2299 ら特集鳥取弁護士会②

憲法違反の安保法案の衆議院強行採決に抗議し廃案を求める鳥取県弁護士会歴代会長声明
安倍内閣は、昨年7月1日、これまでの確立した憲法解釈を変更して集団的自衛権行使を容認する閣議決定をし、本年5月15日に国会提出された集団的自衛権行使容認を含む「安全保障関連法案(安保法案)」は、7月16日、衆議院において与党単独で強行採決された。わたしたちは、憲法違反の同法案の強行採決に強く抗議し、断固廃案を求めるものである。
 集団的自衛権行使とは、日本が直接攻撃されていないにもかかわらず、他国間の戦争に日本の自衛隊が軍事的に加わることである。
 しかし、このような行為は、憲法前文で平和的生存権を確認し、憲法9条で、戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認を規定して、徹底した恒久平和主義を採用している日本国憲法に明確に違反する。
 日本政府はこれまで一貫して、「日本が直接攻撃されていないにもかかわらず、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を実力で阻止する集団的自衛権の行使は、憲法9条の下において許容される我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまる自衛権の行使を超えるもので、憲法上許されない」(1981年5月29日の衆議院における政府答弁)との憲法解釈を堅持してきた。
 そもそも憲法は、国家権力の濫用を防止し国民の自由と権利を保障するために国家権力の権限行使を制限するという立憲主義に基づいており、これを全うさせるため、国民主権を規定し(前文、第1条)、憲法改正についてその最終的決定権者を国民と定めている(第96条)。
ところが、安倍内閣は、集団的自衛権行使を、憲法改正手続を経るどころか、閣議決定と立法措置により実現させようとしている。
このような行為は、立憲主義を正面から否定する憲法破壊行為であり、絶対に容認することはできない。
ここに、わたしたち鳥取県弁護士会の歴代会長(生存歴代会長の内1名を除く全員)は、「基本的人権を擁護し社会正義の実現を使命とする弁護士」(弁護士法1条)として、強行採決に強く抗議するとともに、立憲主義を堅持し、平和を希求する憲法の基本原理を固守するため、安保法案に断固反対し、その廃案を求めることを表明する。
2015(平成27)年7月21日
鳥取県弁護士会歴代会長
藤原和男 松本光寿 田村康明 川中修一 高橋敬幸 安田寿朗 太田正志 寺垣琢生 河本充弘 西村正男 大田原俊輔 松本啓介 松本美惠子 杉山尊生 佐野泰弘 足立珠希

安全保障法制に関する法案に強く反対する会長声明
1 当会は、2013年(平成25年)11月1日の「集団的自衛権行使の容認及び国家安全保障基本法案の国会提出に反対する会長声明」及び2014年(平成26年)5月2日の「解釈改憲によって集団的自衛権行使を可能とする政府方針に改めて抗議する会長声明」等により集団的自衛権行使を容認する政府の動きに一貫して反対する意思を表明している。ところが、政府は、2014年(平成26年)7月1日、集団的自衛権行使を容認する閣議決定をし、本年5月15日、同閣議決定を具体化する自衛隊法、周辺事態法、武力攻撃事態対処法等10の法律の改正案及び新規立法である国際平和支援法案(以下併せて「本法案」という。)を国会に提出した。本法案は、日本国憲法(以下、「憲法」という。)における恒久平和主義及び憲法が立脚する立憲主義との関係で、大きな問題を孕んでいる。
2⑴ 本法案は、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」(存立危機事態)においても武力行使ができるようにする、いわゆる集団的自衛権行使を容認する法案である。集団的自衛権行使の容認は、憲法が定めている恒久平和主義、平和的生存権(前文)及び戦争の放棄(第9条)を蔑ろにするものであり、到底許容することができない。本年6月4日、憲法を専門とする有識者3人を招いて行われた衆院参考人質疑においても、与党推薦の参考人を含む全員が集団的自衛権行使の容認を柱とする本法案について憲法違反との認識を表明している。与党推薦の参考人からも指摘されていることから明らかなように、本法案の内容は憲法に違反する。
