯行時少年であった被告人3人に対し、少年事件の特性に何ら考慮を払うこともなく、死刑判決を確定させたことは誠に遺憾であるといわねばならない。
当会は、2009年(平成21年)5月20日の定期総会決議において、「生命の尊厳」を尊重しなければならないという立場から、「裁判員裁判施行にあたり多数決による死刑評決に反対し、死刑制度の見直しを求める」決議を採択し、2010年(平成22年)8月11日、「死刑執行に関する会長声明」において、裁判員裁判制度のあり方も踏まえながら死刑制度に対する国内外からの問題点の指摘を真摯に受け止め、死刑廃止を含めた死刑制度に関する国民的議論を行うことを求め、同年12月10日、「裁判員裁判における死刑判決についての会長談話」において、裁判員裁判において少年に対して死刑判決を下すことの問題点を指摘してきたところである。本判決を契機として、改めて、政府に対し、死刑確定者に対する処遇の実態や死刑執行方法などの情報を、今後裁判員となりうる国民一般に広く公開し、死刑制度の存廃を含む在り方について国民的議論を行うよう、改めて求めるものである。
2011年(平成23年)3月22日
新潟県弁護士会 会 長  遠 藤 達 雄

身体拘束を受けた少年に対する全面的国選付添人制度の早期実現を求める決議 決議理由
1 弁護士付添人の現状
(1) 国選付添人制度
2007年(平成19年)に発足した国選付添人制度は、その対象を、ア。いわゆる重大事件(①故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪、②死刑又は無期若しくは短期2年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪であり、「家庭裁判所が弁護士である付添人の関与が必要であると認めるとき」)、イ。被害者等による少年審判の傍聴が許されたときに限定している。このように極めて限られた制度であるため、2009年(平成21年)度の国選付添人の選任数は、全国で550人であり、これは少年鑑別所に収容された少年のわずか4.9パーセントに留まっている。
(2) 少年保護事件付添援助制度
弁護士による少年保護事件付添援助制度(以下、「少年付添援助制度」という。)は、財団法人法律扶助協会が1973年(昭和48年)から開始し、日弁連は、1995年(平成7)5月26日の定期総会において、刑事被疑者弁護援助制度及び少年付添援助制度を支えるために、特別会費徴収を決議し、以後特別会費の増額を繰り返しながら、同制度を維持してきた。
当会においては、2004年(平成16年)12月、当会基金からの援助により先駆的に当番付添人制度を創設し、2009年(平成21年)10月より、観護措置が採られた少年について全件付添人制度を実施している。これは、観護措置を受けた少年については、その少年が弁護士付添人の選任を希望する限り、弁護士会の責任により、弁護士付添人を選任するという制度である。
その弁護士付添人の費用は、前記の特別会費による「少年・刑事財政基金」(日弁連)からの支給のほか、当会の独自財源(法律援助基金)によって賄われている。
このように、当会では、日弁連及び当会の財源によって、観護措置が採られた少年について、ほぼ100%の付添人選任を実現している。
2 弁護士付添人の重要性
(1) 少年事件においては、少年が観護措置決定を受けた場合、観護措置の期間中に少年鑑別所での身体拘束を受けることとなる。また、審判の結果によっては、少年院送致、児童自立支援施設等への送致といった長期の身体拘束を伴う処分が下される可能性がある。このように、少年事件では、少年の自由を大きく制限する処分も含まれる。
(2) そのため、非行を犯していない少年が重大な処分を受けるといった冤罪を防止する必要があることは言うまでもなく、非行を犯した少年であっても、適正な手続により適正な処分がなされることが必要である。さらに、非行を犯した少年が、自立・更生して社会に復帰するための援助がなされることが必要である。
(3) 私たちは、このような弁護士付添人の必要不可欠性に応えるべく、少年の人権擁護のために付添人活動を行ってきた。すなわち、弁護士付添人は、少年の立場に立って真相を解明することで、非行を犯していない少年を冤罪から守ってきた。また、少年が非行を犯した場合でも、少年に対する処分が適正な手続により行われるよう付添人の責務を尽くし、必要以上に重い処分がなされないように活動をしてきた。さらに、非行を犯した少年に、内省を促し、被害者に対する謝罪や被害弁償を働きかけ、また、少年の社会復帰後の環境調整に取り組むなど、少年の自立・更生を援助してきた。
3 全面的国選付添人制度実現の必要性
(1) このような弁護士付添人の重要性やこれまで果たしてきた役割からすれば、現在の国選付添人制度が不十分であることは明白である。弁護士付添人により、少年を冤罪から守り、少年に対する適正な手続が確保されるよう活動し、少年の自立・更生を図る必要性は、現在の国選付添人制度の対象となる重大事件や被害者等の傍聴がなされる事件に限られるものではないからである。窃盗や傷害といった比較的軽微な非行事件、さらに少年法特有のぐ犯事件などについても、少年の人権を守り、少年の更生を図る弁護士付添人の活動は非常に重要である。その意味からは、少なくとも、観護措置決定を受けて身体拘束を受けている少年については、少年院送致等の重大な処分を受ける可能性が高いことからも、弁護士付添人の存在は不可欠である。
(2) また、2009年(平成21年)5月21日からは、いわゆる必要的弁護事件については、被疑者国選制度が被疑者段階から国選弁護人を選任できるよう拡充された。そのため、少年も、被疑者段階であれば、窃盗や傷害などの必要的弁護事件について、捜査段階においては、国選弁護人を選任できるようになった。
しかし、成人であれば、起訴と同時に被告人国選弁護人が選任されるにもかかわらず、少年の場合には、前述のとおり国選付添人制度がいわゆる重大事件に限定されているため、家庭裁判所に送致されると同時に、多くの少年が弁護士の関与を失ってしまう制度とされている。このように、少年であるがゆえに、国費での権利保護を受けられなくなるという「置き去り」現象が生じてしまう点で、現在の制度には重大な欠陥がある。
(3) 日弁連及び当会は、このような「置き去り」現象から少年を保護するため、前記のとおり、少年付添援助制度による対応をしているものであるが、この法律援助制度は、我々会員が拠出した資金により運用されており、国選付添人制度が拡大されない限り、その拠出は継続されることになる。
しかしながら、少年の権利保護のために必要不可欠な弁護士付添人の報酬は、国の責務として国費で賄われるべきものであり、現状はあるべき状態とはいえないことは明らかである。
4 総会決議の必要性
日弁連は、2010年(平成22年)12月9日付「全面的な国選付添人制度の実現を求める弁護士会総会決議の発表について(要請)」(日弁連人1第1007号)において、全国の各単位に対して、弁護士会総会決議を行うよう要請をしている。
当会としても、これまで先駆的に当番付添人制度及び全件付添人制度を実施してきた立場において、改めて、少年の立ち直りに不可欠な付添人活動に全力を尽くし、その能力向上ための研鑽を重ねる決意を表明するとともに、当会会員の総意として、身体を拘束された少年への全面的国選付添人実現の一日も早い実現を政府及び国会に強く求める必要があると考え、本決議の提案に及んだ次第である。
2011年(平成23年)2月25日
新潟県弁護士会臨時総会決議

各人権条約に基づく個人通報制度の早期導入及びパリ原則に準拠した政府から独立した国内人権機関の設置を求める決議 決議理由
1 個人通報制度の導入について
(1) 個人通報制度とは、人権条約の人権保障条項に規定された人権が侵害され、国内で手段を尽くしても救済されない場合、被害者個人などがその人権条約上の委員会に通報し、その委員会の見解を求めて救済を図ろうとする制度である。
(2) 国際人権(自由権)規約、女性差別撤廃条約は、条約に附帯する選択議定書に個人通報制度を定め、人種差別撤廃条約及び拷問等禁止条約は、本体条約の中に個人通報制度を備えている。したがって、わが国が選択議定書の批准、あるいは当該条項の受諾宣言をすることによって、個人通報制度を実現することができる。世界では既に多くの国が個人通報制度を採用しており、OECD加盟30か国やG8の8か国など先進国とされる諸国の中で何ら個人通報制度を有していないのは日本だけである。
このような事態を踏まえ、2008年の国際人権(自由権)規約委員会による第5回日本政府報告書審査に基づく総括所見をはじめとして、各条約機関から、政府に対し、個人通報制度の導入について度重なる勧告を受けるに至っている。このようなことは、わが国の国際的地位からしても誠にふさわしくないものと言わざるを得ない。
(3) また、日本の裁判所は、人権保障条項の適用について積極的とはいえず、民事訴訟法の定める上告理由には国際条約違反が含まれず、国際人権基準の国内実施が極めて不十分となっている。そのため、各人権条約における個人通報制度が実現すれば、被害者個人が各人権条約上の委員会に見解・勧告等を直接求めることが可能となり、わが国の裁判所も国際的な条約解釈に目を向けざるを得なくなると考えられ、その結果として、わが国における人権保障水準が国際水準にまで前進し、また憲法の人権条項の解釈が前進することが期待される。
(4) 日本弁護士連合会は、2010年5月の定期総会において、国内人権機関の設置等とともに個人通報制度の実現をするための決議を採択した。
民主党は、2009年の衆議院総選挙において個人通報制度の導入をマニフェストに掲げ、政権与党となった後も、法務大臣は幾度となくその実現に意欲を示す発言を繰り返しているが、現時点においてもその実現に至っていないのは誠に遺憾である。
2 国内人権機関の設置について
(1) 国内人権機関とは、人権侵害からの救済、人権基準に基づく立法や行政への提言及び人権教育の推進などを任務とする国家機関である。
国連人権理事会、国際人権(自由権)規約委員会、国際人権(社会権)規約委員会、女性差別撤廃委員会、人権差別撤廃委員会、子どもの権利委員会などが、わが国に対し、国内人権機関の設置を求める勧告をしている。
(2) 国内人権機関を設置する場合、1993年12月の国連総会決議「国内人権機関の地位に関する原則」(いわゆる「パリ原則」)に合致したものである必要がある。具体的には、法律に基づいて設置されること、権限行使の独立性が保障されていること、委員及び職員の人事並びに財政等においても独立性を保障されていること、調査権限及び政策提言機能を持つことが必要である。
(3) 現在、わが国には法務省人権擁護局の人権擁護委員制度があるが、独立性等の点からも極めて不十分であり、2002年に提出され、廃案となった人権擁護法案の定める人権委員会は、①法務省の外局として法務大臣の所轄におかれ、政府からの独立性の点に問題がある、②公権力による人権侵害のうち、調査・救済対象が「差別と虐待」に限定され狭すぎるなどの欠陥があった。
(4) 日本弁護士連合会は、2008年11月18日、パリ原則を基準とした「日弁連の提案する国内人権制度の制度要綱」を発表した。
さらに、2010年6月22日には、法務省政務三役が、「新たな人権救済機関の設置に関する中間報告」において、パリ原則に則った国内人権機関の設置に向けた検討を発表するなど、国内人権機関設置に向けた動きがみられており、今こそ、パリ原則に沿った国内人権機関の設置を実現すべきである。
3 結論
よって、当会は、わが国における人権保障を推進し、また国際人権基準を日本において完全実施するための人権保障システムを確立するため、国際人権(自由権)規約をはじめとした各人権条約に定める個人通報制度を一日も早く導入し、パリ原則に合致した真に政府から独立した国内人権機関をすみやかに設置することを政府及び国会に対して強く求めるものである。
2011年(平成23年)2月25日
新潟県弁護士会臨時総会決議

身体拘束を受けた少年に対する全面的国選付添人制度の早期実現を求める決議
1 次代を担う子どもたちは皆、われわれの社会にとって宝であり希望である。すべての子どもたちが、それぞれの能力、特性を十分伸ばし、未来に向かってまっすぐ育っていってくれることを誰しも願う。
しかし時として、家庭環境やさまざまな事情により、「非行」に走る少年がいる。そうした少年に対しても、周囲の人々がつまずきの原因をともに考え、立ち直りに向けて手を差し伸べて行くことが重要であり、弁護士付添人による援助も不可欠である。
弁護士付添人は、少年への適正な手続を保障するとともに、少年につまずきの原因を気付かせ内省の機会を与え、被害者への謝罪や被害弁償を行い、戻るべき家庭や学校、職場等の環境を調整するなどして、少年の立ち直りにとって最も適切な保護処分を受けさせる、という重要な役割を担っている。
また、少年は心身共に未成熟であることから、取調官に迎合し誘導を受けやすく、事実に反する調書が作成される危険も大きく、それによるえん罪を防ぐためにも、弁護士付添人からの援助を受ける意味は大きい。
2 それにもかかわらず、現在成人であればほぼすべての刑事事件において、国の費用で弁護人に依頼し裁判を受けることができるが、少年事件では一部の身柄重大事件で裁判所の裁量による場合等を除き、国費で弁護士付添人を付けることは認められていない。
また、2009年(平成21年)5月の被疑者国選制度の拡充により、少年でも勾留された場合は国選弁護人が付される範囲が拡がったが、家庭裁判所に送致され観護措置が取られると、要保護性の点から引き続き援助の必要性が高いにもかかわらず、一転して国費で弁護士付添人を選任できなくなる。少年を権利保護から「置き去り」状態にしてしまっているのである。
3 日本弁護士連合会では、こうした状態を少しでも解消し、費用を支払えない少年でも弁護士付添人を付けられるように、現在、全会員の特別会費により少年保護事件付添援助制度を実施しているが、それでも弁護士付添人が選任された少年は、少年鑑別所に収容された全少年のうち54%程度にとどまっている(2009年(平成21年)度統計)。
当会においては、2004年(平成16年)12月、当会基金からの援助により先駆的に当番付添人制度を創設し、現在では身柄を拘束されたすべての少年に弁護士を派遣し、観護措置が採られた少年について全件付添人を実質的に実現している。
4 日弁連は、本年2月9日開催の臨時総会において、少年保護事件付添援助制度の維持のため、特別会費の値上げを決議したが、そもそも少年の権利保護のために必要不可欠な弁護士付添人の報酬は、国の責務として国費で賄われるべきものであり、現状は決してあるべき状態とはいえない。
とりわけ、観護措置により身体拘束を受けた少年については、少年院送致等の重大な保護処分を受ける可能性が高く、社会において立ち直りの機会を与えるために環境調整等を行う必要性も高いことから、国費で弁護士付添人を付けることより一層強く求められる。
5 当会は、2010年(平成22年)2月、身柄全面的国選付添人制度の早期実現を求める会長声明を発し、国に対し同制度の早急な実現を求めたが、未だ政府及び国会は、制度実現に向けた動きをほとんど見せていない。
そこで、当会は、改めて、少年の立ち直りに不可欠な付添人活動に全力を尽くし、その能力向上ための研鑽を重ねる決意を表明するとともに、当会会員の総意として、身体を拘束された少年への全面的国選付添人実現の一日も早い実現を政府及び国会に強く求める。
以上、決議する。
2011年(平成23年)2月25日
新潟県弁護士会臨時総会決議

各人権条約に基づく個人通報制度の早期導入及びパリ原則に準拠した政府から独立した国内人権機関の設置を求める決議
第1 決議の趣旨
当会は、わが国における人権保障を推進し、国際人権基準の実施を確保するため、以下の2点を速やかに実現するよう政府及び国会に対して強く求める。
1 国際人権(自由権)規約をはじめとした各人権条約に定める個人通報制度を導入すること。
2 「国内人権機関の地位に関する原則(パリ原則)」に合致した真に政府から独立した国内
人権機関を内閣府外局に設置すること。
2011年(平成23年)2月25日
新潟県弁護士会臨時総会決議

裁判員裁判における死刑判決についての会長談話
11月16日、横浜地方裁判所において、強盗殺人等に問われた被告人に対して、裁判員裁判事件で初めての死刑判決が言い渡された。さらに、11月25日、仙台地方裁判所において、犯行当時18歳7か月であった少年に対して、死刑判決が言い渡され、12月7日、宮崎地方裁判所において、22歳の男性に対し、3例目の死刑判決が言い渡された。
裁判員制度下では、法定刑に死刑が含まれる重大事件は裁判員裁判対象事件とされており、特に検察官が死刑を求刑する場合には、一般市民から選任される裁判員は、死刑を選択すべきか否かの極めて重い判断に直面することとなる。
記者会見等の報道によれば、横浜地方裁判所の判決に関与した裁判員の多くは、短い期間で重い決断を下すことについての深い苦悩と大きな精神的負担があったとの感想を述べている。裁判長が、被告人に対して、「控訴を勧めます」との異例の説示を行ったことも、自分たちの判断だけで死刑を確定させたくないとの裁判員の心情に配慮したものであったとみられる。また、仙台地方裁判所の判決に関与した裁判員は、「一生悩み続ける」「判決を出すのが怖かった」との感想を述べ、判決言い渡しに際して涙をこぼしていた裁判員もいたという。
これらの判決については、各種報道においても、「死刑」という重大な決断を下すのに、裁判員の負担が大きすぎないか、3日間という評議の期間が十分であったか、少年事件については、少年法の理念に基づいて更生の可能性を検討する必要があり、短期間で裁判員から判断してもらうのは困難であるなどの意見がみられるところである。
これらの死刑判決は、そもそも死刑制度の存廃を含む在り方についての国民的議論を経ないまま、裁判員を死刑求刑事件の量刑に関与させることの問題点を示すものである。死刑制度そのものについて十分な情報開示や議論がないまま、裁判員を死刑判決に関与させることは、裁判員の精神的負担を著しく過重なものとする一方、死刑判決を下すのに十分な検討がなされたかについての懸念を残す結果となる。
とりわけ、少年に対する死刑については、子どもの権利条約は18歳未満の子どもに対する死刑を禁止しており、少年法も第51条で「罪を犯すとき18歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する。」として、罪を犯した当時18歳未満の少年に対しては死刑を科さないとしている。これは、18歳未満で重大な事件を起こした少年の場合、成育過程においていくつものハンディを抱えていることが多く、精神的に未成熟であることから、あらためて成長と更生の機会を与え、自らの行為の重大性に向き合わせようとする趣旨である。本裁判における少年は犯行当時18歳であったが、これらの法の趣旨は、犯行当時18歳の少年に対する判決においても尊重されるべきである。しかし、短期間の審理の中で、裁判員が少年法の理念を十分に踏まえつつ、十分な証拠に基づいて判断を下すことは極めて困難な作業であると言わざるを得ない。
上記の点について十分な検討が行われるためにも、当会は、政府に対し、死刑確定者に対する処遇の実態や死刑執行方法などの情報を、今後裁判員となりうる国民一般に広く公開し、死刑制度の存廃を含む在り方について国民的議論を行うよう、改めて求めるものである。
2010年(平成22年)12月10日
新潟県弁護士会 会長 遠藤 達雄

