日別アーカイブ: 2018年1月11日

2247 ら特集山形弁護士会⑤

山形県弁護士会
ttp://www.yamaben.or.jp/html/kai4.html
特定秘密保護法制定に反対する会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s013.html
1. 政府は,2013(平成25)年10月25日,特定秘密の保護に関する法律案(以下「本法案」という。)を閣議決定し,衆議院に提出した。当会は,昨年,秘密保全法制定について,その重大な問題を指摘し反対する旨の意見を表明した。本法案は,基本的に秘密保全法を踏襲するものであり,次に述べるとおり,主権者である国民の知る権利を侵害し,国政の重要な情報を隠して民主主義の根幹を揺るがすおそれがあると同時に,憲法が保障する国民の表現の自由,取材,報道の自由,プライバシーの権利などに重大な脅威を与えるものである。
2. まず,本法案では,「防衛」「外交」「特定有害活動の防止」及び「テロリズムの防止」の4分野において,行政機関の長が「その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため,特に秘匿することが必要」と判断する秘密を「特定秘密」と指定することができるとされているが,広範かつ曖昧であるため,行政機関の恣意的判断で,本来国民に開示されるべき情報が隠蔽される危険性がある。そして,本法案は,特定秘密指定の有効期間を5年と定めているが,通算して30年まで延長できるほか,さらに,内閣の承認を得れば,それ以上の延長まで可能とされているため,一度特定秘密に指定されれば,半永久的に秘匿することが可能となる。
3. また,本法案では,「適性評価制度」を導入し,特定秘密を取り扱わせようとする者に対して,その適性があるかどうかを判断するため,本人のみならず家族や同居人のプライバシー情報の調査を許容するが,政府がプライバシー情報を収集,管理,利用することになれば,国民は思想信条による差別的取扱いの危険にさらされることになる。
4. さらに,本法案では,「特定秘密」の漏えい行為を処罰対象としているが,故意犯のみならず過失犯も処罰するうえ,さらに,共謀,教唆,扇動まで広く処罰する。「特定秘密」の概念自体が曖昧であることに照らせば,処罰範囲はさらに不明確かつ広範になり,罪刑法定主義に反するおそれがある。しかも,その法定刑の上限は,既存の関係諸法令に比して重罰化している。その結果,報道機関の取材活動に対する萎縮効果は計り知れず,報道機関の取材・報道の自由を侵害するとともに,主権者である国民の知る権利をも侵害することになる。
5. 上記の罰則規定は,国会議員も処罰の対象としているが,これによれば,特定秘密を知得した国会議員が当該秘密に関して他の議員や専門家と議論することすら封殺されかねない。議会制民主主義の否定ともいうべき重大な問題である。
6. 他方,特定秘密を漏えいして起訴された場合の裁判手続では,対象となる「特定秘密」の内容が明らかにならない状態で裁判が進められ,適正な裁判を受ける権利が侵害されるおそれがある。
1. このように本法案には到底看過することのできない重大な憲法上の疑義があるので,当会は,その制定に反対し,法案が国会で可決されないよう強く求めるものである。
2013年(平成25年) 11月19日 山形県弁護士会 会長 伊藤 三之

憲法第96条の改正に反対する会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s012.html
日本国憲法第96条は,「この憲法の改正は,各議院の総議員の三分の二以上の賛成で,国会が,これを発議し,国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には,特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において,その過半数の賛成を必要とする。」と定める。ところが近時,この憲法改正発議の要件を緩和し,衆参各議院の総議員の過半数で発議できるように憲法第96条を改正しようとする政治的な動きが現れている。憲法改正の発議要件を緩和しようとする動きには,それによってまず憲法改正をやりやすくし,その後,憲法第9条や人権規定,統治機構の条文等を改正しようとする意図がある。しかしながら,そもそも憲法は,国家権力を縛り,その濫用を防止して基本的人権を守ることを目的とする国の基本法である(立憲主義)。日本国憲法が,基本的人権を「侵すことのできない永久の権利」として,現在及び将来の国民に与えられ,信託されたものと規定するとともに(憲法第11条,第97条),憲法を「最高法規」と定め,これに反する法律,命令等一切の効力を否定している(憲法第98条)のはそのためである。憲法第96条が憲法改正の要件を通常の法律に比べて格段に厳しくしているのも同じ理由からで,もしこの憲法を改正しようとすれば,まずは国民から選ばれ国民の代表たる国会議員が責任をもって改正案を熟議し,大多数の賛成のもとに国民に発議することが求められているのである。しかるに,もし憲法改正の発議要件を3分の2以上から過半数に改めるならば,この発議はきわめて容易となり,両院議員の過半数を握った時の政権与党が,立憲主義の観点からは縛りをかけられている立場にあるにもかかわらず,その縛りを解くための憲法改正案を簡単に発議することが可能となる。憲法第96条のこのような改正は,立憲主義の憲法の土台を掘り崩すものと言うべきであり,憲法による基本的人権の保障を大きな危険にさらすことになるのは明らかである。よって当会は,基本的人権の擁護を使命とする弁護士からなる団体として,憲法第96条を改正して発議要件を緩和することに強く反対し,国民に警鐘を鳴らすものである。
2013年(平成25年) 6月26日 山形県弁護士会 会長  伊藤 三之