⑵ また、本法案で新たに自衛隊の海外派遣の恒久法として制定される国際平和支援法は、従来、国際連合決議などに基づいて他国軍隊が行っている軍事行動に対する支援を自衛隊が行う場合は、特別措置法としてその都度に国会審議を行なったうえで、特定の事態・地域に限定しかつ「後方地域」でのみ行ない得るとしていたものを、事態や地域による限定を撤廃し、「後方地域」に限らず支援活動を行うことを可能とするものである。これは、従来の法制度以上に米軍その他の外国軍隊の武力行使との一体化に接近するものであり、憲法第9条が禁止する武力の行使そのものとなるおそれが極めて強いものである。
⑶ また、従来は、自衛隊がPKO等に従事している際の武器使用について、自己及びその管理下に入った者の生命・身体を守るためのみに認められていたが、本法案は、それに加えて、「駆け付け警護」や地域住民の防護等を行う「安全確保活動」を遂行するための武器使用を可能とするものである。本法案によって許容される海外での自衛隊の活動内容は、活動時期・活動地域・活動内容及び武器使用に対する制約が従来より大幅に緩和されることになるが、これは、憲法の定める恒久平和主義に反し、違憲である。
3 以上のように、集団的自衛権の行使容認を柱とする本法案は、憲法の定める恒久平和主義等を蔑ろにするもので、憲法に反するものである。集団的自衛権を行使するのであれば、本来的に憲法改正手続きを経る必要がある。そもそも憲法は、国家権力の濫用を防止し、国民の自由と権利を保障するために、国家権力の権限行使を制限するという立憲主義に基づいており、これを全うさせるため、国民主権を規定し(前文、第1条)、憲法改正について、その最終的決定権者を国民と定めている(第96条)のである。ところが、政府は、集団的自衛権の行使につき、憲法改正手続を経ることなく、閣議決定及びこれを具体化する立法措置により実現させようとしている。このような政府の姿勢は、憲法により国家権力の権限行使を制限するという立憲主義を正面から否定する憲法破壊行為であり、絶対に許容することはできない。
1 よって、当会は、立憲主義を堅持し、平和を希求する憲法の基本原理を固守するため、政府が提出した安全保障法制等の法案に対し強く反対する。
2015年(平成27年)6月10日 
鳥取県弁護士会  会長 足立 珠希

鳥取県弁護士会
ttp://toriben.jp/
共謀罪の新設に反対する会長声明
1 過去3度廃案になった共謀罪法案が、今秋の臨時国会に提出される方針との報道がされるなど、近時再提出に向けた情勢が見られる。当会は、2005年10月31日、共謀罪は、刑法の人権保障機能に反することを指摘し、これに反対する会長声明を表明したが、この近時の情勢に鑑み、改めて共謀罪の新設に反対する。
2 過去に廃案となった共謀罪は、団体の活動として当該行為を実行するための組織により行われる犯罪の遂行を共謀した場合、すなわち団体の活動として2人以上の者が犯罪を行うことを合意した場合に、2年以下ないし5年以下の懲役・禁錮を科すというものであった。すなわち、共謀罪は、これまでの刑法が各犯罪について定めている実行行為も予備行為も不要とされ、合意のみで犯罪が成立するというものである。しかも、共謀罪の対象は長期4年以上の刑を定める罪とされ、その対象とする犯罪は窃盗や傷害を含め600以上にわたる。
3 近代刑法は、行為がなければ処罰しないとすることで内心の意思・思想を当初から犯罪概念の外に置くという基本原則を置き、市民の人権侵害に歯止めをかけているが、共謀罪はこの基本原則に抵触し相容れない。一旦共謀が成立すれば、犯罪を思いとどまっても共謀罪は成立するのである。そもそも、共謀は、「黙示の共謀」(暗に犯罪を示し合わせる)を含むとされ、何をどの程度合意すれば成立するのか不明確で、広汎に拡大解釈される危険性のある概念である。共謀罪は、現実の実行行為が無くても犯罪が成立するために、拡大解釈される危険性がより高い。例えば、組織に属する人間が、犯罪の謀議の場に居合わせて傍観していただけでも、場合によっては共謀罪の疑いを生じかねない。そして、過去に廃案となった共謀罪法案における「団体」は、暴力団その他犯罪の実行を目的とするものに限定されず、市民団体や労働組合も「団体」に含まれ、共謀罪の制定がその活動を規制し不当に萎縮させる危険がある。この場合、私的領域に国家が介入し、市民の自由な意思疎通を阻害し、ひいては、憲法が保障する思想・良心の自由、表現の自由、集会・結社の自由など基本的人権に対する重大な脅威となりかねない。この危険が国会で議論され、市民の間で反対意見が広がったことから、3度目の廃案の前には、「組織的な犯罪集団の活動」に対象を限定する修正案が与党から出された。これ自体、過去に3回国会に提出された政府提出法案に欠陥があり、共謀罪の不明確性、広汎性の危険性を示すものである。そして、この修正案を前提としても、共謀のみで犯罪を成立させる共謀罪が、拡大解釈の危険を持ち、不当な逮捕の危険等によって、国民の内心の自由や人身の自由という憲法上の人権を侵害する危険性を持つことに変わりはない。