取調べの全面可視化を求める決議
1 2010年(平成22年)9月10日、大阪地方裁判所は、心身障害者団体としての実体がない組織に対し、虚偽の公的証明書を発行したとして逮捕・起訴された厚生労働省元局長に対して、無罪判決を言い渡した。
この事件で、大阪地検特捜部の検察官らは、捜査段階で元局長の元部下ら関係者に対する取調べで、元局長の事件への関与を認めさせる供述調書を作成し、これを拠り所として元局長を起訴した。しかし、元部下らの公判廷における証言や被疑者ノート等により、実際には元局長は事件に関与しておらず、供述調書の内容は検察官の強引な取調べにより、予め描かれたストーリーに沿って作文された虚偽であることが明らかとなった。また、この事件では、特捜部の取調べ検察官全員が、その取調べメモを廃棄したと証言し、取調べメモの廃棄が明らかとなった。
2 さらに、この事件については、同月21日、大阪地検特捜部の主任検事が、証拠として押収したフロッピーディスクを改ざんしたとして逮捕され、10月11日起訴された。報道によれば同検事は起訴事実を認めているという。その後、改ざんの事実を知りながら、大阪地検検事正及び次席検事に故意ではないとの虚偽の報告をしたとして、特捜部長と副部長も逮捕・起訴された。これが事実であるとすれば、大阪地検特捜部が、組織ぐるみで客観証拠を歪め、罪を犯していない一市民を逮捕し、5ヶ月にもわたり身柄を拘束し、冤罪に陥れようとしたことになる。検察が組織ぐるみで無実の人に罪を着せる犯罪行為をしていた疑いがもたれているものであって、まさに、刑事司法の根幹を揺るがす事態である。
3 このフロッピー改ざん事件の最中、今度は大阪府警において、警部補が、任意で事情聴取していた男性に対し、大声を浴びせ続けたりするなどして自白を強要し、その内容を録音したICレコーダーのファイルを削除しようとしたという事件が発生した。検察に次いで、警察における密室の取調べでも違法不当な捜査が行われている実態が明らかになった。
4 これまでも、数々の冤罪事件等において、捜査機関の違法な行為が指摘されてきたが、これら一連の事件において、我が国の刑事司法において、警察官・検察官の見立てたストーリーにあわせて、強引な誘導やときには脅迫によって虚偽の内容の供述調書を作成したり、証拠を廃棄したり、証拠の捏造までして無罪の証拠を隠すなど、意図的に証拠を操作してでも有罪に持ち込もうとする違法不当な捜査手法が行われてきたことが白日の下に晒された。
5 これらの事態は、当該警察官や検察官の個人的な資質、偶発的問題では到底すまされず、日本の刑事司法における捜査の構造的ないしは制度的問題であるとの認識に立って、冤罪を防止するための構造的・制度的な改革を行う必要がある。
そのためには、まずもって、違法不当な捜査の温床となっている密室での取調べを是正し、直ちに取調べ全過程の録音・録画(全面可視化)を実現する必要がある。全面可視化の実現は、取調べの過程を事後に検証することを容易にするだけでなく、冤罪の原因となっている違法不当な取調べ自体を抑制することができるからである。
6 これに対し、法務省は、2010年(平成22年)6月18日に「被疑者取調べの録音・録画の在り方について~これまでの検討状況と今後の取組方針~」(以下「法務省方針」という。)を公表したが、かかる法務省方針は、「録音・録画を行うべき取り調べの範囲についても、さらに検討を要する。」とするなど多くの検討課題を列挙し、「平成23年6月以降のできる限り早い時期に、省内勉強会としての検討の成果について取りまとめを行う」などとしている。
しかし、取調べの一部録音・録画では、捜査側に都合のよい部分だけが録音・録画されかねず、かえって危険である。また、法務省指針で示された「検討」に1年もの時間を要するとは到底考えられない。密室での取調べを理由とする虚偽自白、冤罪が頻発している中で今回の一連の事件が発生しているのであり、裁判員裁判も実施されていることからしても、現時点において、取調べの全面可視化は、喫緊の課題であり、もはや一刻の猶予も許されない。
7 当会も、取調べの全面可視化については、総会決議、会長声明等により再三にわたって訴え続けてきたところであるが、本件を契機にあらためて、被疑者等取調べの全面可視化の実現のため、全力を挙げて取り組むことを宣言するとともに、政府及び国会に対し、法務省指針を根本的に改めて、直ちに取調べの全面可視化の実現のための立法作業を開始することを強く求める。
以上決議する。
2010年(平成22年)11月19日
新潟県弁護士会臨時総会決議

明日の「権利の守り手」を育てる市民集会 宣言
1.現在、裁判所法の一部改正により、本年11月1日から司法修習生に対して給与を支払う制度(給費制)が廃止され、代わりに希望者に対して修習資金を貸し付ける制度(貸与制)が導入されようとしている。しかし、この改正には重大な問題がある。
2.司法修習は、修習する個々人の利益のためにこれに職業的技能を身につけさせる制度では決してなく、国民の権利擁護、法の支配の実現に関わる専門家たる法曹を養成する為の制度である。司法試験の合格者に直ちには法曹資格を与えず、なおも引き続き司法修習生に任じて教育を行い、これを終えて初めて法曹資格を与えるという司法修習制度は、国民に対して法曹が果たすべき役割の重大性に鑑みて考案され、長年にわたり実践されてきた、我が国における伝統的法曹養成制度の総仕上げの段階である。
そして、このような責務を全うできる人材を育成するため、司法修習生には修習専念義務が課せられ、その期間中は他の職業に就いて収入を得る方法が閉ざされている。法曹養成にとって修習専念義務は不可欠であるところ、給費制は、司法修習生の生活を支え、修習専念義務を実質化し、その実現を裏付けるための大前提であり、両者を切り離すことはできない。
3.また、新司法試験制度のもとでは、司法修習生となるためには原則として法科大学院に最低2年間通学することが要求されているため、法曹を志す者は法科大学院在学中の学費・生活費の経済的負担を覚悟しなければならない。この上給費制が廃止されれば、司法修習期間中の経済的負担もこれに加わることとなる。これでは、そもそもこれらの経済的負担に耐えられない経済的弱者は法曹への志望を断念せざるを得なくなる。
司法制度改革の理念は、国民の権利擁護を担う有為な人材を多様な層から得るというものであったはずである。給費制廃止は、この理念に逆行するものであり、国民の権利擁護を担い、法の支配を実現するという重大な責務を担う法曹が特定の層に偏ることは、我が国にとって大きな国家的・社会的損失である。
4.以上の理由から、司法修習制度の根幹を揺るがし、司法制度改革と矛盾する貸与制への移行に反対し、給費制維持を求めることをここに宣言する。
2010年9月19日
明日の「権利の守り手」を育てる市民集会

2323 ら特集新潟弁護士会③

新潟県弁護士会
ttp://www.niigata-bengo.or.jp/
新改正案は、与野党の修正協議を踏まえ、申請の際に申請書及び添付書類の提出を求める24条については、1項の「保護の開始の申請は…申請書を…提出してしなければならない」との文言を「保護の開始を申請する者は…申請書を…提出しなければならない」との文言に変更し、また、同条1項及び2項に、いずれも、「特別の事情があるときは、この限りでない」とのただし書を加え、申請の意思表示と申請書等の提出を概念的に切り離す形に変更されている。これに対し、扶養義務者への通知及び調査に関する改正案24条8項、28条及び29条については、旧改正案に対し一切の修正がなされていない。
第183回通常国会審議の際の政府答弁等によれば、まず、改正案24条については、従前の運用を変更するものではなく、申請書及び添付書類の提出は従来どおり申請の要件ではないこと、福祉事務所等が申請書を交付しない場合も、ただし書の「特別の事情」に該当すること、給与明細等の添付書類は可能な範囲で提出すればよく、紛失等で添付できない場合も、ただし書の「特別の事情」に該当すること等を、法文上も明確にする趣旨で原案を修正したとされている。しかしながら、法文の形式的な文言のみからは、修正の趣旨がなお不明確であり、また、従前の運用を変更しないのであればそもそも法文の新設は不要なはずである。このままの規定であれば、法文が一人歩きし、申請を要式行為化し厳格化したものであると誤解され、違法な「水際作戦」をこれまで以上に、助長、誘発する可能性が極めて大きい。
また、改正案24条8項、28条及び29条については、政府答弁において、明らかに扶養が可能な極めて限定的な場合に限る趣旨であると説明されている。しかし、かかる規定の新設により、保護開始申請を行おうとする要保護者が、扶養義務者への通知等により生じる親族間のあつれきやスティグマ(世間から押しつけられた恥や負い目の烙印)を恐れて申請を断念するという萎縮効果を一層強め、申請権を形骸化させることは明らかであり、到底容認できない。
以上の通り、新改正案についても旧改正案に見られた基本的問題点は何ら払拭されていないと言わざるを得ない。
一方、当会は、2012年(平成24年)10月17日付意見書において、生活保護 基準が下がれば、現にぎりぎりの生活をしている生活保護を利用している人たちの生活費が減額され、また、生活保護の受給がより困難になる結果、多くの低所得の人たちの生活が危機にさらされ、その生命、健康にもかかわる取り返しのつかない結果を招きかねないことを指摘し、生活保護基準を引き下げることに対し強く反対することを表明した。それにも関わらず、政府は、世帯構成によって3年間で最大10%に及ぶ生活扶助費の引き下げを、本年8月から強行した。
さらに、本年10月4日に再開された厚生労働省の生活保護基準部会においては、住宅扶助や加算の見直し等が議論の対象とされており、今後さらなる生活保護基準の引き下げがなされるおそれもある。
憲法25条は、すべての国民に対し生存権を保障し、国に対し社会福祉、社会保障の向上増進に努める責務を課している。
それにもかかわらず、生活保護法の改悪と生活保護基準の引き下げを同時に進めようとしている政府の姿勢は、憲法尊重義務に明らかに反するものというべきであり、到底容認できない。
当会は、本年9月21日、生活扶助基準削減や今回の生活保護法「改正」の問題点を直視し、制度の改善と充実した支援のあり方を考えるために、「日弁連第56回人権擁護大会プレシンポジウム及び貧困問題全国キャラバン 生活保護が危ない~生活保護のあり方 あるべき支援を展望する~」を開催した。このプレシンポジウムの来場者は115名に上り、当会が参加者に対し配布したアンケートには65名もの方が回答した。参加者からは、「憲法に照らし、だれでも利用しやすく、自立しやすい制度にとの考え、また一人一人への人権の尊重が本当に大切と思います。」、「水際で保護を希望する人をシャットダウンする方法は無意味であるとあらためて感じた。」などの真摯な声が寄せられた。これらの回答にあるように、保護が必要な人に必要な支援がいきわたるようにすることこそが、生活保護法の目的であり、当会のプレシンポジウムの主題でもあった。政府は、このような声にこそ耳を傾けるべきである。
よって、当会は、新改正案の廃案を改めて強く求めるものである。
2013年(平成25年)10月24日
新潟県弁護士会 会長 味 岡 申 宰

特定秘密の保護に関する法律案に反対する会長声明
政府は、秘密保全に関する法制の整備のための法案化作業に取り組んできたが、2013年(平成25年)9月3日、法案化作業の検討結果を「特定秘密の保護に関する法律案(以下「本法案」という)の概要」として取りまとめた。しかしながら、日本国憲法の基本原理を尊重する立場から、以下の理由に基づき、当弁護士会は、本法案の国会提出に反対する。
1 国民の憲法上の権利などに重大な影響を与えるおそれのある法案の立法化には、当該法案を必要とする具体的な事情の存在が必要不可欠である。2011年1月4日に政府が設置した秘密保全のための法制のあり方に関する有識者会議で紹介された過去の情報漏えい事案については、自衛隊法の改正など既に必要以上ともいえる対策がとられているのであって、新たな立法を必要とする具体的な事情はない。
2 本法案において保護される「特定秘密」とは、「防衛に関する事項」、「外交に関する事項」、「外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止に関する事項」、「テロ活動防止に関する事項」の4分野のいずれかに関わる、秘匿性の高い情報(別表等であらかじめ列挙されたもの)と定義される。しかし、上記4分野の別表の定めは、具体的な対象を限定したものということができない。例えば、原子力発電所に関する情報は、発電所がテロリストの攻撃対象にされる「テロ活動防止に関する事項」とされうるなど、あらゆる情報が上記4分野に含むとする解釈が行われる危険性が高いからである。そのため、「特定秘密」の意義は不明確であると言わざるを得ない。2011年3月の福島第一原子力発電所の事故に関する政府の情報管理の運用実態に照らすと、行政機関に都合の悪い情報は全て「特定秘密」にされる危険性が高いものといえ、広範囲の重要な情報が国民から隠されるおそれがある。
3 本法案は、指定された特定秘密を保全するため、誰が当該情報を取り扱うにふさわしいのかを判断する制度として、適性評価制度が導入することを予定している。すなわち、本法案は、「特定秘密」の取扱いを行う職員に関し、当該職員本人のみならずその家族及び同居人の氏名、生年月日、国籍及び住所という個人のプライバシー情報の収集を認めている。しかし、「特定秘密」が広範囲であり、調査の対象者も広く、取扱者に関する調査事項も無限定に近いことも併せると、「適性評価」の名の下に職員のみならずその家族のプライバシーが侵害される危険性が大きい。また、本法案は、対象者に対する調査事項として、「外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全への脅威となる諜報その他活動並びにテロ活動との関係に関する事項」などを予定する。しかし、「我が国及び国民の安全への脅威となる諜報その他活動並びにテロ活動との関係に関する事項」の定義も不明確であることから、適性評価制度においては、行政機関の広範な情報収集に基づく恣意的判断によって思想信条を理由とする差別が行われるおそれがあり、思想信条の自由が侵害される危険性が高い。
4 本法案は、特定秘密の外部流出を防止するため、秘密漏えい、特定取得行為、教唆、共謀、煽動を処罰する規定を設けている。しかし、秘密漏えいの処罰は、特定秘密の意義が不明確であるため、国民に重要な情報を公開しようとする正当な内部告発を抑圧する。また、特定取得行為の処罰は、特定秘密の意義が不明確であることと併せて、対象となる行為の範囲も広範にわたるため、報道機関の報道の自由、国民の知る権利を侵害する危険性が高い。さらに、教唆、共謀、煽動と、全く特定秘密の漏えい行為がなされていない段階での処罰は、特定秘密の意義が不明確であることと併せて、過度の萎縮効果をもたらすという点で、報道の自由や知る権利を侵害する。
5 「特定秘密」の対象となる「防衛に関する事項」、「外交に関する事項」、「外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止に関する事項」、「テロ活動防止に関する事項」の4分野は、主権者たる国民が判断すべき国政の重要な事項である。何が国政にとって重要なのかを判断するためには、政府が保有する情報を広く国民に開示することこそが望ましい在り方である。情報の統制を目的とする法案は情報開示の姿勢に真っ向から反し、国民主権を否定する危険性が極めて高いものである。
6 以上から、当弁護士会は本法案が立法化されることに強く反対し、政府が本法案を国会に提出しないことを求める。
2013年(平成25年)9月24日
新潟県弁護士会 会長 味岡 申 宰

憲法第96条の憲法改正発議要件緩和に反対する決議
決議の趣旨
当会は、憲法第96条を改正して、憲法改正の発議要件を緩和することに強く反対する。
決議の理由
1 憲法第96条を改正しようとする最近の動き
憲法第96条は、憲法改正の要件について、各議院の総議員の3分の2以上の賛成による憲法改正案の発議と国民投票による過半数の賛成による承認を必要とする旨定めている。
これについて、自由民主党(以下、「自民党」という。)は、2012年4月27日に発表した「日本国憲法改正草案」の中で、第96条の憲法改正の発議要件を衆参各議院の総議員の過半数にする改正案を打ち出し、6月20日には、7月の参議院選挙の公約としている。また、日本維新の会も同様の提案をし、みんなの党も衆議院憲法審査会における討議において要件緩和を主張している。
憲法第96条を改正して憲法改正の発議要件を緩和しようとするのは、憲法改正を容易にして、その後、憲法第9条や人権規定、統治機構の条文等を改正しようとの意図からなされていると思われる。
特に最近の自民党の議論を見ると、まずは改正手続の発議要件を緩和し、内容的な改正は後の国民的議論によるべきであるなどとして、最終的な狙いとする憲法第9条等の改正を議論の土俵にあげていない。仮に憲法改正の必要性があると考えるのであれば、現行の憲法第96条の手続のままでその改正案を提示し、正面から国会で審議をして、国民の審判を仰げばいいのであって、憲法の生命線ともいえる改正手続きそのものを緩和して、思いのまま目的を果たそうというのは、国民に対する不誠実な態度というほかない。
2 国会の発議要件が3分の2以上とされた理由
憲法は、基本的人権を守るために、国家権力の組織を定め、たとえ民主的に選ばれた国家権力であっても、権力が濫用されるおそれがあるので、その濫用を防止するために、国家権力に縛りをかける国の基本法である(立憲主義)。
そこには、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という、安易に変更されることがあってはならない国家の根本原理が規定されている。
憲法の定める基本的人権は、憲法第11条が「この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる。」とし、憲法第97条が「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、過去幾多の試練に耐え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」としているとおり、侵害することの許されない永久の権利である。
そして、この基本的人権の尊重こそが憲法の最高法規性を実質的に裏付けるものであり、この条項に引き続く憲法第98条は「この憲法は、国の最高法規であって」と、憲法の最高法規性を宣言している。
また、憲法は、統治機構についても、国会の二院制や国会議員の任期、内閣総理大臣の指名手続や内閣の職務、裁判官の独立や違憲立法審査権など、その時々の政権与党の都合で揺れ動くものであってはならない事項についての基本的なルールを規定している。
憲法がこのようなものであるからこそ、憲法第96条は、国会による憲法改正の発議には、各議院の総議員の3分の2以上の賛成を要求し、国民に様々な意見や利害が存在する中で、なるべく幅広い意見や利害に共通するような判断ができるように、国民の代表機関である国会に慎重かつ十分な審議を求め、少数者の利害にも配慮できるよう求めているのである。
3 発議要件の緩和は、憲法の安定性を損ない、人権保障を形骸化するおそれがあること
憲法改正の発議要件が緩和され、充実した議論が尽くされないままに国会の各議院の過半数のみの議決で足りるとなれば、極めて容易に憲法改正の発議ができることになる。そうなれば、時の政権の方針で安易に憲法改正の発議がなされてしまい、憲法の安定性が大きく損なわれ、憲法が定めた基本的人権の保障が形骸化してしまうおそれがある。
国の基本法である憲法が、その時々の政権の都合で安易に改正されることは、それが国民の基本的人権保障や国の統治体制に関わるものであるだけに、絶対に避けなければならない。
なお、現在の選挙制度のもとにおいては、たとえある政党が過半数の議席を得たとしても、小選挙区制の弊害によって大量の死票が発生するため、その得票率は5割にはとうてい及ばない場合がありうる。現に2012年12月の衆議院議員選挙では、自民党は約6割の294議席を占めたが、有権者全体からみた得票率は3割にも満たないものであった。
したがって、現在の選挙制度のもとにおいて、各議院の過半数の賛成で発議できるとすれば、国民の多数の支持を得ていない改正案が発議されるおそれが強いのであり、少数者の利害にも配慮した十分慎重な議論が行われなくなる可能性が高いことに留意する必要がある。
4 憲法第96条を改正する理由がないこと ~国民の意思の反映~
憲法改正発議要件を緩和することの理由として、改正案が国民に提案される前に、国会での発議要件が余りに厳格なのでは、国民が憲法についての意思を表明する機会が狭められることとなり、かえって主権者である国民の意思を反映しないことになると主張される。
しかし、既に述べたように、憲法は国の基本原則や基本的人権の保障、統治機構の基本的ルールを定めた最高法規なのであるから、その改正のためには、国民に様々な意見や利害が存在する中で、少数者の意見や利害をも含めたなるべく幅広い意見や利害が調整できるように、国民の代表機関である国会で十分慎重な議論が行われるべきである。
そもそも、日本国憲法は、議会制民主主義を採用し(憲法前文、第41条、第43条)、かかる制度のもとでは、全国民の代表である議員により組織される国会において、少数者の意見や利害にも配慮した十分な審議が行われ、民意が反映・調整されることが期待されている。
憲法第96条は、憲法改正にあたっては、議会において少数者の意見や利害にも配慮した十分慎重な審議を尽くした後、国民の直接的な意思を問うという構造を採っているものである。
したがって、上記主張のように、憲法改正の発議要件が厳格であると主権者である国民の意思を反映しないことになるという理由は、根拠がない。
さらにいえば、国民が憲法について意思表明をする機会は国民投票に限られたものではなく、まずは、自由な言論や国民の代表者を選挙する過程においてなされるものである。憲法改正についての国民投票は、かかる国民的な憲法論議が熟した後に最終的な決断をするために行われるのである。したがって、国会での特別多数決を経た後に初めて国民投票が行われることは、何ら国民の意思表明を阻害するものではない。
5 憲法第96条を改正する理由がないこと ~諸外国との比較~
発議要件を緩和することの理由として、憲法第96条の要件は、世界的に見ても特に厳しく厳格に過ぎると主張されることがある。
しかし、世界各国の憲法と比較した場合、日本国憲法の改正要件が特別に厳しいというわけではない。
例えば、日本国憲法と同様に、議会の3分の2以上の議決と国民投票を要求している国としては、ルーマニア、韓国、アルバニアなどがある。フィリピンでは、議会の4分の3以上の議決と国民投票を要求している。イタリアでは同一構成の議会が一定期間を据え置いて再度の議決を行い、2回目が3分の2未満のときには国民投票が任意的に行われる。アメリカでは連邦議会の3分の2以上の議決と4分の3以上の州による承認が必要とされている。フランスでは国民投票又は政府提案について議会の議決と両院合同会議による再度の5分の3以上の議決によって憲法が改正される。
このように、世界中には、厳格な憲法改正規定が種々存在し、憲法第96条と同等あるいはそれよりも厳しい改正要件を定めている憲法も少なくないのであって、世界的に見て特別に厳しいということはできない。
6 国民投票制度の不備
憲法は、国の基本的な在り方を定め、人権保障のために国家権力を縛るものであるから、その改正に際しては国会での審議においても国民投票における論議においても、充実した十分慎重な議論の場が必要である。
ところが、2007年5月18日に成立した憲法改正手続法(「日本国憲法の改正手続に関する法律」)には、重大な問題点が未解決のまま残っている。
たとえば、国民投票における最低投票率の規定がないこと、また、国会における発議から国民投票までに十分な議論を行う期間が確保されていないこと、公務員と教育者の国民投票運動に一定の制限が加えられているため、国民の間で十分な情報交換と意見交換ができる条件が整っていないことなどである。
結局、憲法改正に賛成する意見と反対する意見が国民に平等に情報提供されないままに、改正を是とする意見が所与のものとして多数を形成するおそれが大きい。そのため、憲法改正手続法を可決した参議院特別委員会は、これらの重大な問題点に関し18項目にわたる検討を求める附帯決議を行っているのである。
このように、国民投票において十分な情報交換と意見交換ができるように制度設計を図ることの対応が放置されたまま、国会の発議要件の緩和の提案だけが先行するのは、本末転倒と言わざるをえない。
7 結論
以上のとおり、憲法第96条について提案されている改正案は、国の基本的な在り方を不安定にし、立憲主義と基本的人権尊重の立場に反するものとしてきわめて問題であり、許されないものと言わなければならない。
当会は、憲法改正の発議要件を緩和しようとする提案には強く反対するものである。
よって、上記のとおり決議する。
2013年(平成25年)7月8日
新潟県弁護士会臨時総会決議