給費制復活を含む司法修習生への経済的支援を求める会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s011.html
平成24年11月27日,第66期の司法修習が開始され,12名の司法修習生が山形に配属された。また山形修習12名の新第65期も無事司法修習を終えて法曹の仲間入りをすることとなった。司法修習生は,司法を担う法曹としての高い専門性を修得するため1年間司法修習に専念する義務を負い(裁判所法第67条第2項),兼業・兼職が禁止され,収入を得る道はない。また,司法修習生は,全国各地に配属され司法修習を行うため,現在の居住地とは異なる場所に配属され,引越費用や住居費などの出費を余儀なくされることもある。このような司法修習生の実態を踏まえ,新第64期及び現行第65期までの司法修習生に対しては,司法修習中の生活費等の必要な費用が国費から支給されていた(以下「給費制」という。)。しかし,平成23年11月から司法修習を開始した新第65期の司法修習生から,給費制は廃止され,司法修習費用を貸与する制度に移行した(以下「貸与制」という。)。日本弁護士連合会は,昨年6月,新第65期司法修習生に対し,司法修習中の生活実態を明らかにすることを目的としてアンケートを実施した。このアンケートの集計結果によれば,28.2%の司法修習生が司法修習を辞退することを考えたことがあると回答し,その理由として,86.1%が貸与制,74.8%が弁護士の「就職難」・経済的困窮を挙げた。すなわち,司法試験に合格していながら,経済的理由から法曹への道をあきらめることを検討した者が3割近くもいる実態が明らかになった。さらに,司法修習生の月平均の支出額は,住居費の負担がない場合が13万8,000円であるのに対し,住居費の負担がある場合は21万5,800円であった。司法修習の開始に伴い修習配属地への引越が必要だった司法修習生は,約6割を占め,この場合には,引越費用等で平均25万7,500円が別途必要になる。修習を終えた山形の新第65期司法修習生に対するアンケート結果においても11名が,引越費用や就職活動のための交通費等の負担での生活は大変であったと回答し,貸与制による借金を抱えての将来に対する不安を訴えている。また,修習が開始されたばかりの66期に対するアンケート結果においては,今後の修習生活費に対する不安,就職難に対する不安,将来借金返済が可能か不安に感じている者がほとんどであった。以上のとおり,新第65期司法修習生及び第66期司法修習生に対する生活実態アンケートにより,貸与制の不平等さや不合理さが改めて明確になった。司法修習生の多くは大学及び法科大学院の奨学金等の返済義務を負担しており,更に貸与制による借金が加算されることになる。こうした経済的負担の重さや昨今のいわゆる「就職難」が法曹志願者を減少させ,有為で多様な人材が法曹の道を断念する一因となっている。このような将来に対する不安を抱えながらの司法修習は,司法修習制度の目的実現にとって悪い影響となることは否定できない。そして,日本弁護士連合会の推計によると,司法研修所を卒業した新65期のうち,弁護士として活動するために必要な弁護士会への登録を行わなかったものがおよそ540人と過去最多になったということである。これは貸与制も含めた負担の増大と就職難が大きな理由と考えられる。昨年7月27日に成立した裁判所法の一部を改正する法律によれば,「司法修習生に対する適切な経済的支援を行う観点から,法曹の養成における司法修習生の修習の位置付けを踏まえつつ,検討が行われるべき」ことが確認された。これを受けて,同年8月21日の閣議決定により法曹養成制度検討会議が設置され,現在検討が進められている。当会は,上記アンケートの実態を踏まえ,有為で多様な人材が経済的事情から法曹の道を断念することがないよう,早急に給費制復活を含む司法修習生に対する適切な経済的支援を求めるとともに,新第65期及び第66期の司法修習生に対しても遡及的に適切な措置が採られることを求めるものである。
2013年(平成25年) 2月14日 山形県弁護士会会長 村山 永