3 そして、共謀の成立は個人の内心の意思に関わり、現実の犯罪結果や犯罪行為から証拠を積み上げられないために、共謀罪の捜査においては、「共謀」を立証するため、市民の日常会話やメールについて広範囲の通信傍受や会話傍受、最終的には監視カメラによる会話の監視をする必要が生じることとなる。その結果、共謀罪捜査は、いわゆるコンピュータ監視法やサイバー犯罪条約等に基づく通信の監視と相まって、捜査機関が国民のプライバシーを容易に侵害し得る監視社会をもたらす危険性がある。
4 以上のとおり、共謀罪は、憲法上保障された基本的人権を侵害する危険が高く、近代刑法の基本原則に反する極めて問題の多いものである。
よって、当会は共謀罪の新設に断固として反対であることを重ねて表明する。以上
2015年(平成27年)3月30日
鳥取県弁護士会会長 佐 野 泰 弘

通信傍受法の対象犯罪拡大に反対する18弁護士会会長共同声明
埼玉弁護士会  会長 大倉  浩
千葉県弁護士会 会長 蒲田 孝代
栃木県弁護士会 会長 田中  真
静岡県弁護士会 会長 小長谷 保
兵庫県弁護士会 会長 武本夕香子
滋賀弁護士会  会長 近藤 公人
岐阜県弁護士会 会長 仲松 正人
金沢弁護士会  会長 飯森 和彦
岡山弁護士会  会長 佐々木浩史
鳥取県弁護士会 会長 佐野 泰弘
熊本県弁護士会 会長 内田 光也
沖縄弁護士会  会長 島袋 秀勝
仙台弁護士会  会長 齋藤 拓生
福島県弁護士会 会長 笠間 善裕
山形県弁護士会 会長 峯田 典明
岩手弁護士会  会長 桝田 裕之
青森県弁護士会 会長 源新  明
愛媛弁護士会  会長 田口 光伸
2014(平成26)年9月18日,法制審議会は,「新たな刑事司法制度の構築についての調査審議の結果」を採択し,法務大臣に答申した(以下,本答申という)が,その内容として,従来,通信傍受法の対象犯罪が暴力団関連犯罪の①銃器犯罪,②薬物犯罪,③集団密航,④組織的殺人の4類型に限定されていたものを,傷害,詐欺,恐喝,窃盗などを含む一般犯罪にまで大幅に拡大することを提言している。また,これまで市民のプライバシーを侵害する危険のある通信傍受法が抑制的に運用される歯止めとなっていた通信事業者の常時立会制度も撤廃されることとされる。
 このたび本答申に基づく通信傍受法の改正法案が国会に上程されたが,私たちは,以下の理由から,本答申に基づく通信傍受法の改正に反対するとともに,国会における審議においても,慎重な審議がなされることを求めるものである。
 重大な犯罪に限定されず通信傍受法施行前に検証許可状により実施された電話傍受の適法性につき判断した最高裁判所平成11年12月16日第三小法廷決定は,「重大な犯罪に係る被疑事件」であることを電話傍受の適法性の要素としていたが,詐欺,恐喝,窃盗については,いずれも財産犯であり,必ずしも「重大な犯罪」とはいいがたい。
 詐欺罪にも様々な詐欺がありうるのであって,組織的な詐欺グループである振り込め詐欺以外にも広く通信傍受が実施されるおそれがあり,漫然と詐欺罪を対象犯罪とすることは許されない。振り込め詐欺や窃盗団等を想定するのであれば,実体法として,それらを捕捉し得る新たな構成要件を創設した上で対象犯罪にするべきである。しかも,組織犯罪処罰法には組織的詐欺罪(同法3条13号)や組織的恐喝罪(同14号)が規定されているのであるから,それを対象犯罪に追加することで対象犯罪を必要最小限度に限定することも可能である。
 また,本答申の基礎とされた「新時代の刑事司法制度特別部会」がまとめた「時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想」は,「通信傍受は,犯罪を解明するに当たっての極めて有効な手法となり得ることから,対象犯罪を拡大して,振り込め詐欺や組織窃盗など,通信傍受の必要性・有用性が高い犯罪をも含むものとすることについて,具体的な検討を行う」としている。