憲法第96条の憲法改正発議要件緩和に反対する会長声明
昨年12月の総選挙の結果、自由民主党、日本維新の会及びみんなの党の三党は、衆議院において3分の2以上の議席を占めるに至った。これら三党は、憲法第96条の発議要件を、衆参各院の総議員の3分の2以上の賛成から過半数の賛成へ緩和しようとしている。しかし、憲法第96条を改正して、国会の発議要件を緩和することには、以下のとおり重大な問題があるから、当会はこれに強く反対する。
憲法は、基本的人権を守るために、国家権力の組織を定め、たとえ民主的に選ばれた国家権力であっても、権力が濫用されるおそれがあるので、その濫用を防止するために、国家権力に縛りをかける国の基本法である。(立憲主義)
このように、憲法は国の基本的な在り方を定める最高法規であるから、憲法が改正される場合には、国会での審議において、充実した十分慎重な議論が尽くされた上で発議がなされることが求められ、法律制定よりも厳しい要件が定められたものである。
しかるに、国会の発議要件を「3分の2以上」から「過半数」に緩和することは、そのときどきの政権与党が容易に憲法を改正できることとなり、基本法たる憲法の安定性を損なうこととなる。
各国の憲法と比較しても、日本国憲法の改正要件はそれほど厳しいとはいえないし、日本国憲法よりも改正要件が厳しい国もあり、外国の憲法改正規定を根拠として発議要件の緩和を正当化することはできない。
憲法学説においても、憲法改正規定の改正は、憲法改正の限界を超えるものとして許されないとする考え方が多数説である。
小選挙区制を主体とする現行の選挙制度のもとにおいては、多数の国民の支持をえなくても衆参各院で過半数の議席を占めることが可能である。
また、2007年5月18日に成立した憲法改正手続法(「日本国憲法の改正手続に関する法律」)において、最低投票率の規定が設けられず、投票総数(賛成票と反対票の合計とし白票等無効票を除く)の過半数の賛成で憲法改正案が成立するとゆるやかに国民投票の要件が定められたため、憲法96条の改正により国会の議決要件を衆参各院の総議員の3分の2以上の賛成から過半数の賛成へと緩和することは、政権与党が容易に憲法を改正できることとなり、立憲主義の見地から許されないと考える。
以上のとおり、憲法第96条について提案されている改正案は、国の基本的な在り方を不安定にし、立憲主義と基本的人権尊重の立場に反するものとしてきわめて問題であり、許されないものと言わなければならない。
よって、当会は、憲法改正の発議要件を緩和しようとする提案に強く反対する。2013年(平成25年)6月11日
新潟県弁護士会 会 長 味  岡  申  宰

橋下徹氏の従軍慰安婦問題に関する発言に対する会長声明
日本維新の会共同代表であり大阪市長でもある橋下徹氏は、本年5月13日、旧日本軍の従軍慰安婦について「必要だった」と公の場で発言した。また、橋下氏は、沖縄県の米軍普天間飛行場の司令官と会談した際に、合法的な範囲内で風俗業を活用してほしいと進言したことを自ら明らかにした。そして、それらの発言に対する批判… 続

新潟地方裁判所・家庭裁判所の村上支部、柏崎支部、南魚沼支部、糸魚川支部、十日町支部の設置の実現に向けた総会決議
第1 決議の趣旨
当会は、新潟県内における司法過疎偏在を解消するため、国及び関係地方自治体に対し、1項及び2項のとおり要請し、3項及び4項のとおり宣言する。
1 国に対し、新潟地方裁判所及び新潟家庭裁判所にそれぞれ村上支部、柏崎支部、南魚沼支部(旧六日町支部)、糸魚川支部及び十日町支部を設置することを求める。
2 新潟県内の全ての地方自治体に対し、県民・市町村民への司法サービスの充実のために必要な措置を講ずることを求めるとともに、前項記載の各支部管内に所在する市町村及び新潟県に対しては、当該地域における国の司法基盤の整備・充実を重点課題に据えて、その実現のために、国に対する働きかけを継続するなど粘り強く取り組んでいくことを要請する。
3 当会は、前項に記載した取り組みに関して、関係する各地方自治体に対して連携・協力を惜しまないことを宣言する。
4 当会は、県民に対するリーガルサービスの一層の充実を図るため、中規模都市・町等での法律相談センターの設置を進めることを宣言する。
第2 決議の理由
1 当会は、新潟県内における司法過疎偏在の解消のために取り組んできたところである。特に、平成20年度からは、県内各地の法律事務所の実態調査及び解消のための全国各地の取組みを調査研究してきた。その調査研究の成果として、平成23年2月10日、「新潟県内弁護士偏在過疎対策ミニシンポジウム」を開催した。当会会員はもとより、日弁連や柏崎市からも関係者が出席し、司法過疎偏在解消に向けたさらなる活動を誓ったところである。
また、当会は、同月25日、臨時総会において「裁判所支部の充実を求める決議」を行った。同決議において、当会は、新潟県民の司法アクセス改善のため、関係機関に対し、以下の点を実現し、裁判所支部を充実するよう求めた。
(1)新潟地方裁判所長岡支部において、裁判員裁判を実施すること
(2)新潟地方裁判所各支部において、労働審判手続及び行政訴訟事件の取り扱いを可能とすること
(3)新潟地方裁判所長岡支部及び高田支部において、簡易裁判所の刑事を除く判決に対する控訴事件の取り扱いを可能とすること
(4)新潟地方裁判所及び新潟家庭裁判所にそれぞれ、村上支部、柏崎支部、糸魚川支部、南魚沼支部(旧六日町支部)及び十日町支部を設置すること
(5)裁判官及び検察官の増員及び新潟地方裁判所各支部管内への適正な配置を行うこと
しかし、まことに遺憾ながら、上記要求に対する国の反応は恐ろしいほど鈍重であり、ほとんど何も実現されないままに今日に至っている。上記決議における上記(1)ないし(5)の各事項の実現は、どれひとつをとっても新潟県民の司法アクセス改善にとって不可欠なテーマであることは現在においても全く変わりはなく、むしろ、法の支配を日本全国にあまねく徹底させるとの理想に照らすときは、その重要度、緊要度は一層増大しているというべきであって、決議直後に東日本大震災が発生したという事情を勘案するにしても、裁判所及び財政当局の懈怠に対しては、厳しい批判がなされなければならないところである。
今回あらためて上記事項(4)の点を中心にしてその実現に向けて舵を切るために決議を行うものであるが、他の事項もすべて県民への法的サービスの充実のための重要度が劣るものではなく、当会として、これらの点に関して要求をとりやめたわけでないことはいうまでもない。
2 新潟地方裁判所及び新潟家庭裁判所にそれぞれ村上支部、柏崎支部、南魚沼支部(旧六日町支部)、糸魚川支部、及び十日町支部を設置する必要性
現在新潟県内には、新潟地方裁判所及び家庭裁判所について、それぞれ、本庁(新潟市所在)の外に、長岡支部(長岡市所在)、高田支部(上越市所在)、三条支部(三条市所在)、新発田支部(新発田市所在)、佐渡支部(佐渡市所在)がある。かつては、これらに加えて、村上支部(村上市所在)、柏崎支部(柏崎市所在)、六日町支部(当時の六日町所在)糸魚川支部(糸魚川市所在)、があった。しかるに、平成2年5月の裁判所支部統廃合において、全国で41の地方裁判所・家庭裁判所支部が統廃合された際に、新潟県内においては、村上、柏崎、六日町、糸魚川の4支部が統廃合の対象となり、当会は地元関係者を交えて存続運動を展開し、地元住民との懇談会、県民集会、最高裁判所への陳情、新潟地方裁判所への意見書提出など行ったが、その甲斐なく、いずれの支部も廃止された。
当時の最高裁判所の説明によると、支部の廃止基準は、事件数と、受け入れ庁となるべき隣接の支部又は本庁までの公共交通機関による所要時間との相関関係により判断されたとのことである。
しかし、事件数が少ないからといって、その地域に裁判所がなければ、当該地域に居住する住民にとっては、迅速かつ充実した裁判を受ける権利が満たされないこととなる。地裁本庁管内に居住する住民と比較して極めて不公平である。また公共交通機関による所要時間を基準としたとしても、実際には電車等の本数が少ないことが慮外に置かれてしまっている。裁判所まで出頭することが容易でない人達、すなわち裁判所アクセス弱者と呼ぶべき人の数は少なくなく、それが、国の処置、それも法の番人であるはずの最高裁判所が関与することによって生み出された事態であるということは、法の支配のあまねき徹底という観点に逆行する点において、看過できない重大な疑念をはらむものであった。とくに、上記の各支部が管轄する地域はいずれも豪雪地帯に存し、冬季においては積雪のために交通機関がマヒする事態も頻繁に生ずる。当該地域の住民の裁判を受ける権利を保障するためには、これらの地域に裁判所支部が存在することは必要不可欠である。
近年、上記の廃止された支部管轄区域内に、新たに法律事務所が相次いで開設され、弁護士が定着するようになってきた。柏崎市内2事務所、南魚沼市(旧六日町)2事務所、糸魚川市1事務所である。廃止された支部管轄区域内ではないが、これまで法律事務所のなかった十日町市にも1事務所開設された。柏崎市と糸魚川市については、当該市が事務所開設援助金を支出するという、国内でも画期的な対応により弁護士を迎え入れる形態をとったものである。また、これらの事務所の中には日本弁護士連合会からの援助金を受けているものも含まれている。当会も設置・運営については、様々な角度からアドバイスするなど、支援をしてきたものである。地方自治体や弁護士会が自助努力によって弁護士の過疎地域への進出を促している一方で、国の逆行政策のゆえにもっとも重要な司法基盤である地方裁判所・家庭裁判所支部が廃止されたままになっているというのが、実は司法過疎なるものの置かれている実情なのである。このような情勢に照らせば、廃止された各地裁支部を復活させる必要性は大きいというべきであり、一刻も早くその実現に向けた着手がなされなければならない。
家庭裁判所については、地方裁判所以上に復活の必要性が大きい。
まず、家事事件は、人口に比例して事件が発生する性質があるため、本庁と支部との間での事件格差は顕著ではない。また、家事事件は代理人を付さず、当事者本人で手続きを執る場合も多く、より地域に密着した裁判所であることが要求される。それゆえ、廃止された各家庭裁判所支部を復活させ、当該支部において、家事審判、調停手続が行われるべきである。
少年事件は、少年の可塑性を考慮し、少年自身の保護、育成を主たる目的として審理が行われるという思想を根底にし、少年の家庭環境、生活環境などの社会的事情を考慮しながら、少年の処遇を決めていく手続である。少年の保護、育成のためには、親族、勤務先等関係者の協力が不可欠であるところ、これら関係者が手続に関与するためには、各地域で手続きが執られることが望ましいことはいうまでもない。従って、少年事件についても、廃止された各家庭裁判所支部を復活させ、同支部にて取り扱われるべきである。
また、廃止された支部のほか、十日町市においては、およそ7万人の人口規模があり、一つの社会的・経済的地域であるうえ、日本有数の豪雪地帯であることから、同地域においては、地方裁判所・家庭裁判所の支部設置の必要性は高いといえる。
ところが、現在、十日町市を管轄する地方裁判所支部は長岡支部であるところ、同支部との直線距離は約35キロメートルもある。高速道路を利用して移動したとしても、1時間近くを要する地理的関係にある。住民の中には自動車を持たない者も少なくないと思われるが、十日町市民が長岡支部に行こうと鉄道に乗る場合においては、乗り換えが必要となり、1時間以上を要することになる。同地域は、日本有数の豪雪地帯であるから、降雪時にはこれ以上の時間を要することはいうまでもない。このような地域においても、地裁支部を設置し、当地において紛争を解決すべきであることは他の廃止された支部地域と異なるところはない。
もとより、市民が生活をし、経済活動をすれば、期せずして法的トラブルに巻き込まれることがあるのは、多く経験するところである。その際に、裁判所を利用して、早期に紛争を解決しようと考えるのは正当であり、紛争が長引くことによって、生活や経済活動に支障が生じるのは避けられなければならない。
憲法第32条には、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」と規定し、裁判を受ける権利を保障しているが、これは、既存の裁判制度の枠組みの中で裁判を受ける権利を認める趣旨だけではなく、国民が国に対し、裁判を受ける権利を保障するにふさわしい裁判制度の構築を要求する趣旨も含まれていると考えるべきである。なぜなら、既存の裁判制度自体が国民の裁判を受ける権利を十分に保障できていない場合、それをもとに裁判を受ける権利が保障されても、全ての国民が法の支配の利益を享受することはできないからである。
憲法第32条が、全ての人が裁判制度を通じて自己の権利を行使する機会を保障したものとするならば、いかなる地域に住む人であっても、裁判所にアクセスする機会が実質的に保障されていなければならない。新潟県内においては、廃止された支部の復活及び十日町支部の設置により、はじめて地域住民が裁判所にアクセスする機会が実質的に保障されるものである。
よって、当会は、国に対し、新潟地方裁判所及び新潟家庭裁判所にそれぞれ村上支部、柏崎支部、南魚沼支部(旧六日町支部)、糸魚川支部、及び十日町支部の設置を求める。
3 地方自治体が司法サービスの充実に取り組む必要性と果たすべき役割
裁判所支部の復活及び設置については、地方自治体の自主的努力が欠かせない。
上記した事情から明白なとおり、裁判所支部の統廃合は、国の財政的事情を錦の御旗に展開された経緯が明らかであり、そこでは、サイレントマイノリティー(静かなる少数者)の内なる声は、全くと言ってよいほど無視されてきた。
この点、昭和63年4月の簡易裁判所の廃止においては、新潟県内では当初、十日町、小千谷、巻、新津の4簡易裁判所が廃止対象とされていたところ、十日町及び新津は廃止の対象から外されて存続が決まり、今日に至っている。両簡易裁判所が廃止対象から外された理由については、それぞれの地域の地方自治体が声を挙げて廃止反対運動を展開したことが決定的な意味をもっていたことは明白である。
そもそも地方自治体は、地域住民にとっては国に比べてはるかに身近な存在である。住民が首長や議員、職員などと腹を割って話し合えるという要素も、無視すべからざる意義を持つ。声高に言い難い要求を地道にボトムアップしていくという作業は、まさに地方自治の本質に適合するものというべきである。
司法基盤の整備ということは、経済的利益に直結するように見えないために、地方自治体の首長等にとっては、関心の対象として背後に追いやられがちなのかもしれない。しかし、実際には、解決されるべき法的紛争は、人がいる限りはどこにでも存在しうるものであり、いったんそれが発生すれば、それに関わる者にとって、その事態の深刻さは他の者には伺いしれない重さ、奥行きを備えている。わが国は、「法の支配」の下にあるといわれる。憲法上人権のカタログが用意されており、それが侵害された場合には、最終的には、先に述べたとおり裁判を受ける権利によって実質的に保障されるのである。地方自治体が法の支配の実質化において果たすべき役割は、決して軽んぜられて良いものではない。
加えて、地方自治体が、住民の権利保障と福祉増進の観点から、地域における総合法律支援の実施及び体制の整備に関し、必要な措置を講ずる責務を有しているという事実も忘れるわけにはいかない。現代的な法の支配のあるべき姿ということからすれば、司法基盤の整備が地方自治体の責務であることは、論をまたないところであるというべきである。巷間盛んに喧伝されつつある「地方分権」の射程には、国家が独占する司法権について、国家に対して裁判所支部の恣意的な配置を許容することなく、住民サービスを第一義とした適正配置を要求して実現する活動の正統性が包含されているというべきである。新潟県及び新潟県内の各市町村におかれては、このことを深く自覚し、司法基盤の整備、ひいて域内における法の支配の実質化ということを、自ら住民のためにはたすべき役割と位置付けるべきものと考える。
こうした役割は、裁判所支部の適正配置の国に対する要求という問題だけにとどまらず、地域住民が法的トラブルに巻き込まれた際、弁護士にアドバイスを受けられるよう体制を整備するということをも重要なテーマとすべきことは論をまたないところである。
よって、当会は、新潟県内の全ての地方自治体に対し、県民・市町村民への司法サービスの充実のために必要な措置を講ずることを求めるとともに、支部の復活、新設をめざすべき各支部管内に所在する市町村及び新潟県に対しては、当該地域における国の司法基盤の整備・充実を重点課題に据えて、その実現のために、国に対する働きかけを継続するなど粘り強く取り組んでいくことを要請するものである。
4 支部復活、新設に関する当会の姿勢
当会は、地方自治体が行おうとする司法基盤の整備・充実のための取り組み、とりわけ裁判所支部の復活、新設をめざす活動に対しては、会をあげて全面的に協力していく所存である。
もっとも、この点は、単に協力にとどまるのか、さらに一歩進んでより主体的に取り組むべきかについて検討を要する点がある。なぜなら、われわれ弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義の実現を使命とするところ(弁護士法第1条第1項)、弁護士は法律分野における高度の総合的な専門職と位置づけられ、法律事務の独占を認められており(同法第72条)、かつ、このような職責を有する弁護士の登録、指導、監督、懲戒、報酬等について、完全な自治権が付与されていることからすれば、弁護士及び弁護士会はまさに法の支配を実現する主体として、その責務は非常に重いものと言わなければならないからである。
ただ、そのことは理念の問題であり、いずれにせよ当会としてはこの問題に全力で取り組む所存であり、理念の違いは当会の姿勢の軽重、継続性には影響するものではない。当会は明確な努力目標を掲げ、新潟県や関係する市町村、その首長や議員、住民、さらに志を同じくする学識や日本弁護士連合会、関東弁護士会連合会その他の各ブロック弁護士会連合会、他の単位会などすべての勢力と協調し、目標の実現の日まで一切の努力を惜しまない所存である。
5 中規模都市・町等での法律相談センターの設置
地域住民が充実した司法サービスを受けるには、弁護士へのアクセスが容易である必要があるのは言うまでもないことからすれば、弁護士会として弁護士過疎・偏在に取り組む必要がある。
当会は、これまでも、新潟県内の多くの地方自治体に対し、法律相談の重要性を説き、地域住民のほか、地方自治体にとっても、利用しやすい法律相談制度を広げることに努めてきた。
さらに、先にも触れたとおり、また、法律事務所の設置については、柏崎市や糸魚川市が設置費用の補助制度を設けており、実際に補助制度を利用し、両市に計3つの法律事務所が設置された。両市の補助制度は、法律事務所が地域に存在することの重要性を理解していただいたものであり、当会としても感謝しつつ、全面的な協力を惜しまずに取り組んできたところである。今後、両市以外にも法律事務所開設にあたっての補助制度を設けてもらうべく、当会としても働きかけを継続するとともに、協力する姿勢を貫徹して行く所存である。
法律相談所の設置についても、地方自治体の協力に負うところが大きい。村上相談所は村上市神林支所の一角を低廉な費用で借りることができ、応接設備や複合機などを備え置くことができたものである。今後、新潟県内各地に法律相談所の設置を進める際、地方自治体から協力を得ることが欠かせないところである。 新潟県内には、地方裁判所・家庭裁判所の支部が併設されていない独立簡易裁判所が6つある。村上、新津、柏崎、南魚沼、十日町及び糸魚川の各簡易裁判所である。これらの簡易裁判所の管轄内において、当会が法律相談所を設置しているのは、村上簡易裁判所の管轄内のみである。
新津、十日町、柏崎、南魚沼及び糸魚川の各簡易裁判所管轄内に新たに法律相談所を設置し、弁護士へのアクセス解消を図る必要がある。さらに、例えば、五泉市、阿賀野市、新潟市南区、加茂市、魚沼市、湯沢町、妙高市など新潟県内の中規模都市・町等においても法律相談所を開設するなど、地域住民にできる限りきめ細やかな司法サービスの提供ができるよう、当会としては、今後とも広い視野に立ち、労力を惜しむことなく、新潟県内における法的サービスの充実に向けて、当会として取り組んでいくことを決意するものである。
以上決議する。
2013年(平成25年)2月28日
新潟県弁護士会臨時総会決議