司法修習貸与制施行延期に関する「裁判所法の一部を改正する法律」成立にあたっての会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s009.html
2010年(平成22年)11月26日に,さらに1年間,司法修習生に対する貸与制の施行を延期する法律が国会で可決され成立いたしました。 これにより,同月27日から司法修習が開始される新第64期司法修習生に対して,従前の制度と同様の修習費用の給費が実施されることとなりました。今回の法改正の趣旨は,昨今の法曹志望者が置かれている厳しい経済状況にかんがみ,それらの者が経済的理由から法曹になることを断念することがないよう,給費制が継続される1年間のあいだに,法曹養成制度に対する財政支援の在り方について政府及び最高裁判所の責務として見直しを行うこととされております。また,附帯決議の2項では「法曹の養成に関する制度の在り方全体について速やかに検討を加え,その結果に基づいて順次必要な措置を講ずること」を求めています。このような改正法の内容は,給費制の完全な復活とはならなかったものの,「司法制度改革審議会意見書」(2001年(平成13年)6月12日)に基づき,この間取り組まれてきた司法改革を「第一次司法改革」と位置づけ,これをさらに検証・発展させ,市民目線で「第二次司法改革」に取り組んでいる日本弁護士連合会,そして山形県弁護士会の方針に一致いたします。困難な国会状況のなかで改正法の成立に並々ならぬ御尽力をいただいた各政党・国会議員の方々,最高裁判所,法務省の皆さん,この法改正のための活動に御協力いただいた市民団体,消費者団体や労働団体による「司法修習生の給与の支給継続を求める市民連絡会」や法科大学院生,司法修習生,新人若手弁護士らによる「ビギナーズ・ネット」に心から感謝いたします。今回の法改正の過程では,国会や政府,報道関係者の一部から「すべての法曹が公共的な職務を遂行しているといえるのか」「経済的に困難な者に対する支援はもっともだが,経済的に裕福な者に対してまで給費する必要性があるのか」といった問いかけを受けました。日本弁護士連合会,そして山形県弁護士会は,これまで以上に弁護士の公共的使命を自覚し,人権擁護,法律扶助制度の拡充や過疎偏在対策などに取り組んでいきます。日本弁護士連合会は,これまでにも,「新しい法曹養成制度の改善方策に関する提言」(2009年(平成21年)1月16日),「市民の司法を実現するため,司法修習生に対する給費制維持と法科大学院生に対する経済的支援を求める決議」(2010年(平成22年)5月28日)などの提言を行ってきましたが,この法改正を受けて,山形県弁護士会でも給費制の維持を含む法曹志望者に対する経済的支援の在り方を再検討するとともに,法科大学院を中核とする新しい法曹養成制度の理念をふまえつつ,法曹養成制度全体の見直しについて積極的に取り組んでまいりたいと考えます。
2011年(平成23年)1月25日 山形県弁護士会 会長 高橋健

全面的な国選付添人制度を求める会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s008.html
 1.弁護士付添人は,少年審判において,非行事実の認定や保護処分の必要性の判断が適正に行われるよう,少年の立場から手続に関与し,家庭や学校・職場等少年を取りまく環境の調整を行い,少年の立ち直りを支援する活動を行っている。少年審判において,心身ともに未熟な少年を受容・理解したうえで,少年に対して法的・社会的な援助をし,少年の成長・発達を支援する弁護士付添人の存在は,少年の更生にとって極めて重要である。
2.子どもの権利条約第37条は,「自由を奪われた全ての児童は,弁護人と接触する権利を有する」と規定し,身柄拘束を受けた少年には,弁護士と接触する権利が保障されなければならない,としている。又,少年鑑別所に収容された少年は,少年院送致や児童自立支援施設送致等の重大な処分を受ける可能性が高い。しかし,現実には多くの少年や保護者には,弁護士付添人を選任するための費用負担の資力がなく,又,保護者が少年のためにこれらの費用を負担することに消極的な場合が多い状況がある。
3.非行を犯したとして家庭裁判所の審判に付された少年は,2008年で年間54,054人であり,そのうち観護措置決定により身体拘束された少年は11,519人に上るのに対し,弁護士である付添人が選任されたのは4,604人であり,身体を拘束された事件のうち,40パーセントに過ぎない。
4.日本弁護士連合会は,少年が希望すれば無料で弁護士が面会する当番付添人制度を全国で実施するとともに,すべての会員から特別会費を徴収して少年・刑事財政基金を設置し,これを財源として弁護士費用を援助する少年保護事件付添援助制度を拡充してきた。 当会においても,当番付添人制度を実施するとともに,被疑者国選弁護人が選任された事件については,家裁送致後も引き続き付添人をして活動しうる態勢を整備してきた。特に,平成22年10月からは,観護措置により身柄を拘束された全ての少年について,本庁以外の全ての支部においても,当番付添人の制度を拡大して整えた。
2.既に,成人の被疑者・被告人については,広範囲で国費による弁護人が選任されている状況であることと比較すれば,より必要性の高い心身ともに未成熟な少年についても,本来,国費によって弁護士付添人を選任できる権利を保障すべきである。既に述べたとおり,観護措置決定により身柄を拘束された少年については,事件の軽重を問わず,弁護士付添人の援助は必要不可欠である。よって,当会は国に対し,少年法を改正し,少なくとも観護措置決定により身柄を拘束された全ての少年を対象とする,国費による国選付添人制度を創設することを求める。
2011年(平成23年)1月17日 山形県弁護士会 会長 高橋 健