 これは,前記最高裁決定が指摘する犯罪の「重大性」を前提とせず,対象犯罪拡大を検討したものであるが,捜査機関にとっての「必要性」「有用性」を基準とすれば,その拡大には歯止めがない結果となる。日本弁護士連合会が反対している共謀罪や特定秘密保護法違反などにも,捜査機関にとって犯罪の共謀を立証するのに「必要かつ有用」として,通信傍受の適用の拡大が企図される危険も大きい。
 常時立会制度の撤廃は捜査権の濫用を招く
通信傍受法が定める通信事業者による常時立会は,傍受記録の改ざんの防止と通信傍受の濫用的な実施を防止するという2つの機能を果たしていた。傍受対象通信を通信事業者等の施設において暗号化した上で送信し,これを捜査機関の施設において自動記録等の機能を有する専用装置で受信して復号化することにより,傍受を実施するという答申が提言する技術的措置は,通信傍受記録の改ざんの防止という点は確保できるかもしれないが,無関係通信の傍受など通信傍受の濫用的な実施を防止するという点が確保されるとは考えられない。
 従来の通信傍受法の運用において,この常時立会という手続があることで,「他の方法によっては,犯人を特定し,又は犯行の状況若しくは内容を明らかにすることが著しく困難であるとき」という補充性の要件が実務的に担保されてきたものである。しかし,答申のような手続の合理化・効率化がなされれば,捜査機関は令状さえ取得すれば簡単に傍受が可能となるので,安易に傍受捜査に依存することになることは必至であり,補充性要件による規制が実質的に緩和されることとなり,濫用の危険は増加する。
盗聴社会の到来を許さない
 ここで通信傍受法の対象犯罪の拡大に歯止めをかけなければ,過去再三廃案とされたにもかかわらず,未だ法案提出がなされようとしている「共謀罪」とあわせて,盗聴社会の到来を招く危険がある。捜査機関による通信傍受の拡大は,単に刑事司法の領域に止まる問題ではなく,国家による市民社会の監視につながり,市民社会そのものの存立を脅かす問題である。
よって,私たちは,本答申にもとづく通信傍受法の改正に反対するとともに,国会における審議においても,慎重な審議がなされることを求めるものである。

「特定秘密の保護に関する法律」施行に対する会長声明
本日、特定秘密の保護に関する法律(以下、「秘密保護法」という。)が施行された。
当会は、秘密保護法は国民の知る権利、報道・取材の自由等に重大な脅威を与えるものであり、国民主権を形骸化するなど憲法上の諸原理と正面から衝突するとして、これまでその施行に強く反対してきたが、現時点においてもかかる問題は何ら解消されていない。
 2014年10月14日には秘密保護法の施行令及び運用基準(特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準)が閣議決定されたが、これらの素案に対しては約1か月の間に2万3820件ものパブリックコメントが寄せられた。そこには人権侵害を憂慮する重要な指摘が多く含まれていたにもかかわらず、これらの施行令(案)及び運用基準(案)はほとんど内容を変えないまま、わずか2週間余りで内閣総理大臣に提出された。このように国民の意見を軽々に扱い、パブリックコメントを「通過儀礼」にしか見ない姿勢は国民を蔑ろにするものであり、まさに国民主権原理に反する秘密保護法の問題点とその背景を同じくするものである。
 2014年7月、国連人権(自由権)規約委員会は、日本政府に対して、秘密保護法が秘密に指定できる事項が広くて曖昧であること、秘密指定に関して一般的な条件を含んでいること、そしてジャーナリストや人権活動家の活動に深刻な影響を及ぼしうることについて懸念を表明した。
 このように国の内外から多くの強い批難を受ける秘密保護法には、その本質的部分において看過できない重大な問題があることは明らかであり、抜本的に見直すことが必要不可欠である。
 よって、当会は、国民の人権に取り返しのつかない深刻な影響を与える前に、秘密保護法を即刻廃止することを改めて強く求める。
2014年(平成26年)12月10日 
鳥取県弁護士会 会長 佐 野 泰 弘

「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」 (いわゆる「カジノ解禁推進法案」)に反対する会長声明