法科大学院の地域適正配置についての11弁護士会会長共同声明
法科大学院制度の創設から9年近くが経過し、新しい法曹養成制度は、様々な課題に直面している。
とりわけ、司法試験合格率の低迷と法科大学院入学志願者の減少が顕著であることから、文部科学省は、深刻な課題を抱える法科大学院の自主的・自律的な組織見直しを促進するための公的支援の見直しとして、入学者選抜における競争倍率と司法試験の合格率を指標とする国立大学運営費交付金及び私立大学等経常費補助金の削減に踏み切った(2012〔平成24〕年、入学定員の充足状況を新たな指標として追加)。
このような中、さらに、政府の法曹養成制度検討会議は、法科大学院の統廃合や定員削減に向けた具体的な基準案を検討することを決定した。基準の策定に当たっては、地域的なバランスについても考慮することとされているものの、同会議の前身である法曹の養成に関するフォーラムや、総務省による「法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価」等、政府の従前の検討経過において、法科大学院の地域適正配置が重視されてきたとは言い難い。このため、統廃合の基準の策定に当たり、地域適正配置の理念に十分な配慮がなされるとは限らない。
しかしながら、法の支配をあまねく実現するためには、各地の様々な分野から法曹を生み出すことが重要であり、そのためには、もともと司法改革審議会意見書が制度設計の基本的考え方として指摘していたとおり、法科大学院を全国に適正配置し、地方在住者がその地域で教育を受けて法曹になる機会を実質的に保障することが、司法制度改革の目的に直結する理念として重要である。そして、地方法科大学院の存在が地元志望者の経済的負担を大きく軽減させるだけでなく、司法過疎の解消、地域司法の充実・発展に貢献し、さらには、地方自治・地方分権を支える人材を育成するという観点からも重要な役割を担っていること等を併せて考えれば、法科大学院の統廃合等は、地域適正配置の理念を踏まえつつ実施される必要がある。
よって、国に対し、統廃合の基準の策定等法曹養成制度の在り方を検討するに当たり地域適正配置の理念を最大限に尊重すること、地方法科大学院について国立大学法人運営費交付金又は私立大学等経常費補助金を減額しないこと、及び地方法科大学院に対して適正な公的支援を行うことを強く求める。

2013(平成25)年1月25日
静岡県弁護士会
会 長  渥  美  利  之
長野県弁護士会
会 長  林     一  樹
新潟県弁護士会
会 長  伊  藤  秀  夫
広島弁護士会
会 長  小  田  清  和
島根県弁護士会
会 長  水  野  彰  子
熊本県弁護士会
会 長  坂  本  秀  ?
鹿児島県弁護士会
会 長  新  納  幸  辰
宮崎県弁護士会
会 長  松  田  幸  子
沖縄弁護士会
会 長  加  藤     裕
香川県弁護士会
会 長  白  井  一  郎
愛媛弁護士会
会 長  田  所  邦  彦

生活保護基準の引下げに強く反対する意見書
第1 意見の趣旨
来年度予算編成過程において生活保護基準を引き下げることに対し強く反対する。
第2 意見の理由
政府は、本年8月17日、「平成25年度予算の概算要求組替え基準について」を閣議決定した。そこでは、同月10日に成立した社会保障制度改革推進法(附則2条)において、「給付水準の適正化」を含む生活保護制度の見直しが明文で定められていることを受け、社会保障分野も聖域視せず、生活保護の見直しをはじめとする合理化・効率化に最大限取り組み、極力圧縮に努めることが明記されている。
一方、生活保護基準については、2011年2月に設置された社会保障審議会生活保護基準部会において、学識経験者らによる専門的な検討が続けられているが、厚生労働省が本年7月5日に発表した「『生活支援戦略』中間まとめ」では、「一般低所得世帯の消費実態との比較検証を行い、今年末を目途に結論を取りまとめる」ものとされている。そして、同省が公表している平成25年度の予算概算要求の主要事項には、生活保護費を抑制するための「生活保護基準の検証・見直しの具体的内容については、予算編成過程で検討する」と記載されている。
これら一連の事実から、本年末にかけての来年度予算編成過程において、生活保護法8条に基づき生活保護基準を設定する権限を有する厚生労働大臣が、生活保護基準の引下げを行おうとすることは必至である。
しかしながら、言うまでもなく生活保護基準は、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の基準であって、我が国における生存権保障の水準を決する極めて重要な基準である。
厚生労働省によると、本年6月時点で生活保護を利用している人は、211万5000人を超えている。さらに、その所得が生活保護基準以下であるにも関わらず保護を受給していない多くの人たちが存在している。生活保護基準が下がれば、現にぎりぎりの生活をしている生活保護を利用している人たちの生活費が減額され、また、生活保護の受給がより困難になる結果、多くの低所得の人たちの生活が危機にさらされ、その生命、健康にもかかわる取り返しのつかない結果を招きかねない。
また、生活保護基準が下がれば、最低賃金の引き上げ目標額が下がることになり、そのことは、最低賃金で働く労働者の生活を直撃する。現在、全労働者の3分の1を超えるに至っている非正規労働者の相当数は生活保護基準に近い低賃金で働いており、生活保護基準の引下げは、そうした人達の生活をも脅かす事態に直結する。同時に、正規の労働者の賃金の引下げにも連動し、ひいては国内需要を一層冷え込ませて景気の回復にも悪影響を及ぼすことになる。いわゆるワーキングプアの人々の生活困難は、リーマンショック以降現在まで深刻な社会問題であるところ、この問題の抜本的解決なしに、ワーキングプアの人たちとの所得の比較で生活保護を下げようとすること自体が問題である。
さらに、生活保護基準は、地方税の非課税基準、介護保険の保険料・利用料や障がい者自立支援法による利用料の減額基準、就学援助の給付対象基準、法律扶助の償還の猶予・免除の要件などの多様な施策の適用基準にも連動している。生活保護基準の引下げは、現に生活保護を利用している人たちの生活レベルを低下させるだけでなく、市民生活全体に大きな影響を与える。
このような生活保護基準の重要性に鑑みれば、その在り方は、上記の生活保護基準部会などにおいて専門的観点からの慎重な検討を踏まえ、広く市民の意見を求めた上、生活保護利用当事者の声を十分に聴取して決せられるべきである。同部会の学識経験者らが真摯な検討を行っているさなかに、財政の支出削減目的の「初めに引下げありき」で政治的に決せられることは、決して許されることではない。
新潟県によると、本県の生活保護を利用している人は、本年5月現在で1万9779人に上っており、対前年同月比で4.81%増加している。多くの県民の生活が生活保護基準の引下げにより深刻な影響を受けることは明らかである。
よって、当会は、来年度予算編成過程において生活保護基準を引き下げることに強く反対する。
2012年(平成24年)10月17日
新潟県弁護士会 会長 伊藤 秀夫

2322 ら特集新潟弁護士会②

新潟県弁護士会
ttp://www.niigata-bengo.or.jp/

消費者庁・国民生活センター・消費者委員会の地方移転に反対する会長声明
~消費者行政の司令塔機能を弱めてはならない~
政府は、「まち・ひと・しごと創生本部」に「政府関係機関移転に関する有識者会議」(以下「有識者会議」という。)を設置し、政府関係機関の地方移転について検討している。その中で、消費者庁の全部(内閣府消費者委員会を含む)と国民生活センターの全部を徳島県へ移転することが審議されている。
しかし、以下の理由により、当会は、消費者庁、国民生活センター及び消費者委員会の地方移転には反対する。
1 はじめに
当会は、一般論として、政府関係機関の地方移転の取組自体について反対するものではない。
しかし、消費者庁、国民生活センター及び消費者委員会の地方移転には反対である。
すなわち、有識者会議は、道府県からの地方移転に関する提案のうち、官邸と一体となり緊急対応を行う等の政府の危機管理業務を担う機関や中央省庁と日常的に一体として業務を行う機関に係る提案、移転した場合に機能の維持が極めて困難となる提案については、移転させないとの方向性を示している。この考え方には、賛同できるが、消費者庁、国民生活センター及び消費者委員会の地方移転は、まさにそのような受け入れられない提案の典型だからである。
2 消費者庁の地方移転について
消費者庁は、中国製冷凍ギョウザ事件や相次ぐ食品表示偽装問題など重大な消費者問題の発生を受けて、従来の各省庁縦割りの仕組みを解消して消費者行政を一元化し、安全安心な市場、良質な市場の実現を図るため、平成21年9月に発足したものである。
消費者問題は、食品や製品の生産・流通・販売・安全管理、金融、教育、行政規制・刑事規制などの多くの領域に関わっている。関係する省庁も、経済産業省、金融庁、農林水産省、厚生労働省、国土交通省、文部科学省、警察庁等、多岐に渡る。そのため、消費者庁には、各省庁から情報を集約して調査・分析を行うこと、各省庁に対して措置要求等を行うこと、横断的な制度を企画立案すること等、業種横断的な司令塔の役割を担うことが求められている。これを実現するためには、関係機関(省庁、大臣、政党等)への日常的なアクセスが必要であることは言うまでもない。
また、消費者庁はこれまでも緊急時における危機管理業務を行ってきた。例えば、平成25年12月に発覚した冷凍食品からの農薬検出事件では、厚生労働省をはじめとする関係省庁と連携し、情報の共有・発信と被害の拡大防止等の対応にあたったことは記憶に新しい。こうした緊急事態においては、インターネットや電話などの遠方からの情報交換や情報発信では足りず、直ちに対面の会議を開き、官邸や省庁を回って情報収集と情報共有を行い、施策の実施やマスコミへの情報発信などを行う必要がある。消費者庁の地方移転によって、省庁をはじめとする関係機関との連携及びこれに対する働きかけの力が大幅に低下・後退することが懸念される。
3 国民生活センターの地方移転について
国民生活センターは、消費者基本法第25条に定められた消費者行政の中核的実施機関として、消費者庁と連携して関連省庁に意見を述べ、地方消費者行政を支援し、消費者・事業者・地方自治体・各省庁に情報提供を行っている。さらに、裁判外紛争解決手続(ADR)、苦情相談解決のための商品テスト、相談員等を対象にした研修等を実施している。これらの役割を十分に果たすためには、各省庁や専門家・事業者に近接する位置で密接な連携・協議を行う必要がある。
国民生活センターの地方移転によって、国民生活センターの情報発信機能や連携能力が低下することが懸念される。
4 消費者委員会の地方移転について
消費者委員会は、消費者庁等からの諮問事項を審議するほか、各種の消費者問題について、自ら調査・審議を行い、消費者庁を含む関係省庁の消費者行政全般に対して意見表明を行っている。このような監視機能を十分に実現するためには、各省庁、関連事業者、事業者団体等との間の密接なアクセスが不可欠である。消費者委員会の地方移転によって、消費者委員会の監視機能が低下することが懸念される。
5 結論
以上のとおり、消費者庁、国民生活センター及び消費者委員会が地方へ移転することで、両機関の機能が大幅に低下することが懸念される。それは消費者基本法や、消費者庁及び消費者委員会設置法の目指す消費者の権利の尊重及びその自立の支援等の基本理念に反するものであるから、消費者庁、国民生活センター及び消費者委員会の地方移転には反対する。
2016年(平成28年)1月12日
新潟県弁護士会 会長 平   哲 也

安全保障関連法案の採決強行を行わず、廃案を求める会長声明
現在、平和安全法制整備法案及び国際平和支援法案(以下「本法案」といいます。)が、参議院「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」(以下「特別委員会」といいます。)に係属、審議中です。
しかし、本法案について、近日中にも、特別委員会及び参議院本会議で強行採決が行われる見込みとの報道がなされています。
当会は、本法案が、憲法の基本原理である恒久平和主義や、立憲主義に反すること等を指摘し、くりかえし本法案成立に反対してきました。国会審理が進むにつれ、国民各層の本法案に対する反対、不安、疑問の声が高まってきています。圧倒的多数の憲法学者、歴代の内閣法制局長官、及び元最高裁判所長官を含む元最高裁判所判事らも憲法違反との見解を表明しています。たとえ多数決であっても、決めてはならないことを予め定めたものが憲法です。衆議院において強行採決が行われたことは極めて問題です。憲法上、参議院には「良識の府」としての役割が期待されています。今こそ、参議院が、その役割を果たすべき局面にあります。このような中で、参議院においてまで強行採決を行うことは、参議院が憲法上期待される役割を放棄するものです。そのようなことは絶対にしないでください。参議院議員御一人御一人が、参議院議員として、ご自身に期待された役割、憲法尊重擁護義務(憲法99条)に思いを致し、本法案が廃案となる状況を作り出していただきたい。
2015(平成27)年9月15日
新潟県弁護士会会長 平 哲也

「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)に反対する会長声明
第1 声明の趣旨
当会は、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」、以下「本法案」という)に強く反対し、本法案の廃止を求める。
第2 声明の理由
1. はじめに
平成27年4月28日、本法案が国会に提出された。本法案は、昨年の衆議院解散によって廃案になったにもかかわらず、再提出されたものである。しかし、本法案には、以下のとおり多くの問題点がある。
2. 問題点
賭博行為は違法であることが大原則である
そもそもカジノとは賭博であり、賭博は、社会の風俗を害する行為として、刑法で処罰の対象とされているものである。
ギャンブル依存症の拡大・多重債務者の増加のおそれ
カジノを解禁した場合には、ギャンブル依存症患者数の増加、ギャンブルを原因とする多重債務問題の悪化など、国民経済、社会に深刻な悪影響を及ぼすことが大いに危惧される。
暴力団・マネーロンダリング対策上の問題点
暴力団がカジノへの関与に強い意欲を持つことは容易に想定される。暴力団が事業主体として参入しえなくとも、事業主体に対する出資、従業員の送り込み、事業主体からの委託先・下請への参入、顧客に対するヤミ金融、闇カジノの運営、その他周辺領域での資金獲得活動に参入し勢力を拡大する危険性が懸念される。また、カジノがマネーロンダリングに利用される懸念もある。
青少年の健全育成への悪影響
本法案で想定されるカジノはレクリエーション施設等と一体となった統合型リゾート方式とされているが、家族で出かける場所にカジノがあるというのは青少年の健全な育成に対する悪影響が懸念される。カジノによる経済効果への疑問本法案を推進する立場からは、カジノによる経済効果が期待されるとの声がある。
しかし、韓国、米国等ではカジノ設置自治体の人口が減少したり、多額の損失を被ったという調査結果も存在する。また、ギャンブルによる失業や財産喪失等にともなう社会保障費の増大、依存症治療等の負担増大など国民経済に対する経済的損失をもたらすことが容易に予想される。さらに、立地地域社会に対しても、カジノが存在することによる治安の悪化、その対策にかかる費用の増大、地域のイメージダウン等のマイナスの影響があることを忘れてはならない。
3 結語
当会は、長年にわたり暴力団排除、多重債務対策、自殺予防対策、青少年の健全な育成に向けて様々な活動に取り組んできたのであり、本法案については到底容認できるものではなく、本法案の廃案を求める。
2015年(平成27年)7月21日
新潟県弁護士会会長 平 哲也

憲法の恒久平和主義及び立憲主義に違反する安保法制関連法案に反対する決議
政府が国会に提出している、平和安全法制整備法案及び国際平和支援法案は、自国が攻撃されていないにもかかわらず武力行使を認める点、他国の武力行使と一体化する「後方支援」を可能にする点、及び自然的権利に基づく自己保存型の範囲を超える武器使用を認める点で、憲法が定める恒久平和主義に違反する。
また、憲法改正手続によらず、立法によって実質的に憲法を変更する点で、近代憲法の基本理念である立憲主義に反する。
よって、当会は、これらの法案の制定に強く反対する。
2015年(平成27年)5月22日
新潟県弁護士会定期総会

特定秘密の保護に関する法律」の施行に反対し、改めて同法の廃止を求める会長声明
来たる本年12月10日、特定秘密の保護に関する法律(以下「特定秘密保護法」という。)が施行される予定である。情報保全諮問会議が作成した同法施行令(案)及び運用基準(案)について実施されたパブリックコメントに全国から2万3820件もの意見が寄せられたにもかかわらず、内容はほとんど変わらないまま施行日を含む施行令、運用が閣議決定された。
当会は、昨年9月24日付けで「特定秘密の保護に関する法律案に反対する会長声明」を公表し、また、本年2月28日には、特定秘密保護法を施行することなく直ちに廃止するよう求める総会決議を行い同法の廃止を求めた。これらの中で指摘した以下の同法の問題点は、依然として何ら解消されていない。
① 別表及び運用基準を総合しても、秘密指定できる情報は極めて広範であり、恣意的な特定秘密指定の危険が解消されていない。
② 特定秘密を最終的に公開するための確実な法制度がなく、多くの特定秘密が市民の目に触れることなく廃棄されることとなる可能性がある。
③ 政府の恣意的な秘密指定を防ぐためには、すべての特定秘密にアクセスすることができ、人事、権限、財政の面で秘密指定行政機関から完全に独立した公正な第三者機関が必要であるにもかかわらず、同法が規定している独立公文書管理監等の制度にはこのような権限と独立性が欠けている。
④ 過失による秘密の漏えい行為が処罰され、取得行為では教唆、共謀、煽動が独立して処罰されるなど処罰範囲が広く、かつ、これらに対し重い罰則が科されていることから、国民の情報収集活動に過度の萎縮効果をもたらし、国民の知る権利を侵害する危険性が高い。
⑤ 適正評価制度は、情報保全のために必要やむを得ないものとしての検討が十分になされておらず、評価対象者やその家族等のプライバシーを侵害する可能性があり、また、評価対象者の事前同意が一般的抽象的であるために、実際の制度運用では、医療従事者等に守秘義務を侵させ、評価対象者との信頼関係を著しく損なうおそれがある。
⑥ 刑事裁判において、証拠開示命令がなされれば秘密指定は解除されることが明らかにされたものの、証拠開示命令は裁判所の判断に委ねられており、特定秘密を被告人、弁護人に確実に提供する仕組みとなっていない。被告人、弁護人が秘密を知ることなく公判手続が強行される可能性が大きく、適正手続が十分に保障されない可能性が大きい。
政府は、国民の不安に応え、国民の知る権利と民主主義を危機に陥れかねない秘密保護法を直ちに廃止し、国際的な水準に沿った情報公開と秘密保全のためのバランスの取れた制度構築のための国民的議論を進めるべきである。
当会は、関係団体と協力し、依然として重大な問題が存在する特定秘密保護法の廃止を引き続き求めていく決意である。
2014年(平成26年)11月25日
新潟県弁護士会 会長 小 泉 一 樹