当会は,「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)について,反対の立場を表明し,同法案の廃案を求める。
我が国の刑法は賭博を禁じている。これは「勤労その他正当な原因に因るのでなく,単なる偶然の事情に因り財物の獲得を僥倖せんと相争うがごときは,国民をして怠惰浪費の弊風を生ぜしめ,健康で文化的な社会の基礎を成す勤労の美風(憲法27条1項参照)を害するばかりでなく,甚だしきは,暴行,脅迫,殺傷,強窃盗その他の副次的犯罪を誘発し又は国民経済の機能に重大な障害を与える恐れすらある」(最判昭和25年11月22日)からである。
 カジノ解禁推進法案は,刑法が禁じている賭博を推進するものである。刑法があえて賭博を禁じていることからすれば,賭博を推進するには賭博の弊害とその対策を慎重かつ具体的に検討しなければならない。しかるに,カジノ解禁推進法案は,カジノ解禁という結論ありきで,弊害除去に向けた対策は抽象的かつ不十分なものと言わざるを得ない。
 加えて,カジノ解禁推進法案において推進されようとしているカジノは,暴力団の新たな資金源確保の機会を与え,かつ,マネーロンダリングに利用される危険があり,また,ギャンブル依存症の拡大,多重債務問題の再燃,青少年の健全育成への悪影響等が指摘されている。有害な影響として指摘されている事項は,それ自体,官民一体となって対策に取り組むべき事項であり,また,これまでの社会全体による長期的,かつ,粘り強い取組みにより,成果を上げつつある事項である。カジノ解禁推進法案は,社会全体を挙げて取り組んできた対策と,その成果に水を差すものである。
また,カジノ解禁推進法案によれば,カジノを設置,運営する民間企業が「胴元」としての利益を取得することとなる。運営する民間企業の安易な利益追求により,カジノによる有害な影響が広がることを抑止するためにも,既存の公営ギャンブル以上に十分な対策が必要である。にもかかわらず,法案における影響排除のための措置は何ら具体的なものではない。カジノ解禁の推進については,解禁による経済効果が指摘されることがある。
 しかし,カジノ解禁による数多の弊害は,いずれも,個人の尊厳,人々の自由や権利の保障,安心,安全な生活に対する重大な障害である。人々の人格的な生存を犠牲にして経済効果を得るような経済活動は,健全な経済活動ではない。人々の幸福が確保されない社会であっては,経済効果など何の意味も持たない。経済効果のために,人々の幸福が犠牲になることは許されない。
 目先の経済効果に目を奪われた拙速な議論であっては,個人の尊厳,幸福が犠牲となる。そのような本末が転倒した議論ではなく,まずは,カジノ解禁による弊害を除去するための慎重かつ具体的な対策が立てられるべきである。
 弊害に対する的確な対策がとられておらず,また,弊害に関する十分な議論すらなされていないカジノ解禁推進法案に対して,反対の立場を表明し,同法案の廃案を求める。
2014年(平成26年)10月9日 
鳥取県弁護士会 会 長 佐 野 泰 弘

解釈改憲によって集団的自衛権行使を可能とする政府方針に改めて抗議する会長声明
当会は、2013年11月1日の「集団的自衛権行使の容認及び国家安全保障基本法案の国会提出に反対する会長声明」において、時の政府の政策によって集団的自衛権の行使が許されないとする確立した憲法解釈を変更してこれを容認することや、下位規範たる法律で憲法上の概念である自衛権の範囲を改変することについて、強く反対を表明した。
 ところが、政府は、2014年の国会審議において、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の変更を「閣議決定する方向になる」と答弁するなど、閣議決定によって憲法解釈の変更を行い、集団的自衛権の行使を容認する方針を堅持している。
 このような政府の方針は、集団的自衛権に関して1981年以来30年以上もの長期間にわたり一貫して維持されてきた「憲法第9条の下で許容される自衛権の行使は、自国の防衛のため、すなわち国民の生命、財産を防衛するために必要最小限の範囲に限られるとし、集団的自衛権の行使は、憲法が許容する自衛権行使の範囲を超えるものであって許されない」との政府見解を憲法改正の手続を経ずに改めようとするものにほかならず、憲法によって行政・立法・司法という国家権力を規制し、これにより個人の尊厳を確保する立憲主義や、憲法の基本原理たる恒久平和主義、平和的生存権及び戦争の放棄を蔑ろにするものであり、到底許容することができない。
 よって、当会は、憲法記念日を迎えるにあたり、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする弁護士の集団として、閣議決定によって憲法解釈の変更を行い、集団的自衛権の行使を容認しようとする政府の方針に改めて強く反対するとともに、政府に対し、国の最高法規である憲法を十分に尊重し擁護するように求める。
2014年(平成26年)5月2日 
鳥取県弁護士会 会長 佐野泰弘

特定秘密の保護に関する法律の成立に抗議する会長声明
本日,特定秘密の保護に関する法律(以下、「特定秘密保護法」という。)が参議院で可決し成立した。
 特定秘密保護法に対しては,野党や報道機関,市民団体などから,その成立に反対する声が強く出されるなど,広範かつ多数の批判がなされてきた。
 当会も,国民の知る権利や報道・取材の自由等を侵害する,看過できない重大な問題があることを指摘し,本法案の成立に反対し、直ちに廃案とすることを強く求めてきた。
 しかし,国会はこれらの声に耳を傾けることなく,拙速な審議を強硬に進め,特定秘密保護法を成立させることになった。
 特定秘密保護法は,健全な民主主義社会の根幹である国民の知る権利や報道・取材の自由を侵害するものであり,今後の市民生活に禍根を残すものである。
 当会は,特定秘密保護法の成立に抗議するとともに,政府及び国会が,一刻も早くこれを廃止することを強く求める。
2013年(平成25年)12月6日 
鳥取県弁護士会 会 長 杉 山 尊 生

「特定秘密の保護に関する法律案」に反対する会長声明
政府は、本年10月25日に閣議決定した特定秘密の保護に関する法律案(以下、「本法案」という。)について、本臨時国会での成立を目指している。
 当会は、民主党政権下で検討されていた秘密保全法制に対し、かかる法律の制定は国民の知る権利、報道・取材の自由等に重大な脅威を与えるものであり、憲法上の諸原理と正面から衝突するとして強く反対したが、本法案も以下のとおり同様の重大な問題がある。
 第1に、本法案が秘密として保護する「特定秘密」の範囲は、①防衛、②外交、③特定有害活動の防止、④テロリズムの防止に関する別表記載の各事項である。しかし、別表の記載が極めて抽象的であるため、「特定秘密」は広範かつ不明確である。また、「その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがある」との条件が付されているものの、かかる条件も極めて抽象的で曖昧である。そのため、行政機関の長が「特定秘密」を判断するにあたり、恣意的に濫用される危険性がある。
なお、特定秘密を5年間指定しなかった行政機関は指定資格を失うとの修正がなされるようである。
 しかし、行政機関は、「特定秘密」の指定権限を失わないように、かえって必要以上に広範な秘密指定をすることになりかねず、かかる修正は有害でさえある。
 第2に、かかる濫用の危険性にもかかわらず、本法案には指定された「特定秘密」をチェックする機関が存在しない。「特定秘密」の指定等に関する統一的な運用基準を定める際に有識者から意見を聞くこととなっているが、これはあくまで運用基準にすぎず、濫用された場合に事後的にチェックできるものではない。かかる批判を受け、個々の「特定秘密」の指定・解除について首相が指揮監督するなどの修正がなされるようである。しかし、首相は独立した監視機関たり得ず、現実的にも首相が膨大な数の「特定秘密」をチェックすることは不可能である。よって、濫用に対する有効な対策にはなりえない。
 第3に、本法案は、「特定秘密」の有効期間について5年を超えない範囲とするが、行政機関の長の判断で延長することを認めている。また延長後の指定の有効期間が30年を超えることとなるときは内閣の承認を必要とするが、実際には行政機関の長の判断を追認して内閣が承認することが予想される。そのため、有効期間の実効性は乏しく、いったん「特定秘密」とされると事実上永久的に秘密とされ、国民がこれを知り得ない状況に置かれる危険性がある。そこで、原則として指定期間を最長60年とした上で、例外的に60年以上に延長できる秘密を7項目に限定する修正がなされるようである。しかし、最長60年の秘密指定は、情報の公開時期として遅すぎる。また例外規定が「抜け道」となる危険は残る。