司法予算の大幅増額を求める会長声明
1 2001年に出された司法制度改革審議会意見書(以下「意見書」という。)は、裁判所等の人的物的体制の充実を含む司法制度改革を実現するため、司法に対して財政面から十分な手当をすべく、政府に対して、必要な財政上の措置について特段の配慮を求めた。
ところが、その後の司法予算は、裁判員裁判対策の点を除けば年々減少を続け、国家予算に占める割合は概ね0.3%台で推移している。平成26年度予算は約122億円の増額となっているが、給与特例法の失効に基づく人件費の増額分約171億円の含んだものであるから、実質的には約49億円の減額である。
このような政府の措置は、意見書が求めた財政上の特段の配慮を、政府が怠ってきたことの表れであり、国民の裁判を受ける権利(憲法32条)を実質化する責務を果たしてこなかったと評されるものである。政府が、「安心安全な社会」を目指すのであれば、国民の身近にあって、利用しやすく、頼もしい司法を全国各地で実現すべく司法予算の増大を図らなければならない。
2 近年、家事事件は一貫して増加し、調停事件は多様化、複雑化が進み、面会交流事件でも困難な事件が増加している。また、成年後見事件の激増は誰の目にも明らかである。
裁判官や書記官は、本来行うべき申立内容の確認や後見業務の打合せなどを参与員に依頼するなど、多忙を極めている。裁判官、書記官及び職員の増員や家庭裁判所調査官の活用などの人的側面、調停室・待ち合わせ室等の増設や裁判所支部、家庭裁判所出張所の新設及び復活、家庭裁判所出張所の機能拡充など物的側面について抜本的強化が必要である。特に、家庭裁判所関連の予算については、飛躍的な拡充が必要不可欠である。
3 一方で、家庭裁判所以外の司法予算が減少に転じていることも問題である。なるほど、消費者金融事件・破産事件の減少等によって、地方裁判所などの取扱事件数は減少している。しかしながら、元々裁判官の勤務の過酷さは異常な状態であり、事件数の減少があったとしても、その異常さが解消されるまでには至っていない。そのために、過払金返還請求事件など定型の訴訟を除き、審理時間が逆に長期化しているものもある。
また、書記官やその他裁判所職員への権限の大幅委譲がなされているため、書記官らの繁忙さは激化の一途を辿っている。地方裁判所等の予算について現在も大幅な増加が必要な状態は変わっていないのである。
さらに、各地で強い要望が上がっている労働審判や裁判員裁判を実施できる支部の拡大や廃止された支部の復活、裁判官の常駐など、国民の強い要望のある基盤の整備を必要とする点からも、司法予算の増大は大きな課題である。
4 国家財政が悪化している現状においては、司法予算を大幅に増加することは難しいとの意見がある。しかし、もともと司法予算があまりにも小さかったため、司法の使い勝手が悪く、その改善を図るべく、小さな司法から大きな司法を目指し、司法制度改革審議会意見書の提言がなされたのである。国民の裁判を受ける権利の実質化・充実化のためには、国家財政の増減にかかわらず司法予算の増加を図らなければならない。最高裁判所においても、限られた予算の範囲でやりくりするのではなく、今よりはるかに多い司法予算が必要であることを社会に向かって大きく訴えるべきである。
5 新潟県に限ってみても、南北に長い海岸線を有する広大な県であり、かつ、全国有数の豪雪地帯を抱えているという地域の特性に見合った裁判所の人的物的施設の整備は図られてこなかった。
まず、裁判を受ける権利の実質的保障に悖るものとして、昭和63年には巻簡易裁判所・小千谷簡易裁判所が廃止され、平成2年5月には新潟地方・家庭裁判所村上支部、六日町支部、柏崎支部、糸魚川支部の4支部が廃止された。それに伴い、家庭裁判所出張所が新設され、家庭裁判所支部廃止の代替措置として出張事件処理を行うこととなったが、事件処理は全く行われず受付業務のみである。その他の事務は、村上出張所については新発田支部で、南魚沼出張所及び柏崎出張所については長岡支部で、糸魚川出張所については高田支部で行われている。かかる取扱いが地域住民の司法アクセスへの物理的・心理的障がいとなっている事実はいうまでもない。一方、従来から存在する新潟家庭裁判所十日町出張所では、調停、審判、少年事件等の取扱いが実施されている。同じ出張所でありながら、その取扱いの差異についての根拠や理由が示されていない。
さらに、県内の裁判員裁判、労働審判手続、行政訴訟事件については、新潟地方裁判所本庁のみの扱いであり、かつ、簡易裁判所の刑事を除く判決に対する控訴事件は、全て新潟地方裁判所本庁でしか扱われていない。合議事件についても、新発田支部、佐渡支部、三条支部の合議事件は、本庁で扱うこととされている。そこで、当会は、平成23年2月の臨時総会にて「裁判所支部の充実を求める決議」を採択し、同25年2月の臨時総会では「新潟地方裁判所、家庭裁判所の村上支部、柏崎支部、南魚沼支部、糸魚川支部、十日町支部の設置の実現に向けた決議」を採択した。続けて、同年11月には、地元国会議員、市長、村長、地方議員や多数の地域住民等が参加した「日弁連地域司法キャラバンin柏崎」を実施するなど、活発な運動を展開してきた。こうした運動によって、県内の裁判所体制の実情に対する地域住民の理解を深めることができただけでなく、現実に地域司法の充実を望む地元住民の声が数多く寄せられた。このような地域司法の充実を望む地域住民の声を十分に反映させ、人的物的施設の拡充を実現していくためにも、司法予算の大幅増額が必要不可欠である。
以上から、最高裁判所においては、まず平成27年度から大幅な司法予算の増額を要求すべきであり、財務省あるいは政府においては、それを受けて大幅な司法予算の増加を認めるべきである。
2014年(平成26年)10月7日
新潟県弁護士会 会 長  小 泉 一 樹

「特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準(仮称)(案)」に対する意見書
2014年(平成26年)8月24日 内閣官房特定秘密保護法施行準備室「意見募集」係 御中 新潟県弁護士会 会長 小 泉 一 樹 〒951-8126 新潟市中央区学校町通1番町1番地 電話(代表) 025-222-5533 FAX  025-223-2269 「特定秘密の指定及び… 続きを読む ?

集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定に抗議し撤回を求める会長声明
本年7月1日、政府は、集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定を行った。
集団的自衛権の行使は、日本が武力攻撃をされていないにもかかわらず、他国のために戦争をすることを意味し、戦争をしない平和国家としての日本の国の在り方を根本から変えるものである。
日本が集団的自衛権を行使すれば、日本は中立国から交戦国となる。日本国内の全ての基地や軍事施設が攻撃目標となりうるが、軍事施設に限定して攻撃することは現実的には困難であるから、広く民間にも被害が及ぶこととなる。さらには全面的な戦争へと発展し、被害が日本全土に及ぶことも危惧される。
集団的自衛権の行使は、本来、憲法第9条の下で容認される余地は全くない。それ故に、集団的自衛権を行使することは憲法上許されないということが長年にわたって繰り返し確認され、政府の憲法解釈として確立されてきたのである。
このような憲法の基本原則に関わる重大な変更を、国会においても、国民の間でも十分に議論されることのないまま、一内閣の閣議決定という政府の判断で行うということは、憲法により国家権力を制限することで人権保障を図るという立憲主義に根本から違反し、憲法の存在意義を失わせるものであり、断じて許されない。
歴代の政府は、「我が国に対する武力攻撃の発生」を自衛権行使の1要件として位置づけてきたが、本閣議決定はこれを、「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」という文言に置き換えている。これは極めて幅の広い不確定概念である上、その判断を政府に委ねているのであるから、時々の政府によって恣意的な解釈がされる危険性が極めて大きく、限定や歯止めとして機能することは期待しえない。
さらに、本閣議決定は、集団的自衛権の行使を容認するにとどまらず、国際平和協力活動の名の下に自衛隊の武器使用と後方支援の権限拡大を図ろうとしている点も看過できない。
日本が過去の侵略戦争への反省の下に徹底した恒久平和主義を堅持することは、日本の侵略により悲惨な体験を強いられたアジア諸国の人々との信頼関係を構築し、武力によらずに紛争を解決し、平和な国際社会を創り上げる礎になるものである。
集団的自衛権の行使等を容認する本閣議決定は、立憲主義と恒久平和主義に反し、違憲であり無効である。この閣議決定に基づく自衛隊法、いわゆる周辺事態法やPKO協力法等の法改正も当然に許されない。
当会は、本閣議決定に対し強く抗議し、その撤回を求めるとともに、本閣議決定に基づく今後の関係法律の改正等が憲法に違反し許されないことを明らかにし、これを阻止するために全力を尽くす決意を表明するものである。
2014年(平成26年)7月2日
新潟県弁護士会会長 小泉一樹

行政書士法改正に反対する会長声明
日本行政書士会連合会は、行政書士法を改正して、「行政書士が作成することのできる官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立てについて代理すること」を行政書士の業務範囲とすることを求め、そのための運動を推進している。その結果、行政書士法の一部を改正する法律案が本年6月13日衆議院本会議において可決され、今後参議院での審議が予定されている。
しかし、以下に述べるとおり、上記業務を行政書士の業務範囲に加えることは国民の権利利益の擁護を危うくするおそれがある。既に、日本弁護士連合会が2012年(平成24年)8月10日に会長声明で反対の立場を表明したのを始め、複数の単位弁護士会が会長声明で反対の立場を表明しているところであるが、当会もここに反対の意見を表明する。反対の理由は、以下のとおりである。
第1に、行政書士の主たる業務は、行政手続の円滑な実施に寄与することを主たる目的とした、行政庁に対する各種許認可関係の書類を作成して提出するというものである。他方、行政不服申立制度は、行政庁の行った違法又は不当な処分を是正し、国民の権利利益を擁護することを目的とする。行政手続の円滑な実施に寄与することを目的とする行政書士が、行政処分について是正を求めるということは、職務の性質上、本質的に相容れない。
第2に、行政不服申立ての代理人を務めるに当たっては、行政訴訟の提起を十二分に視野に入れる必要があるため、行政訴訟を含めた高度な専門性と慎重かつ適切な判断が不可欠であるところ、この点において行政書士の能力担保は十分とはいえない。法的紛争の初期段階において最終的な訴訟段階での結論まで見据えた対応を行わなければ、国民の権利利益を害するおそれが強い。
第3に、行政書士については倫理綱領が定められているものの、その内容は当事者の利害や利益が鋭く対立する紛争事件の取扱いは前提となっていない。行政不服申立ては、国民と行政庁が鋭く対立するのであるが、行政書士においてこのような紛争事件を取り扱うだけの職業倫理が確立しているとはいえない。
第4に、行政書士は都道府県による監督を受けるのであり、この点でも、国民と行政庁が鋭く対立する行政不服申立の代理をすることは相当でない。
第5に、仮に行政書士の業務範囲に行政不服申立ての代理権を含めたとしても、その活動分野は限定されることが予想され、影響は小さいとの指摘がある。しかし、国民の権利利益自体に関する問題を活動分野の大小で計ること自体が相当でない。
第6に、弁護士は、出入国管理及び難民認定法、生活保護法、精神保健及び精神障がい者福祉法に基づく行政手続等において、実際に、行政による違法・不当な処分から国民を救済する実績を上げている。国民の権利利益の擁護を危うくするおそれがあるにもかかわらず、あえて行政書士法を改正して行政書士の業務範囲を拡大するべき必要性はない。
以上のとおり、当会は、行政書士法の改正による行政不服申立代理権の付与に強く反対するものである。
2014年(平成26年)6月17日
新潟県弁護士会  会長 小泉 一樹

憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に反対する総会決議
政府はこれまで、憲法第9条の下における自衛権の行使について、我が国に対する急迫不正の侵害が存在し、これを排除するために他の適当な手段がない場合において、必要最小限度の実力行使に限って許容されるものであって、いわゆる集団的自衛権(自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利)の行使は、その範囲を超えるものとして憲法上許されないとする解釈を一貫して維持してきた。
ところが、今般政府は、安倍晋三首相の私的懇談会である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の報告を受け、閣議決定により従来の政府解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認する方針を打ち出している。集団的自衛権の行使を容認するということは、日本が直接攻撃されていない状況の下で自衛隊が外国に対する攻撃を行うことを認めるということを意味する。
現憲法は、かつて戦争と軍事力により多大な国民的犠牲が払われたことに対する深い反省を基に、徹底した平和主義を基本原則とし、その前文で全世界の人々が平和的生存権を有することを確認し、第9条で戦争放棄、戦力不保持及び交戦権否認を定めている。現憲法第9条の下で、日本が集団的自衛権を行使することが許されると解釈することができないことは明らかであり、だからこそ、前記のような政府解釈が確立されてきたのである。
現憲法は、憲法を国の最高法規と定め、憲法に違反する法律や政府の行為を無効とし(第98条)、国務大臣等の公務員に憲法尊重擁護義務を課している(第99条)。これらの規定は、憲法によって権力に縛りをかける立憲主義の原理に根ざすものである。集団的自衛権行使の可否の問題は、平和主義という憲法の基本原則の変更に関わる問題であり、その決定を、国民的議論に基づく憲法改正手続さえ経ることなく、時の政府の一存で行うことは、立憲主義を真っ向から否定するものであって、到底許されないものである。
よって、当会は、政府が閣議決定により憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認しようとすることに対し、日本国憲法が立脚する恒久平和主義、立憲主義に明らかに反するものとして、断固反対する。
2014年(平成26年)5月23日
新潟県弁護士会定期総会

憲法記念日を迎えるに当たり集団的自衛権の行使容認に反対する会長声明
本日は、日本国憲法施行から67年目の憲法記念日である。
今、戦後のわが国の平和を支えてきた憲法第9条が、重大な岐路に立たされている。
政府は、安倍晋三首相の私的懇談会である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)が本年5月の提出を予定している報告書を受け、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行おうとしている。
集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利を指す(1981年(昭和56年)5月29日政府答弁書)。集団的自衛権の行使を容認するということは、日本が直接攻撃されていない状況の下で自衛隊が外国に対する攻撃を行うことを認めるということを意味する。
憲法は、前文で平和的生存権の保障を謳い、同第9条において一切の武力の行使・武力による威嚇の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を規定し、徹底した恒久平和主義の基本原理を表明している。憲法第9条の下で、わが国が集団的自衛権を行使することが許されると解釈することができないことは明らかであり、だからこそ、「憲法は集団的自衛権の行使を禁止している」という政府解釈が長年の国会審議を経て確立されてきたのである。
安保法制懇は、憲法解釈の変更の必要性について個別事例を想定して議論しているが、想定される事例に現実味があるのか、現行法や警察権、個別的自衛権で対処できる事例もあるのではないか、といった点に疑問をなしとしない。安保法制懇の座長代理は、新聞紙上のインタビューで、「憲法は最高規範ではなく、上に道徳律や自然法がある。(中略)(憲法などを)重視しすぎてやるべきことが達成できなくては困る」と発言しており(本年4月21日付け東京新聞、同日付け中日新聞)、立憲主義への不十分な理解や、国家権力の濫用への無警戒を背景に議論が進められているのではないかという点においても、危惧を感じざるをえない。
最高法規たる憲法によって国家権力を制限しその濫用を防止することで人権を保障するのが立憲主義である。憲法改正によることなく、時の権力者の解釈変更により憲法の基本原則を変容させることは、立憲主義を真っ向から否定し、人権侵害の危険性を高める暴挙であって、到底許されない(当会の2014年(平成26年)3月11日付け「立憲主義を真っ向から否定する内閣総理大臣の発言に抗議する声明」)。
また、近時の政府与党幹部の発言には、集団的自衛権の行使が認められるとする根拠として、砂川事件最高裁判決(最大判1959年(昭和34年)12月16日)を挙げるものもある。しかし、同判決は、旧日米安全保障条約の合憲性が争われた事案において、「憲法9条は、わが国がその平和と安全を維持するために他国に安全保障を求めることを、何ら禁ずるものではない」との結論を採用することの理由を述べる際に、「わが国が主権国として持つ固有の自衛権」に触れたにすぎず、同判決は、集団的自衛権については何も述べてはいない。したがって、同判決を集団的自衛権の行使容認の根拠とするのは無理である。何より、同判決以降も、集団的自衛権の行使は禁止されているという政府解釈が確立されてきたのは前述のとおりである。
憲法前文及び第9条の徹底した恒久平和主義の下では、軍事力によらない平和的方法による安全保障政策がどこまでも追求されるべきである。 集団的自衛権の行使容認は、政府がいかに、「必要最小限度」の実力行使にとどめるとか、行使の場面を「放置すれば日本の安全に重大な影響が出る場合」などに限るといった「限定的容認論」を標榜したとしても、他国の戦争のためにわが国の自衛隊を地球の裏側にまで派遣する途を切り拓くものにほかならない。
当会は、立憲主義に反し、将来、前途ある若者を世界各地の戦場に送り出す事態を引き起こしかねない、憲法解釈変更の閣議決定による集団的自衛権の行使容認には、断固反対する。
2014年(平成26年)5月3日
新潟県弁護士会 会長 小 泉 一 樹

袴田事件再審開始決定に対する検察官の即時抗告に抗議する会長声明
1966年(昭和41年)6月、静岡県清水市(現静岡市清水区)の味噌製造会社専務宅で一家4名が殺害された強盗殺人・放火事件(いわゆる袴田事件)の第二次再審請求審で、静岡地方裁判所は、2014年(平成26年)3月27日、再審を開始し、死刑及び拘置の執行を停止する決定をした。
ところが、静岡地方検察庁の検察官は、同年3月31日、再審開始決定を不服として東京高等裁判所に即時抗告した。
再審開始決定は、弁護人が提出したDNA鑑定関係の証拠について、確定判決が有罪認定の最有力証拠とした5点の衣類が、袴田氏のものでもなく、犯行着衣でもなく、捜査機関によってねつ造されたものであったとの疑いを生じさせるものであると指摘し、「国家機関が無実の個人を陥れ、45年以上にわたり身体を拘束し続けたことになり、刑事司法の理念からは到底耐え難いことといわなければならない」、「無罪の蓋然性が相当程度あることが明らかになった現在、これ以上、袴田(氏)に対する拘置を続けることは、耐え難いほど正義に反する状況にある」として、再審の開始のみならず、拘置の執行を停止するという画期的判断を行った。
これにより、袴田氏は1966年(昭和41年)8月の逮捕以来約47年ぶりに釈放されたが、半世紀近くにもわたり死刑執行の淵に立たされて続けてきたその心情は想像を絶するものであり、筆舌に尽くし難い。
わが国は、1980年代に免田事件、財田川事件、松山事件、島田事件といった死刑確定判決に対する再審無罪事件を経験した。このとき平野龍一博士は、「わが国の刑事裁判はかなり絶望的である」と断じ、このような痛切な経験が今日の刑事司法改革につながっているはずであった。
また、2009年(平成21年)から発生したいわゆる厚労省元局長無罪事件、同事件の主任検察官による証拠隠滅事件、その上司であった元大阪地検特捜部長及び元同部副部長による犯人隠避事件を受けて当時の法務大臣が設置した「検察の在り方検討会議」では、検察官の基本的使命・役割として、「検察官は『公益の代表者』として、有罪判決の獲得のみを目的とすることなく、公正な裁判の実現に努めなければならない」旨が提言された。さらには、同会議の提言を受けて最高検察庁が策定した「検察の理念」においても、「刑罰権の適正な行使を実現するためには、・・・あくまで真実を希求し、知力を尽くして真相解明に当たらなければならない。」とし、「無実の者を罰し、あるいは、真犯人を逃して処罰を免れさせることにならないよう、知力を尽くして、事案の真相に取り組(み)」「被疑者・被告人等の主張に耳を傾け、積極・消極を問わず十分な証拠の収集・把握に努め、冷静かつ多角的にその評価を行う」という姿勢が求められたはずである。
しかるに、今回の検察官の即時抗告は、検察が「公益の代表者」としての立場を依然として全く自覚していないことを如実に示すものである。 今、袴田事件で、検察官がなすべきは、裁判を引き延ばすことではなく、再審公判で全ての証拠を開示して事件の真相を明らかにすることであり、それこそが国民から付託された「公益の代表者」としての責務である。
当会は、静岡地方検察庁の検察官が行った今回の即時抗告に強く抗議するとともに、検察官に対し、即時抗告を直ちに取り下げ、一刻も早い再審の審理開始に協力するよう強く求めるものである。
また、当会は、袴田氏が早期に無罪となることを強く願うとともに、このような悲劇が二度と繰り返されることのないよう、取調べ全過程の可視化や全面的証拠開示をはじめとするえん罪防止のための制度改革の実現を目指して、今後も全力を尽くす決意である。
2014年(平成26年)4月8日
新潟県弁護士会 会 長 小 泉 一 樹