 第4に、本法案は秘密保護を徹底するため罰則規定を設けるが、故意の漏えいのみならず、過失による漏えい、さらに漏えい行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動することも対象としており、処罰範囲は極めて広範である。しかも、「特定秘密」の表示はかかる情報を取扱う業務従事者しか見ることができず、「特定秘密」の指定がされているかについて外部から必ずしも判断できない。そのため、報道機関やジャーナリスト等に対する萎縮効果は極めて大きく、憲法上保障される報道・取材の自由、さらには国民の知る権利に対する重大な脅威となる。
 第5に、「特定秘密」は、国会に対しても、行政機関の長が厳格な要件を充たしていると認めた場合に限り、秘密会において提供されるにすぎない。しかも、秘密会で「特定秘密」を知った国会議員が、他の国会議員や政策秘書等に提供することも刑事処罰の対象とされるため、持ち帰って相談することもできない。これでは国会議員が外交や防衛、対テロ対策問題などについて調査・検討を行い、その職責を十分に果たすことは困難である。
 以上のとおり、本法案は、国民の知る権利、報道・取材の自由等を侵害する、看過できない重大な問題がある。直近の世論調査においても,本法案に反対する意見が賛成を上回るものや,大多数が慎重な審議を求めるものがある。このような中、拙速に本法案を成立させるべきではない。
 よって、当会は、本法案の成立に反対し、直ちに廃案とすることを強く求める。
2013年(平成25年)11月25日
鳥取県弁護士会 会長 杉 山 尊 生

集団的自衛権行使の容認及び国家安全保障基本法案の国会提出に反対する会長声明
日本国憲法は、前文において、日本国民が、「恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意」(恒久平和主義)し、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認」(平和的生存権)することを掲げ、第9条において、戦争を放棄し、戦力の不保持及び交戦権を否定している。(戦争の放棄)。
 これまで、政府は、憲法は憲法第9条の下で許容される自衛権の行使は、自国の防衛のため、すなわち国民の生命、財産を防衛するために必要最小限の範囲に限られるとし、集団的自衛権(自国が直接攻撃されていない場合であっても、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃に対して実力をもって阻止する権利)の行使は、憲法が許容する自衛権行使の範囲を超えるものであって許されないとする立場をとってきた。
 しかし、自由民主党が政権与党の座に返り咲いた2012年(平成24年)12月以降、集団的自衛権の行使を容認する動きが急速に進んでいる。2013年(平成25年)1月には安倍晋三首相は「集団的自衛権行使の(憲法解釈)見直しは政権の大きな方針の一つ」と言及した。同年9月には「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)が集団的自衛権についての審議を再開し、集団的自衛権の行使を全面容認する方向での提言を検討しているとのことである。そして、現在、政府は、集団的自衛権行使の法的根拠を設けるべく「国家安全保障基本法案」を来年春の国会提出に向けて準備を進めている。集団的自衛権の行使が許されないとするのは確立した憲法解釈である。時の政府の政策によって集団的自衛権を容認することや下位規範たる法律で憲法上の概念である自衛権の範囲を改変することは、憲法が最高法規であって(第98条)、厳格な改正手続(第96条)を定め、国務大臣や国会議員が憲法尊重擁護義務(第99条)を負うことにより、国家権力を憲法の制約下に置こうとする立憲主義に真っ向から抵触するものである。そして、解釈や立法によって憲法の基本原理たる恒久平和主義、平和的生存権、及び戦争の放棄を形骸化させるものほかならない。
 よって、当会は、立憲主義を堅持し、憲法の基本原理を固守するため、政府が解釈によって集団的自衛権を容認すること、及び、国家安全保障基本法案の国会提出に強く反対する。
2013年(平成25年)11月1日 
鳥取県弁護士会 会 長 杉 山 尊 生

広告