新潟大学法科大学院の募集停止に関する会長談話
会 長 談 話
新潟大学大学院実務法学研究科(以下、新潟大学法科大学院という)は、本年3月17日、平成27年度からの入学者の募集停止を発表した。
新潟県弁護士会は、平成13年4月1日、新潟大学との間で新潟大学法科大学院における連携・協力に関する協定書及び覚書を取り交わし、平成15年3月1日には、法科大学院特別委員会を設置するなどして、新潟大学法科大学院への実務家教員の派遣、臨床法学科目リーガル・クリニックの実施の支援を行い、法科大学院生に対する独自の奨学金制度の創設と運営にも協力してきた。
新潟大学法科大学院は、「地域住民のニーズに即したリーガルサービスを着実に提供できる、地域住民の信頼と期待に応え得る法曹を養成すること」を教育理念としており、設立後10年が経過した今日まで合格した者の多くが当会に入会して弁護士となり、新潟県民の法的ニーズに応えるために様々な分野の活動に積極的に参加し、人権擁護の分野でも活躍している。たとえば、当会は司法過疎解消のため、ひまわり基金法律事務所を開設し、法律事務所新設等の活動を行ってきたが、新潟大学法科大学院を卒業生した若手弁護士はその先頭にたってきた。新潟大学法科大学院が地域司法の拡充に果たしてきた役割を考えると、このたびの募集停止は残念と言わざるをえない。
新潟大学法科大学院がやむなく募集停止に至った背景には法曹志願者の激減がある。その原因として、法科大学院構想が立ち上がった時、国は法科大学院の設置数・配置・定員等について適正な制度設計を描けず、地域適正配置の理念も無いまま、あまりにも多くの法科大学院の設立と定員を認めたことにある。それとあいまって、国は国民の法的需要に見合わない急激な弁護士増加政策をとったことにより、司法試験に合格しても就職できない者が急増している。また、法曹になるまでの経済的負担とリスクがあまりにも大きく、そのことも法曹を魅力のないものとしている。司法試験に合格しても就職先が無く、また司法修習生の給費制が廃止されたことにより、大学卒業後の法科大学院及び司法修習における学費や生活費を奨学金(借金)により賄わざるを得ないことから、一人当たりの経済的負担は数百万円から一千万円にのぼっているのが実情である。
このままでは、司法を担う有能な人材の養成が困難となり、ひいては社会の法的ニーズに応え国民の人権擁護という司法の使命を十分に果たせなくなる可能性がある。特に、法科大学院は地方都市や司法過疎地で働く人材を養成することも重要な目的の一つとして設置されたものである。弁護士も医者と同様に都市部に集中し、地方や過疎地域では不足しているのが現実であるが、この現実を打破して司法過疎地に定着して過疎解消の役割を担う弁護士を養成し排出してきたのが新潟大学法科大学院のような地方法科大学院である。このままでは新潟大学法科大学院のような地方法科大学院の募集停止が続くことは必至であり、そうならば地方で働く有能な弁護士を確保できなくなり、都市部と地方の司法サービスを受ける格差は広がるばかりである。司法の恩恵を国の隅々に行き渡らすためにも、地方の活性化のためにも、法科大学院の地域適正配置は絶対に必要である。
新潟大学法科大学院のこれまでに果たしてきた役割を考えるならば、国は募集を再開しうるような対策をとるべきである。すなわち、第一に弁護士人口の急激な増加政策をやめて法曹需要にみあった増加政策をとり、当面は司法試験合格者数を2000人から1500人程度に減少すべきである。第二に法曹希望者の経済的負担を減少させるために少なくとも司法修習生の給費制を復活させ、法科大学院生の奨学金の一部返還免除制度等の経済的支援の政策を実施すべきである。第三に司法過疎解消や地方の活性化をはかるため、中央の私立法科大学院等の定員を大幅に削減する等して、法科大学院の適正配置の具体的な施策を実施し、地方旧国立大学法科大学院の存続を図るべきである。
2014年(平成26年)3月31日
新潟県弁護士会 会 長 味 岡 申 宰

生活保護法施行規則の一部を改正する省令(案)の全面的見直しを求める会長声明
厚生労働省は、「生活保護法施行規則の一部を改正する省令(案)」を発表し、現在、パブリックコメントを募っている(3月28日締切り)。しかし、この省令案は、第183回及び第185回国会における政府答弁および参議院厚生労働委員会附帯決議を含む国会審議の内容を無視するという、一省庁として許されない内容を含んでいる。それは、これまでも問題となっている違法な水際作戦を助長誘発し、餓死者を生じさせるという重大な影響を及ぼすおそれの大きなものである。その問題点は、下記に述べる通りである。
すなわち、 国会において、政府は、改正生活保護法24条1項について、申請書の提出は従来どおり申請の要件ではないことを法文上も明確にするために、本文の表現を修正するとともに、ただし書を設けるという法文修正を行った旨答弁している。
また、参議院厚生労働委員会附帯決議は、政府に対し、「申請行為は非要式行為であり、…口頭で申請することも認められるというこれまでの取扱い…に今後とも変更がないことについて、省令、通達等に明記の上、周知する」ことを求めている。
ところが、省令案では、「保護の開始の申請等は、申請書を…保護の実施機関に提出して行うものとする」として、申請書の提出が申請の要件であり、口頭申請は原則として認められないとの誤解を招く内容となっており、上記政府答弁や同附帯決議に明らかに反している。
さらに、省令案は、「ただし、身体上の障がいがあるために当該申請書に必要な事項を記載できない場合その他保護の実施機関が当該申請書を作成することができない特別の事情があると認める場合は、この限りではない」として、口頭申請が認められる場合が身体障がい等の特別の事情のある場合に限定され、かつ、その有無の判断が保護の実施機関に委ねられるかのような内容となっており、そのような限定を加えていない、生活保護手帳別冊問答集2013(問9-1)に示された現在の運用よりも後退した内容であることが明らかである。
また、国会においては、改正生活保護法24条2項には、保護の要否判定に必要な書類の提出について、これまでの取扱いに変更がないことを明確にするためにただし書を設けるという法文修正が行われるとともに、「要否判定に必要な資料の提出は可能な範囲で保護決定までの間に行うというこれまでの取扱いに今後とも変更がないことについて、省令、通達等に明記の上、周知する」との前記附帯決議がなされた。にもかかわらず、省令案には、この点に関する記述が一切存在せず、法文修正の趣旨に関する政府答弁や同附帯決議に反している。
さらに、政府は、改正生活保護法24条8項、28条、29条について、福祉事務所が家庭裁判所を活用した費用徴収を行うこととなる蓋然性が高いと判断するなど、明らかに扶養が可能と思われるにもかかわらず扶養を履行していないと認められる極めて限定的な場合に限ることにし、その旨厚生労働省令で明記する予定である旨、繰り返し答弁を行っていた。にもかかわらず、省令案では、原則として通知や報告要求を行い、「保護の実施機関が、当該扶養義務者に対して法第77条第1 項の規定による費用の徴収を行う蓋然性が高くないと認めた場合」等に例外的に通知等を行わないものとしている。これは、原則と例外を完全に逆転させるものであって、上記政府答弁に全く反している。
当会は、2013年(平成25年)5月29日付「生活保護法の一部を改正する法律案」の廃案を求める会長声明」、同年10月24日付「改めて生活保護法改正案の廃案を求める会長声明」を公表し、繰り返し改正生活保護法の問題点を指摘してきた。 国会においても、同様の問題点が指摘され審議された結果、上記の答弁及び附帯決議がなされたものであって、今回の省令案は、国会審議を無視するものである。
よって、今回の省令案を政府答弁や附帯決議に即した内容にするよう直ちに修正することをつよく求めるものである。
2014年(平成26年)3月25日
新潟県弁護士会 会長 味 岡 申 宰

立憲主義を真っ向から否定する内閣総理大臣の発言に抗議する声明
1 安倍内閣総理大臣の発言 安倍晋三内閣総理大臣は、2月5日の参議院予算委員会において、憲法改正の手続きによらず解釈の変更によって集団的自衛権の行使を容認することが可能であるかとの質問に対し、「政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることによって可能であり、憲法改正が必要だという指摘は、これは必ず… 続きを読む ?
「特定秘密の保護に関する法律」の廃止を求める決議
1 去る2013年(平成25年)12月6日、「特定秘密の保護に関する法律」が成立し、成立後1年以内に政令等を整備した上で施行することとなった。
2 しかし、同法に対しては、法案審議前より、報道の自由や国民の知る権利を始めとする基本的人権を侵害し、民主主義・国民主権を著しく形骸化させる危険があると、多方面から指摘されていた。成立した法律に基づき指摘すれば、以下のとおりである。
① 秘密の範囲が広範かつ不明確に過ぎること(第3条1項、別表)
② 秘密の指定、指定の期間、指定の解除の適正さを担保する第三者機関によるチェックの機会がないこと(第3条、第4条)
③ 秘密の漏えい行為及び取得行為に対し重い罰則を課すことで(第23条、第24条)、情報収集活動に過度の萎縮効果をもたらし、国政に関する「国民の知る権利」を侵害する危険性が高いこと
④ 秘密取扱者に対する「適性評価制度」の導入により、プライバシー侵害や思想信条による差別の危険性が生ずること(第12条、15条)
まさに、「役所が秘密と決めたら、国民には見せない聞かせない触れさせない」という法律と言わざるを得ない。
3 このように、「特定秘密の保護に関する法律」はその運用によっては、国民にとって重要な情報を半永久的に隠蔽してしまう危険が高い。またそれだけでなく、この法律が国会議員の活動や刑事裁判手続にも適用されることから、行政権による特定秘密の独占が立法権や司法権の活動をも侵害し、もって三権分立を脅かす危険が大きいと言わざるを得ない。
そもそも、過去15年間に発生した5件の公務員による主要な情報漏えい事件はいずれも既存の法律で対処してきたことは政府も認めてきたところであり、あえて新しい法律を作るべき立法事実があるのか、強い疑問が出されていた。
また、政府による秘密の指定と人権保障とのバランスに関する国際基準として、「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」(いわゆるツワネ原則)がある。「国民には政府の情報を知る権利がある」ことを原則に「防衛計画や兵器開発、諜報機関など限定した情報のみ非公開とすることができる」というこの原則に照らせば、「特定秘密の保護に関する法律」は、国際水準を大きく逸脱したものと言わなければならない。
4 なお現在、政府は、秘密の範囲が広範囲かつ不明確でチェック機能もないとの批判に応える形で、政令等により、「保全監視委員会」「情報保全監察室」「独立公文書管理監」「情報保全諮問会議」などをつくりその批判を払拭したいとしている。
しかし、「保全監視委員会」「情報保全監察室」「独立公文書管理監」については、いずれも行政から独立した公正中立な第三者機関とは言い難く、また、「情報保全諮問会議」については、指定された秘密の内容を検証できないなど十分な権限を有しておらず、その実効性は強く疑われるところである。
5 以上のとおり、「特定秘密の保護に関する法律」の根本的な問題点は下位法である政令等で改善されることは期待できない。
よって、総会決議や会長声明の発出、地元国会議員への働きかけ、緊急市民集会の開催、新潟市内での連日の街頭宣伝など、これまで「特定秘密の保護に関する法律」の問題点を広くアピールする活動を積み重ねてきた当会としては、「特定秘密の保護に関する法律」については、施行することなく直ちに廃止するよう求めるものである。 右決議する。
2014年(平成26年)2月28日
新潟県弁護士会臨時総会

特定秘密保護法案の参議院での強行採決に抗議する会長声明
政府は、昨日、参議院において特定秘密保護法案の強行採決を行った。本法案は、衆議院で修正されたものの、その本質は全く変わっておらず、秘密保護の名の下に、国民の知る権利や報道の自由を侵害し、わが国の自由と民主主義を否定するものである。さらには憲法で定められている両議院の国政調査権さえも制限するなど、行政に対する国会の民主的なコントロールを骨抜きにしかねない。
そもそも本法案は、その作成の時から秘密裏に行われてきたものであり、国民だけでなく国会議員さえも法案の内容を知らされてこなかった経緯がある。そして、本法案の内容とその問題点が広く国民に報道されるようになったのはごく最近になってからのことである。国民のなかで法案の内容と問題点を知る人たちが増加するにつれ、アンケート調査でも国民の多くが反対し、多数の著明な法学者、科学者、作家、映画人、ジャーナリスト、弁護士やそれらの団体、労働組合、市民団体等、国民の各界各層から反対意見が続々と出され、また、圧倒的多数の国民が国会における慎重審議を求めていた。
新潟県弁護士会も、平成24年5月に本法案の前身である秘密保全法制定に反対する総会決議を行い、2回にわたり法案に反対する会長声明を発し、市民集会、メディアとの懇談会、街頭宣伝、国会議員要請等を行ってきた。
しかし、政府は、衆議院と同様に参議院においても数を頼んで強行採決を行った。国民は、与党に全てを白紙委任したものではない。多くの反対意見が出されており、圧倒的多数の慎重審議を求める国民の声を無視し、国会の多数を頼んで強行採決を行ったのは、許しがたい暴挙と言わなければならない。
新潟県弁護士会は、ここに会長声明を発し、本法案の強行採決に強く抗議するものである。
2013年(平成25年)12月7日
新潟県弁護士会 会長  味 岡 申 宰

参議院での徹底審議を求める緊急談話
政府は、12月5日、福島瑞穂議員に対し、「特別秘密の保護に関する法律案[逐条解説]」(以下、「逐条解説」という)なる文書を開示した。
同文書は、政府部内で秘密保護法案を検討している際にその逐条解説として作成されたものと思われ、そこに記載されている法案は国会に提出された法案とは異なる点も多いが、共通する部分も少なくない。
例えば、別表第2号について、「我が国の安全保障等に係る重要施策の方針」については、「我が国の安全保障等にとって望ましい同盟国等との関係構築に向けた外交戦略等が挙げられる」との記載がある。これは現法案別表2号「外国の政府又は国際機関との交渉又は協力の方針又は内容のうち国民の生命及び身体の保護、領域の保全その他の安全保障に関する重要なもの」と酷似したものである。
ところで、政府はTPP交渉に関する情報については2号該当性がないとの答弁も行っている。しかし、逐条解説を前提とすると、例えばTPP交渉に関する情報も、安全保障等にとって望ましい同盟国等との関係構築に向けた外交戦略として2号該当性が認められかねない。
つまり、重要な点において逐条解説と政府答弁との間に矛盾があるということであり、その他の項目においても逐条解説と政府答弁との間に齟齬が生ずる可能性は否定できない。
このように政府部内において作成された文書と政府答弁との間に明らかな齟齬が見つかった以上、参議院において、それらの齟齬が生じた経過などについてさらなる審議を尽くす必要があることは明白である。
また、政府は、逐条解説という極めて基本的かつ重要な資料を採決間際まで公開せずに、国会で審議を進めてきたのであり、国会軽視も甚だしい。逐条解説を公開して審議していれば、法案の問題点はもっと深く審議できたはずである。
少なくともこのような重要な文書の存在が明らかになった以上、さらに審議を尽くすことが必要であり、参議院での強行採決を行うなど言語同断である。
参議院での強行採決をしないよう強く求める。
2013年(平成25年)12月6日
新潟県弁護士会 会長  味 岡 申 宰

改めて生活保護法改正案の廃案を求める会長声明
本年10月15日、臨時国会の開催に伴い、「生活保護法の一部を改正する法律案」(以下「新改正案」という。)が閣議決定された。
当会は、本年5月29日、「生活保護法の一部を改正する法律案」(以下「旧改正案」という。)について、「「生活保護法の一部を改正する法律案」の廃案を求める会長声明」を公表し、①違法な「水際作戦」を合法化し、②保護申請に対する一層の萎縮的効果を及ぼすなど看過しがたい重大な問題があることから、その廃案を求めた。旧改正案については、批判の高まりの中、与野党協議により一部修正されたものが衆議院で可決されたが、本年6月26日の第183回通常国会の閉会に伴い廃案となった。

2321 ら特集新潟弁護士会①


新潟県弁護士会
ttp://www.niigata-bengo.or.jp/
声明・意見書
ttp://www.niigata-bengo.or.jp/2017/?cat=2

会長 兒 玉 武 雄(2017年04月28日声明まで)
2017年10月10日
少年法の適用年齢引下げに改めて反対する会長声明
2017年09月27日
民法の成年年齢引下げに反対する会長声明
2017年09月27日
地方消費者行政に対する国の財政的支援の充実・強化を求める会長声明
2017年06月23日
改正組織的犯罪処罰法の採決強行に抗議し、同法の廃止等を求める会長声明
2017年05月30日
いわゆる共謀罪の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案に反対する会長声明
2017年04月28日
司法修習生の経済的支援の制度創設にあたっての会長声明

会長 菊 池 弘 之(2016年04月25日声明まで)
2017年04月4日
人権救済申立に関する結果について(新潟刑務所宛)
2017年04月4日
人権救済申立に関する結果について(大阪刑務所宛)
2017年03月15日
「テロ等準備罪」法案の国会提出に反対する会長声明
2017年02月6日
JASRACによる音楽教室への著作権料徴収に関する会長談話

ttp://www.niigata-bengo.or.jp/2016/?cat=2
2016年12月29日
糸魚川大規模火災に関する日弁連会長談話
2016年12月28日
糸魚川大規模火災に関する会長声明
2016年05月2日
69回目の憲法記念日に寄せる談話
2016年04月25日
平成28年4月に発生した熊本地震に関する会長談話

会長 平  哲也(2015年05月1日声明まで)
2016年03月23日
災害対策を理由とする国家緊急権の創設に反対する理事長声明
2016年01月20日
司法修習生に対する給付型の経済的支援を求める会長声明
2016年01月15日
Do-Not-Call/Knock制度の導入を求める会長声明
2016年01月15日
消費者庁・国民生活センター・消費者委員会の地方移転に反対する会長声明

ttp://www.niigata-bengo.or.jp/2015/?cat=2
2015年09月15日
安全保障関連法案の採決強行を行わず、廃案を求める会長声明
2015年07月22日
「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)に反対する会長声明
2015年07月17日
安全保障関連法案に反対し、衆議院本会議における強行採決に抗議する声明
2015年07月15日
衆議院特別委員会における安保法制関連法案の強行採決に抗議し、衆議院本会議における強行採決に反対する会長声明
2015年06月16日
借上げ住宅の打ち切りに反対する会長声明
2015年06月11日
少年法の「成人」年齢引き下げに反対する会長声明
2015年05月26日
憲法の恒久平和主義及び立憲主義に違反する安保法制関連法案に反対する決議
2015年05月26日
憲法の恒久平和主義及び立憲主義に違反する安保法制関連法案に反対する決議 決議理由
2015年05月13日
労働時間規制の緩和に反対する会長声明
2015年05月13日
労働者派遣法の一部改正案に反対する会長声明
2015年05月1日
災害対策と「国家緊急権」に関する会長声明

会長 小泉一樹(2014年04月9日声明まで)
2015年02月25日
商品先物取引法における不招請勧誘禁止緩和に抗議する会長声明

ttp://www.niigata-bengo.or.jp/2014/?cat=2
2014年11月26日
特定秘密の保護に関する法律」の施行に反対し、改めて同法の廃止を求める会長声明
2014年10月8日
司法予算の大幅増額を求める会長声明
2014年09月9日
平成26年度司法試験合格者発表を受けての会長談話
2014年08月28日
「特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準(仮称)(案)」に対する意見書
2014年07月2日
集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定に抗議し撤回を求める会長声明
2014年06月25日
原発事故避難者に対する借上げ住宅制度の複数年単位の期間延長及び柔軟な運用を求める会長声明
2014年06月17日
行政書士法改正に反対する会長声明
2014年05月26日
憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に反対する総会決議
2014年05月26日
憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に反対する総会決議 決議理由
2014年05月2日
憲法記念日を迎えるに当たり集団的自衛権の行使容認に反対する会長声明
2014年05月2日
商品先物取引法における不招請勧誘禁止の緩和に反対する会長声明
2014年04月9日
袴田事件再審開始決定に対する検察官の即時抗告に抗議する会長声明

会 長 味 岡 申 宰(2013年04月5日声明まで)
2014年03月31日
新潟大学法科大学院の募集停止に関する会長談話
2014年03月26日
生活保護法施行規則の一部を改正する省令(案)の全面的見直しを求める会長声明
2014年03月12日
立憲主義を真っ向から否定する内閣総理大臣の発言に抗議する声明
2014年03月12日
労働者派遣法の一部改正案に反対する会長声明
2014年03月11日
原発事故被害者に寄り添い、支援を続けていくことの共同宣言
2014年03月3日
「特定秘密の保護に関する法律」の廃止を求める決議

ttp://www.niigata-bengo.or.jp/2013/?cat=2
2013年12月7日
特定秘密保護法案の参議院での強行採決に抗議する会長声明
2013年12月6日
参議院での徹底審議を求める緊急談話
2013年10月25日
商品先物取引について不招請勧誘禁止を撤廃することに反対する会長声明
2013年10月25日
改めて生活保護法改正案の廃案を求める会長声明
2013年09月24日
特定秘密の保護に関する法律案に反対する会長声明
2013年09月12日
被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(案)に対する会長声明
2013年07月9日
憲法第96条の憲法改正発議要件緩和に反対する決議
2013年07月9日
民法改正に関する意見書
2013年06月18日
復興庁参事官によるツイッターへの書き込みに強く抗議し、原発事故子ども・被災者支援法の趣旨に忠実な基本方針の早期策定を求める会長声明
2013年06月18日
憲法第96条の憲法改正発議要件緩和に反対する会長声明
2013年05月29日
「生活保護法の一部を改正する法律案」の廃案を求める会長声明
2013年05月16日
橋下徹氏の従軍慰安婦問題に関する発言に対する会長声明
2013年04月5日
東京電力福島第一原子力発電所事故による損害賠償請求権の消滅時効について特別措置法の制定を求める会長声明

会長 伊 藤 秀 夫(2012年04月6日声明まで)
2013年03月13日
東日本大震災から2年を経過し、引き続き、原発事故による避難者を支援する会長声明

新潟県弁護士会臨時総会決議
2013年03月1日
東京電力福島第一原子力発電所事故による損害賠償請求権の消滅時効に関する総会決議
2013年03月1日
新潟地方裁判所・家庭裁判所の村上支部、柏崎支部、南魚沼支部、糸魚川支部、十日町支部の設置の実現に向けた総会決議

2013年02月1日
法科大学院の地域適正配置についての11弁護士会会長共同声明
2013年01月18日
福島第一原子力発電所事故による損害賠償請求権の消滅時効期間に関する意見書
ttp://www.niigata-bengo.or.jp/2012/?cat=2

2012年12月12日
遠隔操作による脅迫メール事件等における取調べについての会長声明
2012年11月30日
原発事故避難者に寄り添う支援をさらに続けていくことを宣言する旨の総会決議2012年11月1日
警戒区域等以外の避難者に対する高速道路の無料化措置を求める会長声明
2012年10月17日
生活保護基準の引下げに強く反対する意見書
2012年09月4日
自殺防止への取り組みについて、新潟県弁護士会としてあらためて最大限の努力を注いで具体的に行動することを宣言する旨の総会決議
2012年08月22日
金利規制及び総量規制の緩和に反対する会長声明
2012年06月13日
違法ダウンロードに対する刑事罰の導入に反対する会長談話
2012年05月24日
福岡県弁護士会所属会員に対する業務妨害事件に関する会長談話
2012年05月21日
秘密保全法制定に反対する総会決議
2012年04月6日
任意整理における統一基準に基づく和解に応じることを求める意見書
2012年04月6日
死刑執行に抗議する会長声明

会 長 砂 田 徹 也(2011年04月1日声明まで)
2012年03月29日
秘密保全法制定に反対する会長声明
2012年03月7日
東日本大震災及び福島原発事故による被災者への「法的支援事業」特別措置法の制定を求める会長談話
2012年03月1日
刑事公判中の偽証嫌疑による証人逮捕・勾留に関する会長声明
2012年02月27日
東日本大震災及び福島原発事故による広域避難者支援及び特別立法制定に関する決議
2012年02月13日
原子力損害賠償紛争解決センターの和解案に対する東京電力の回答に関する会長談話
2012年01月13日
非弁行為に関する会長声明

ttp://www.niigata-bengo.or.jp/2011/?cat=2
2011年12月28日
公契約法・公契約条例の制定を求める意見書
2011年12月14日
「民間賃貸住宅借上げ制度の新規受付年内打切り要請」に関する会長声明
2011年09月14日
原発事故被害者の立場にたって原子力損害賠償紛争解決センター和解仲介業務規程の改正又は適切な運用を求める意見書
2011年07月30日
「米百俵」の精神を受け継いで -法曹養成制度における給費制の意義を考える-2011年07月27日
原子力損害賠償紛争審査会の仲介組織設置に関する申入書
2011年05月25日
布川事件再審無罪判決についての会長声明
2011年05月23日
原子力発電所事故被災者の「生の声」を踏まえた適切な損害賠償及び真の被害回復の実現を求める総会決議
2011年05月23日
「法曹の養成に関するフォーラム」の非公開方針に関する会長談話
2011年04月22日
原子力損害賠償紛争審査会の会議のあり方等に関する緊急申入書
2011年04月22日
守田貴雄司法書士に対する懲戒処分に関する会長談話
2011年04月19日
仮払補償金の支払対象者に関する会長談話
2011年04月13日
東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所の重大事故に関する会長声明2011年04月13日
「東日本大震災に係るインタ-ネット上の流言飛語への適切な対応に関する要請」の撤回を求める会長声明
2011年04月11日
福島第一原子力発電所からの避難者に対して 迅速かつ適切な仮払いを行うことを求める会長声明
2011年04月1日
東日本大震災の被災者に対する現金給与を求める要請書

新潟県弁護士会常議員会決議
2011年03月23日
労働者派遣法の早期抜本的改正を求める意見書

会 長  遠 藤 達 雄(2010年06月8日声明まで)
2011年03月23日
少年に対する死刑確定に関する会長談話
2011年03月23日
弁護士事務所における暴行傷害事件に関する会長談話
2011年03月18日
東北地方太平洋沖地震等に関する会長声明

新潟県弁護士会臨時総会決議(下記2011年02月28日まで)
2011年02月28日
身体拘束を受けた少年に対する全面的国選付添人制度の早期実現を求める決議 決議理由
2011年02月28日
各人権条約に基づく個人通報制度の早期導入及びパリ原則に準拠した政府から独立した国内人権機関の設置を求める決議 決議理由
2011年02月28日
身体拘束を受けた少年に対する全面的国選付添人制度の早期実現を求める決議
2011年02月28日
各人権条約に基づく個人通報制度の早期導入及びパリ原則に準拠した政府から独立した国内人権機関の設置を求める決議
2011年02月28日
裁判所支部の充実を求める決議

ttp://www.niigata-bengo.or.jp/2010/?cat=2

会長 遠藤 達雄
2010年12月10日
裁判員裁判における死刑判決についての会長談話
2010年12月10日
司法修習貸与制施行延期に関する「裁判所法の一部を改正する法律」成立にあたっての会長談話
2010年11月22日
取調べの全面可視化を求める決議 決議理由
2010年11月22日
適正な法曹人口及び司法基盤の拡充を求める決議
2010年11月19日
取調べの全面可視化を求める決議
2010年11月12日
司法修習給費制に関する会長談話
2010年11月8日
秋田弁護士会所属会員殺害事件に関する会長談話
2010年09月19日
明日の「権利の守り手」を育てる市民集会 宣言
2010年08月11日
死刑執行に関する会長声明
2010年08月3日
高校無償化法の平等な適用を求める会長声明
2010年06月15日
改正貸金業法完全施行にあたって 会長談話
2010年06月8日
横浜弁護士会所属会員殺害事件に関する会長声明

新潟県弁護士会定期総会
2010年05月25日
司法修習生に対する給費制の維持を求める決議 決議理由
2010年05月21日
司法修習生に対する給費制の維持を求める決議

会長 和田光弘(2009年05月1日声明まで)
2010年03月16日
新潟地方裁判所における裁判員裁判第1号事件の審理開始にあたって 会長談話
2010年03月1日
取調べの全面可視化の早期実現を求める決議
2010年03月1日
取調べの全面可視化の早期実現を求める決議 決議理由
2010年02月2日
身柄全件国選付添人制度の早期実現を求める会長声明
2010年01月15日
ストリートビュー機能のサービス拡大についての意見書
2010年01月14日
葛飾ビラ配布事件に関する会長声明

ttp://www.niigata-bengo.or.jp/2009/?cat=2
2009年10月30日
司法修習生の修習資金貸与制実施の延期及び給費制の復活に関する会長声明
2009年09月17日
民主党政権発足にあたって 会長談話
2009年09月11日
改正貸金業法の早期完全施行等を求める会長声明
2009年08月6日
消費者庁長官及び消費者委員会の人事に関する会長声明
2009年08月6日
死刑執行に関する会長声明
2009年08月6日
県内各自治体において早急に適正な公文書管理制度を作ることを求める会長声明2009年07月23日
海賊対処法に反対する会長声明
2009年06月23日
足利事件に関する会長声明

新潟県弁護士会定期総会
2009年05月20日
裁判員裁判施行にあたり 多数決による死刑評決に反対し、死刑制度の見直しを求める決議
2009年05月20日
裁判員裁判施行にあたり多数決による 死刑評決に反対し、死刑制度の見直しを求める決議 決議理由

会長 和田 光弘
2009年05月1日
金沢弁護士会所属会員に対する業務妨害事件に関する会長声明
2009年05月1日
司法判断に従った水俣病認定審査を求める会長声明

会長 髙野 泰夫(2008年04月7日声明まで)
2009年03月23日
労働者派遣法の改正とセイフティ-ネットの確保を求める意見書 決議理由
2009年03月23日
定額給付金支給に関する会長談話
2009年03月23日
労働者派遣法の改正とセイフティ-ネットの確保を求める意見書

ttp://www.niigata-bengo.or.jp/2008/?cat=2
2008年12月24日
ストリートビューに対し会長声明
2008年10月20日
消費者の視点に立った消費者行政の新組織の創設と地方の消費者行政の充実を求める会長声明
2008年10月16日
割賦販売法改正に関する最終報告書に対する会長声明
2008年09月12日
不適切な戸籍消除に対する勧告について
2008年07月16日
布川事件についての会長談話
2008年07月7日
少年審判における被害者等の傍聴は厳格に行うべきことを求める会長声明

新潟県弁護士会定期総会
2008年05月23日
名古屋高裁自衛隊イラク派遣差止訴訟判決に関する決議
2008年05月23日
名古屋高裁自衛隊イラク派遣差止訴訟判決に関する決議 決議理由

会長 髙野 泰夫
2008年04月21日
被害者等による審判傍聴規定新設を含む少年法改正案に反対する会長声明
2008年04月7日
「靖国 YASUKUNI」上映中止に関する会長声明

会長 藤田 善六(2007年07月24日声明まで)
2008年02月29日
取調べ全過程の録音・録画の実現を求める総会決議
2008年02月29日
取調べ全過程の録音・録画の実現を求める総会決議 決議理由
2008年02月29日
裁判員裁判実施の延期に関する決議
2008年02月29日
裁判員裁判実施の延期に関する決議 決議理由

ttp://www.niigata-bengo.or.jp/2007/?cat=2
2007年08月31日
平成19年新潟県中越沖地震の被災者支援についての臨時総会決議
2007年08月7日
取調べの全過程の録音・録画を求める会長声明
2007年08月7日
「被災者生活再建支援制度見直しの方向性について」に対する意見書
2007年07月24日
新潟県中越沖地震の被災者支援に関する会長声明

新潟県弁護士会臨時総会
2007年02月28日
憲法改正国民投票法案に反対し、十分な国民的論議を求める決議

ttp://www.niigata-bengo.or.jp/2006/?cat=2

会長 馬場 泰
2006年12月4日
少年法等の一部を改正する法律案についての声明
2006年11月8日
教育基本法改正に関する会長声明
2006年09月7日
貸金業規制法等の改正に関する金融庁素案に反対する緊急声明

「下記会長名・新潟県弁護士会臨時総会等記載無し」
2006年06月6日
出資法の上限金利の引き下げ等を求める意見書
2006年05月9日
共謀罪の与党修正案に反対する会長声明

ttp://www.niigata-bengo.or.jp/2005/?cat=2
2005年12月20日
「ゲートキーパー」立法に反対する会長声明
2005年10月4日
共謀罪の新設に反対する会長声明

ttp://www.niigata-bengo.or.jp/2004/?cat=2
2004年05月21日
司法改革関連法案についての決議 決議理由
2004年05月21日
ヤミ金、オレオレ詐欺、架空請求等に対する取り組み強化の決議
2004年05月21日
ヤミ金、オレオレ詐欺、架空請求等に対する取り組み強化の決議 決議理由
2004年05月21日
司法改革関連法案についての決議

―――――◦―――――◦―――――

高校無償化法の平等な適用を求める会長声明
1 政府は、本年4月1日、「公立高等学校にかかる授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」(以下、「高校無償化法」という。)を施行した。
高校無償化法の対象となる「高等学校等」には、「高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定める」各種学校が含まれている(同法2条1項5号)。
2 しかるに、文部科学省は、「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則」(以下、「本件省令」という。)において、高校無償化法の対象となる外国人学校の要件について、「高等学校に対応する外国の学校の課程と同等の課程を有するものとして当該外国の学校教育制度において位置付けられたものであって、文部科学大臣が指定したもの」(本件省令1条1項2号イ)「イに掲げるもののほか、その教育活動等について、文部科学大臣が指定する団体の認定を受けたものであって、文部科学大臣が指定したもの」(同号ロ)「イ及びロに掲げるもののほか、文部科学大臣が定めるところにより、高等学校の課程に類する課程を置くものと認められるものとして、文部科学大臣が指定したもの」(同号ハ)と定めた上、平成22年4月30日付告示「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則第1条第1項第2号イ及びロの各種学校及び団体を指定する件」(以下、「本件告示」という。)において、「高等学校の過程に類する過程を置くもの」として、朝鮮高級学校以外の外国人学校(以下、「他の外国人学校」という。)をすべて指定したにもかかわらず、朝鮮高級学校を指定しなかった。
3 しかしながら、これらの政府の対応は、朝鮮高級学校に通う子どもについても、憲法14条1項によって、他の外国籍の子どもとの間で合理的理由なくして差別的取扱いを受けない権利が保障されていること、さらに、朝鮮高級学校に通う子どもにも、教育を受ける権利(憲法26条1項)が保障され、子どもの権利条約が民族教育の尊重を教育の目的として指向していること(子どもの権利条約29条1項(c)(d))、国際人権規約(社会権規約2条2項、13条、自由権規約26条)、人種差別撤廃条約5条等の定めに照らし、疑問であると言わざるを得ない。
(1) すなわち、朝鮮高級学校は、各都道府県知事から各種学校としての認可を受け、その際認可に必要な範囲で教育課程についての情報も提供され、長年にわたり安定した教育を実施している。そして、日本全国のほぼすべての大学が、朝鮮高級学校の卒業生に対し、「高等学校を卒業した者と同等以上の学力がある」として大学受験資格を認定している。
(2) また、他の外国人学校に通う子どもの多くは、親の仕事等の都合上一時的に我が国に身を置き、外国人学校を卒業したのち、本国の大学へ進学することが予定されているのに対し、朝鮮高級学校に通う子どもは、ほとんどがいわゆる在日朝鮮籍・韓国籍の子どもたちであり、将来にわたって日本国内で生活することが予定されていることからすれば、可能な限り日本国籍の子どもたちと同等の人権が保障されるべきであり、民族教育を希望する保護者・子どもたちの意思を尊重すべきであることからしても、その支援の必要性は、他の外国人学校に通う子どもに比し、優るとも劣るものではない。
(3) そもそも、本件省令が、高校無償化法の対象となる外国人学校につき、「高等学校に対応する外国の学校の課程と同等の課程を有するものとして当該外国の学校教育制度において位置付けられたもの」とのカテゴリーを設定したこと自体、実際上、国内に存在する外国人学校のうち、本国である北朝鮮と国交のない朝鮮高級学校のみを別異に取り扱うことを念頭に置いているものとも疑われ、その合理性には疑問がある。
(4) 以上によれば、朝鮮高級学校については、他の外国人学校と等しく、「高等学校の課程に類する課程を置くもの」として高校無償化法を適用すべきであり、他の外国人学校は全て高校無償化制度の対象としたにもかかわらず、朝鮮高級学校のみを対象から当面除外していることは適切ではなく、仮に、朝鮮高級学校を本件省令1条1項ハにも該当しないとして除外した場合には、朝鮮高級学校に通う子どもに対する合理的理由のない差別にあたるおそれが高い。
4 なお、政府は、朝鮮高級学校を指定するか否かについては、委員名及び議事内容を非公開とした専門家会議により決するとしているが、朝鮮高級学校のみを別異に取り扱うことの合理的理由の有無の判断にあたっては、文部科学省の意思決定につき国民をして検証可能とすべく、意思決定の過程を公開することが不可欠の前提であり、現在どのような議論がなされているかについて国民が検証できるよう公開されるべきである。
5 ところで、新潟県においては、北朝鮮による拉致被害事件が発生した過去があり、かかる重大な人権侵害行為は到底許されないものであり、問題の早期解決を強く望むものである。そして、閣僚や政治的な影響力のある者の中には、拉致被害事件の未解決を理由として、朝鮮高級学校に無償化法を適用すべきではないとする意見が散見される。しかしながら、朝鮮高級学校に通っている子どもやその親は、拉致事件につき責任を負うべき立場にはなく、拉致事件を原因とする差別を受けるいわれもない。拉致事件が未解決であるという事実があるとしても、それによって朝鮮高級学校に通う子ども及びその親に対する差別を是認する理由にはならないことは明らかである。
6 よって、当会は、内閣総理大臣および文部科学大臣に対し、朝鮮高級学校を就学支援金の支給対象から除外することなく、高校無償化法2条1項5号の適用を認めるよう求めるものである
2010(平成22)年8月3日
新潟県弁護士会 会長 遠藤 達雄

安全保障関連法案の強行採決についての会長コメント
ttp://www.niigata-bengo.or.jp/wp/wp-content/uploads/00000168-20150919111601.pdf

おかしいだろ、これ。

2015(平成27)年9月19日
新潟県弁護士会会 長 平 哲 也

安全保障関連法案に反対し、衆議院本会議における強行採決に抗議する声明
本日、衆議院本会議において、平和安全法制整備法案及び国際平和支援法案(以下併せて「安全保障関連法案」といいます。)の採決が与党単独で強行され、可決されました。
関東弁護士会連合会は、集団的自衛権の行使や海外での武力行使を容認する「安全保障関連法案」が、日本国憲法第9条等の定める恒久平和主義の内容を根本から改変してしまうものであり、立憲主義の基本理念、国民主権の基本原理に違反していることを繰り返し指摘し、反対してきました。
そして、関東弁護士会連合会と管内の13の弁護士会は、本年7月9日から8月8日までの1か月間、このような法案の廃案を求め、各地で一斉行動を実施しております。
本年6月4日の衆議院憲法審査会における与党推薦者を含む参考人3名の憲法学者が憲法違反と明言し、また、報道機関の世論調査においても、国会における政府の説明は不十分であり、今国会での成立に反対であるとの意見が多数を占めています。
にもかかわらず、本日、憲法に明白に違反する「安全保障関連法案」が、衆議院において採決が強行されたことは、世論調査にも示されている民意を踏みにじるものであり、到底容認できません。
よって、関東弁護士会連合会と管内の13の弁護士会の会長は、採決の強行に対し強く抗議するとともに、本法案が廃案となるよう、今後も引き続き、全力を挙げて一斉行動に取り組む所存です。
2015年(平成27年)7月16日
関東弁護士会連合会理事長 藤田 善六
伊藤 茂昭(東京弁護士会会長)
岡 正晶(第一東京弁護士会会長)
三宅 弘(第二東京弁護士会会長)
竹森 裕子(横浜弁護士会会長)
石河 秀夫(埼玉弁護士会会長)
山本 宏行(千葉県弁護士会会長)
木島 千華夫(茨城県弁護士会会長)
若狭 昌稔(栃木県弁護士会会長)
橋爪 健(群馬弁護士会会長)
大石 康智(静岡県弁護士会会長)
關本 喜文(山梨県弁護士会会長)
髙橋 聖明(長野県弁護士会会長)
平 哲也(新潟県弁護士会会長)

少年法の適用年齢引下げに改めて反対する会長声明
1 法務省の法制審議会少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会は、少年法の適用年齢を20歳未満から18歳未満に引き下げることを議論しています。この議論は「引下げありきではない」ことを確認しながら進められているようではあるものの、民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げるという議論とも並行しており、既に実施された選挙権年齢の18歳への引下げと併せて、法体系の整合性が引下げの大きな理由づけの一つとされています。
2 当会は、2015(平成27)年6月11日、「少年法の『成人』年齢引き下げに反対する会長声明」を発し、少年法の適用年齢引下げに反対の立場であることを表明しました。
その際に反対の理由として挙げたのは、少年犯罪は人口比において減少を続けていること、一定の凶悪重大な犯罪に当たる事件を起こした少年については現行法によっても原則として成人同様に起訴し処罰することが可能であり、さらなる厳罰化の必要に乏しいこと、罪を犯した18歳、19歳の少年が家庭裁判所や少年鑑別所等の関与を受けてその性格や環境等の問題点を把握された上で矯正教育を受ける機会を失わせることは、少年の更生にとって問題であること、等でした。それらの理由づけは今も変わりありません。何よりも、適用年齢引下げの必要性があること、すなわち、現行の少年法による18歳、19歳の少年に対する処遇に問題があることは、何ら論証されていません。上記法制審議会の部会においても、参考人としてヒアリングを受けた少年鑑別所長、少年院長、少年刑務所の元所長や職員、保護観察官、保護司、家庭裁判所調査官らは、総じて、現行の少年法に基づく少年審判手続の対象となる18歳、19歳の少年が一昔前に比べてさらに精神未成熟となっていること、少年鑑別所による資質鑑別や家庭裁判所調査官による調査など、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的智識を活用した調査(少年法9条)が家庭裁判所による処分決定に活かされてきたこと、その後の保護観察処分や少年院、少年刑務所における少年への矯正教育にも活かされ更生につながっていったことを述べています。18歳、19歳の少年を取り巻く社会環境を改善することなしに、少年法の改正によって、いわば上から18歳、19歳を「大人」と扱うことだけで、彼らの「大人」としての自覚が高まり、精神が成熟し、非行が減少するなどとは、考えにくいのではないでしょうか。長年の間、少年の更生に成果を上げてきた現行の少年法の保護主義の理念、科学主義に裏付けられた環境調整機能や矯正教育をさらに充実させることこそが、非行減少や少年の更生のための有効策だというべきです。
3 法務省の 「若年者に対する刑事法制の在り方に関する勉強会」が平成27年末に国民を対象に実施した意見募集においても、意見総数664件に対し、少年法の適用対象年齢の引下げに反対の意見が634件と圧倒的多数を占めました。そもそも、民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げることについても、未成年者の消費者被害からの保護の観点から慎重な検討が必要であり、当会は反対の立場を表明しました。
仮に民法の成年年齢が引き下げられたとしても、警察庁は、競馬や競輪などの公営ギャンブルや飲酒・喫煙の可能年齢は現行どおり20歳以上を維持する方向で検討していると報じられており、法律の趣旨目的に従って法律ごとの異なる成年年齢を設定しうることは明らかです。
4 以上の理由により、当会は少年法の適用年齢引下げに改めて反対する旨を表明し、法務省に対し、結論を決して急がず、現行少年法の運用に携わってきた現場関係者の声に耳を傾け、冷静な議論をなされることを要望いたします。
2017年(平成29年)10月10日
新潟県弁護士会会長 兒 玉 武 雄

民法の成年年齢引下げに反対する会長声明
第1 声明の趣旨
当会は、民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げることに反対する。
第2 声明の理由
現在、民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げることが検討されているが、当会は、以下の理由により、これに反対する。
1 未成年者取消権の喪失による消費者被害の拡大のおそれ民法の成年年齢が引き下げられた場合の大きな問題点は、18歳、19歳の若年者が未成年者取消権(民法第5条第2項)を喪失することにより消費者被害が増加するおそれがあることである。未成年者取消権は、未成年者を取引行為によるリスクから保護する制度であるとともに、未成年者に違法又は不当な契約締結を勧誘しようとする事業者に対する大きな抑止力にもなっている。また、18歳、19歳は、進学、就職等の生活環境の変化により、高額の支払いを伴う様々な契約を締結する機会が増える時期であるから、成年年齢引き下げに先立って、若年者保護のための十分な施策が必要不可欠である。具体的には、被害防止及び救済のための立法措置と消費者教育の充実が重要であるが、現時点では、これらの施策は未だ不十分な状況である。このような状況下で成年年齢が引き下げられれば、若年者の消費者被害が拡大することが大いに懸念される。
2 他の法律、制度への影響
民法の成年年齢の引下げは、他の法律、制度に影響を及ぼす可能性がある。例えば、労働基準法第58条第2項は未成年者に不利な労働契約の解除を定めているが、成年年齢の引下げにより保護される者の範囲が狭められてしまうことになるなど未成年者を保護するべく定められた他の各法律に影響を与えることが懸念される。また、養育費の支払終期が事実上18歳まで早められるおそれもある。
3 結論
上記の通り、民法の成年年齢引下げについては、様々な問題があるにも関わらず、これに対する十分な議論や施策がなされていない現時点において、民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げることに反対する。
2017年(平成29年)9月26日
新潟県弁護士会会長 兒 玉 武 雄

いわゆる共謀罪の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案に反対する会長声明
政府は、本年3月21日、いわゆる共謀罪の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案 (以下「本法案」という。)を通常国会に提出し、5月23日、本法案は衆議院本 会議で可決されました。
しかし、本法案には以下のとおり重大な問題があります。
第一に、処罰範囲が不当に広がる危険があることです。
本法案における共謀罪は、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」の活動として、一定の犯罪に当たる行為の遂行を「二人以上で計画した者」は、その計画に基づく「準備行為」が行われたときに処罰される、というものです(本法案6条の
2)。
わが国の刑法は既遂処罰を原則としています。例外的に未遂や予備を処罰する場 合は、犯罪の実行行為への着手や、それ自体に危険性のある予備行為を必要として います。
これに対し、本法案における「準備行為」は、資金又は物品の手配、関係場所の下見「その他の」「準備行為」とされており、何らの限定もありません。これは、 処罰の対象行為を法律で明確に定めることで、国民にそれ以外の行動をする自由を保障する罪刑法定主義(憲法31条)に反します。また、日常的な行為との区別も つかず、それ自体に危険性もない「準備行為」が行われたとして処罰することは、 内心で「計画」したことをもって処罰することにつながりかねず、思想良心の自由を保障した憲法19条に反する疑いがあります。「組織的犯罪集団」、「計画」にも法文上に十分な限定はありません。政府も、元々は正当な活動をしていた市民団体も性質が一変すれば「組織的犯罪集団」に当たりうる、「計画」は電話、メール、SNSなどでも成立しうると説明し、一般市民も共謀罪による処罰の対象になりえます。
本法案の共謀罪の対象犯罪数も277と膨大です。重大犯罪に限られているわけでもありません。
このように本法案は、処罰範囲が不明確であることから、これが成立すれば、国 民が捜査や処罰の対象になることを恐れて、本来は適法であるはずの行動をためら うことも予想され、集会、結社、言論その他表現の自由(憲法21条)などの人権 保障に萎縮効果を及ぼしかねません。
第二に、捜査機関による恣意的な解釈・運用の危険、監視社会化の懸念があることです。捜査機関が本法案の共謀罪を摘発するためには、まずは捜査機関が「組織的犯罪 集団」と認めた団体や構成員を捜査の対象とし、「計画」や「準備行為」を把握するために、電話やメール、SNSでのやりとりなどを日常的に監視する手段として通信傍受や司法取引を利用するおそれがあり、監視社会化が進む懸念があります。「組織的犯罪集団」、「計画」、「準備行為」について法文上十分な限定がない ため、捜査機関の恣意的な解釈・運用により、一般市民が不当に捜査の対象とされ てしまうことがありえます。
第三に、テロ対策のための法案であるとの政府の説明に多大な疑問があることです。そもそも本法案に「テロリズム」の定義はありません。277の対象犯罪にはテロとは一見して無関係な犯罪も数多く含まれています。
政府が批准するために本法案の成立が必要だと説明している国際組織犯罪防止条約(TOC条約、パレルモ条約とも称されます。)は、国際マフィアの資金洗浄対 策の条約であり、テロ対策の条約ではありません。また、共謀罪を創設しなくても、現行の国内法の基本原則に従いつつ同条約を批准することは可能です。わが国は、既に、テロ対策については、関連の主要な13の国際条約を批准し、それに対応する国内法の整備も行っています。
したがって、テロ対策のために新たに本法案が必要とは考えられず、政府の説明には多大な疑問があります。このように重大な問題があるにもかかわらず、政府は本法案の今通常国会中の成立を目指すとしています。
当会は、本年3月15日付をもって「『テロ等準備罪』法案の国会提出に反対す る会長声明」を発したところですが、慎重審議を求める多くの国民の声に反し衆議 院での採決が強行されたことに抗議し、改めて本法案の成立に反対する旨を表明いたします。
2017年(平成29年)5月30日
新潟県弁護士会長 兒 玉 武 雄

人権救済申立に関する結果について(新潟刑務所宛)
当会は別紙の通り勧告書を平成29年3月29日付で新潟刑務所宛に執行しました。
第1 勧告の趣旨
貴所が、申立人を、平成27年9月18日から平成28年2月23日まで、終日、監視カメラが備え付けられている居室(以下、 「監視カメラ付き居室」という。 )に収容したことは、同人のプライバシー権を違法に侵害する措置である。
被収容者を、終日、監視カメラ付き居室に収容することは、被収容者のプライバシー権を著しく制限するものであるから、監視カメラ付き居室への収容は、被収容者が自殺・自傷行為に及ぶおそれが高い場合やその他これに準ずる事由が認められ、かつ、かかる危険を回避するためには、カメラによる常時の監視が必要不可欠な場合に限られるべきである。また、かかる必要性があることを前提に監視カメラ付き居室への収容を開始した場合であっても、その後に、収容の必要性が解消されたときには、監視カメラ付き居室への収容を速やかに中止すべきである。
今後は、監視カメラ付き居室への収容及びその継続の許否については、上記の観点から慎重に判断するよう勧告する。

「テロ等準備罪」法案の国会提出に反対する会長声明
当会は,政府が,本年3月中に国会に提出すると報じられている「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法等の改正案(以下「本法案」といいます。)について,以 下の理由から,強く反対します。
1 処罰範囲が不当に広がる危険があること
(1) 政府は,テロ等準備罪の対象を,「組織的犯罪集団」による犯罪の「計画」と「準備行為」を要件として処罰範囲を限定すると説明しています。
しかし,政府は,正当な目的で活動していた集団が犯罪目的に変われば,その段階から「組織的犯罪集団」として処罰対象になりうると答弁していますので,それまで合法的であった一般市民団体の活動が,突然,処罰対象となる可能性があります。
そして,外見上,日常生活上の活動と区別のつかない「準備行為」を対象としており,これに内心的な「計画」を加えても,どれだけ対象行為を限定することが可能となるか疑問です。また,「組織的犯罪集団」「計画」「準備行為」の内容は限定されていませんので,その判断は,捜査機関の恣意的な解釈・運用に委ねられることになってしまい濫用的運用となるおそれもあります。
(2) 処罰範囲が拡大するという批判に対し,政府は,テロ等準備罪の対象犯罪を677から277に減らすと報じられましたが,それでも膨大な数の犯罪が新設されることに変わりはなく,また,上記の根本的な問題点が解消されるものでもありません。
2 国民が監視等される危険が大きいこと
テロ等準備罪が新設されれば,捜査機関は,同罪を摘発するため,犯罪の「計画」や「準備行為」を把握するべく,多くの団体及びその構成員を日常的に監視する手段として,通信傍受や司法取引を利用することが予想されます。そのため,テロ等準備罪の新設により,捜査機関から監視され,ひいては国民どうしが密告し合う社会につながりかねないという懸念があります。
3 テロ等準備罪がなくてもテロ対策や条約締結が可能であること
(1) 政府は,テロ対策や国際組織犯罪防止条約(以下「本条約」といいます。)の締結のために,本法案の成立が必要であると説明しています。
しかし,わが国の刑事法制は,予備・陰謀を含む多くの犯罪が広く法定され,これらによる処罰が可能です。これら既存の国内法の適用及び本条約の一部留保により,テロ対策や本条約締結は可能であり,テロ等準備罪をあえて新設する必要が分かりません。
(2) なお,国家間の情報提供については,個別に検討し外交交渉により実現すべきことで,一般的なテロ等準備罪の新設の必要性とは別問題です。
4 テロ行為等から国民の生命や財産を守るべきことは当然のことですが,以上の理由により,当会は,現在検討されている「テロ等準備罪」の新設を内容とする本法案には慎重であるべきとの立場から,国会提出には強く反対するものです。
2017年(平成29年)3月15日
新潟県弁護士会会長 菊 池 弘 之

69回目の憲法記念日に寄せる談話
関東弁護士会連合会及び当連合会管内の13弁護士会の会長は、憲法記念日に寄せて、以下のとおり談話を発表する。
1947年(昭和22年)5月3日に施行された日本国憲法は、今年、69回目の憲法記念日を迎えた。日本国憲法は、わが国が平和的に繁栄し、国際社会から高い信頼を得るのに重要な役割を果たしてきた。しかし、今、日本国憲法は、大きな試練にさらされている。
昨年9月19日、平和安全法制整備法及び国際平和支援法(いわゆる「安全保障関連法」)が成立し、本年3月29日から施行された。安全保障関連法は、歴代内閣が憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使を容認している。そもそも、安全保障関連法の審議に先立ち、閣議決定により憲法第9条の解釈を変更し、国会においても、十分な審議を尽くすことのないまま、多くの国民が反対する中で、極めて拙速にこの法律を成立させたことは、立憲主義に反するものである。
立憲主義は、人類が多くの過ちを繰り返し、苦難の歴史を経た結果、権力を制限し、国民の権利・自由を擁護することを目的として確立した近代憲法の基本理念である。憲法は、国家権力のあり方を規定するものであり、そのあり方を決めるのは、主権者である私たち国民である。私たちは、歴史を知り、わが国を取り巻く情勢を正確な情報に基づき冷静に分析し、そして、どのような国を目指すのかを深く考えなければならない。憲法に何を託すのか、問われているのは、私たち自身である。本日の憲法記念日を、憲法の意義について改めて認識するとともに、これからの国のあり方を考える機会としたい。
先の大戦により、わが国は、国民が存亡の危機に陥った。国土は焦土と化し、310万人を超える国民が犠牲になった。世界的に見ても甚大な犠牲が伴った。このような戦争の生々しい傷跡が残る中で制定された日本国憲法は、「日本国民は、・・われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と宣言した(憲法前文)。戦後、70余年を経て、戦争を経験した世代は、少なくなり、またわが国を取り巻く国際情勢も変化しているが、私たち国民は、憲法に込められたこの崇高な理想を心に刻む必要がある。
また、憲法が施行された翌々年(1949年(昭和24年))に制定された弁護士法は、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」と規定し(第1条第1項)、「弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。」と規定している(同条第2項)。私たち弁護士は、この使命を改めて自覚し、その職責を果たすため、誠実に努力するとともに、戦争が、国民の尊い命を危険にさらし、その生存を脅かすものであり、最大の人権侵害であることを常に意識して、人権擁護活動をしなければならない。
以上の次第であるので、関東弁護士会連合会及び当連合会管内の13弁護士会の会長は、安全保障関連法の運用・適用に反対し、その廃止を強く求めるとともに、弁護士の使命を果たすため、これからも日本国憲法の基本理念を堅持し、戦争のない平和な社会を守るための取組に全力を尽くす所存である。
2016年(平成28年)5月3日
関東弁護士会連合会理事長 江藤 洋一
小林 元治(東京弁護士会会長)
小田 修司(第一東京弁護士会会長)
早稲田祐美子(第二東京弁護士会会長)
三浦  修(神奈川県弁護士会会長)
福地 輝久(埼玉弁護士会会長)
山村 清治(千葉県弁護士会会長)
山形  学(茨城県弁護士会会長)
室井 淳男(栃木県弁護士会会長)
小此木 清(群馬弁護士会会長)
洞江  秀(静岡県弁護士会会長)
松本 成輔(山梨県弁護士会会長)
柳澤 修嗣(長野県弁護士会会長)
菊池 弘之(新潟県弁護士会会長)

※ 関東弁護士会連合会は、東京高等裁判所管内にある13の弁護士会の連合組織です。

災害対策を理由とする国家緊急権の創設に反対する理事長声明
1 現在、憲法改正をめぐり、国家緊急権(戦争・内乱・大規模自然災害などの緊急事態の際、政府が平時の統治機構では対処できないと判断した場合に、憲法秩序を一時停止して非常措置を行う権限)を具体化した緊急事態条項の創設が議論の対象とされている状況にある。緊急事態条項が必要な理由として、東日本大震災後の対応に不十分な点があった、あるいは国会議員の任期満了時に災害が生じた際、立法府が機能しないなどの点が指摘されているところである。
当連合会は、新潟県中越大震災、新潟県中越沖地震、そして東日本大震災と、継続的に被災者支援活動に取り組み、また、平時からの災害対策にも取り組んできたところである。そのような経験からすれば、災害対策を理由とする国家緊急権の創設は有害無益である。そして、それだけでなく、立憲主義を破壊し、基本的人権の憲法上の保障を危うくするものであることは明らかであるので、ここに強く反対を表明する。
2 まず、そもそも諸外国に見られる程度の「国家緊急権」の内容は、災害大国ともいうべき、我が国の現行憲法下にある災害関連法制によって、十分に整備されている。すなわち、国家緊急権は一時的にせよ憲法秩序を停止し、行政府への強度の権限集中と人権制約を伴うものであることから、行政府による濫用の危険性が極めて高い。これまでの歴史を振り返ってみても、非常事態の宣言が正当化されないような場合であっても 非常事態が宣言されたり、戦争その他の非常事態が去った後も速やかに憲法秩序を回復させることなく人権侵害がなされたりしてきた例は枚挙にいとまがない。現行憲法は、制定時の議論において歴史に学び、憲法に緊急事態条項を敢えて設けず、非常事態に対しては、現行憲法秩序を維持したまま、厳格な要件を課した上で法律により対処することにしているのである。
また、災害対策ないしは災害復興の場面において最も重要なことは、「事前に準備していないことはできない」ということである。そして、事前の準備としては、災害対策基本法に基づく防災基本計画があり、これに基づき、大規模災害時には現行憲法下における災害対策基本法、自衛隊法、警察法などの各種法規を活用することで十分に対処できる。東日本大震災の際に、国において対応が不十分であったとすれば、その原因はもっぱら事前の準備不足か、既にある法律の活用を十分できなかった点にあり、自治体において対応が不十分であったとすれば、それは必要な対策に関する国からの権限委譲が不十分だったからに他ならず、憲法に緊急事態条項がなかったからなどという理由によるものではない。特に、自然災害と原発事故が併発する等、複合災害時における指揮命令系統については、現在でも法制度が未整備の部分があり、災害時に混乱の生じないよう、地方への適切な権限移譲、適切な役割分担が急務である。
他方、憲法に緊急事態条項ができることで事後対応が可能であることが強調され、その結果として災害対策上の事前準備が軽視されてしまうことが容易に想定されるが、それは必要な災害対策を後退させるものであり有害そのものである。
さらに、国会議員の任期満了時の問題点が指摘されているが、そもそも衆議院議員において任期満了となったことは現行憲法下の70年間において1度しかなく、任期満了時に大災害があった場合に選挙ができないなどという立法事実は全く存在しない。また、衆議院が解散、かつ参議院の任期満了が重なった場合であっても、現行憲法は、参議院の過半数は改選されずにいることから、緊急集会による対応が可能であって、立法府が不存在になるとの事態は生じ得ない。
3 このように、緊急事態条項の憲法上の創設には立法事実が到底認められない。一方、これまでの歴史に鑑みれば、緊急事態条項の創設は立憲主義を破壊し、憲法が国民に保障する基本的人権を蹂躙する可能性を帯びているものというほかない。これまで、当連合会管内の10の弁護士会が緊急事態条項の憲法上の創設に反対する会長声明等を発出しているところ、東日本大震災から5年が経過し、また昨今の憲法改正を巡る議論状況に触れ、当連合会としても、ここであらためて、災害対策を理由とする国家緊急権の創設に強く反対するものである。
2016(平成28)年3月23日
関東弁護士会連合会理事長 藤田 善六
横浜弁護士会会長  竹森 裕子
埼玉弁護士会会長 石河 秀夫
千葉県弁護士会会長 山本 宏行
茨城県弁護士会会長 木島千華夫
栃木県弁護士会会長 若狭 昌稔
群馬弁護士会会長 橋爪  健
静岡県弁護士会会長 大石 康智
山梨県弁護士会会長 關本 喜文
長野県弁護士会会長 髙橋 聖明
新潟県弁護士会会長 平  哲也