改正貸金業法の早期完全施行等を求める会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s006.html
経済・生活苦での自殺者が年間7000人に達し,自己破産者も18万人を超え,多重債務者が200万人を超えるなどの深刻な多重債務問題を解決するため,2006年12月に改正貸金業法が成立し,出資法の上限金利の引下げ,収入の3分の1を超える過剰貸付契約の禁止(総量規制)などを含む同法が完全施行される予定である。改正貸金業法成立後,政府は多重債務者対策本部を設置し,同本部は①多重債務相談窓口の拡充,②セーフティネット貸付の充実,③ヤミ金融の撲滅,④金融経済教育を柱とする多重債務問題改善プログラムを策定した。そして,官民が連携して多重債務対策に取り組んできた結果,多重債務者が大幅に減少し,2008年の自己破産者数も13万人を下回るなど,着実にその成果を上げつつある。他方,一部には,消費者金融の成約率が低下しており,借りたい人が借りられなくなっている,特に昨今の経済危機や一部商工ローン業者の倒産などにより,資金調達が制限された中小企業者の倒産が増加しているなどを殊更強調して,改正貸金業法の完全施行の延期や貸金業者に対する規制の緩和を求める論調がある。しかしながら,1990年代における山一証券,北海道拓殖銀行の破綻などに象徴されるいわゆるバブル崩壊後の経済危機の際は,貸金業者に対する不十分な規制の下に商工ローンや消費者金融が大幅に貸付を伸ばし,その結果,1998年には自殺者が3万人を超え,自己破産者も10万人を突破するなど多重債務問題が深刻化した。改正貸金業法の完全施行の先延ばし,金利規制などの貸金業者に対する規制の緩和は,再び自殺者や自己破産者,多重債務者の急増を招きかねず許されるべきではない。今,多重債務者のために必要とされる施策は,相談体制の拡充,セーフティネット貸付の充実及びヤミ金融の撲滅などである。そこで,9月1日に発足した消費者庁の所管乃至共管となる地方消費者行政の充実及び多重債務問題が喫緊の課題であることも踏まえ,当会は国に対し,以下の施策を求める。
1.改正貸金業法を早期(遅くとも本年12月まで)に完全施行すること。
2.自治体での多重債務相談体制の整備のため相談員の人件費を含む予算を十分確保するなど相談窓口の充実を支援すること。
3.個人及び中小事業者向けのセーフティネット貸付をさらに充実させること。
4.ヤミ金融を徹底的に摘発すること。
2009(平成21)年9月15日 山形弁護士会 会長 半田 稔

消費者庁・消費者委員会の人事に関する会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s005.html
1.2009年(平成21年)5月29日,消費者庁関連三法が成立し,消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に向けて,消費者の利益の擁護及び増進を目的とする消費者庁が設立され,また,独立した第三者機関として消費者行政全般に対する監視機能を有する消費者委員会が設立され,両者が,相互に協力して職務に当たることが定められたことは,当会としても高く評価するところである。
2.ところで,次に問題になるのは消費者庁及び消費者委員会の人事である。消費者庁長官,消費者委員長,そして消費者委員人事が適正に行われなければ,せっかくの消費者庁設置による消費者主権の実現は,画餅に帰する結果となってしまう。これらのポストには,消費者庁設置の経緯・趣旨を理解し,あるべき消費者行政のビジョンを持っている人,そしてなにより,消費者事件の経験が豊富であって消費者事件に精通し,消費者の目線を持った人が選任されることが期待される。
3.特に,消費者委員会は,政府や官僚の意向で動く従来の行政とは決別した真に消費者のための組織運営が期待されているのであるから,その委員長人事には,国や政府,大臣は介入せず,法の規定に則り,各委員の自由な意思に基づく互選により委員長が選任されなければならない。
4.よって当会は,政府に対し,以下の各事項を要求する。
 (1)消費者委員長については,委員の互選により決定されるものであることを改めて確認するとともに,これまで積極的に消費者問題に取り組み,経験が豊富な見識ある人物を選任すること。
 (2)消費者庁,消費者委員会及びこれらの参与会の議事をすべて公開とし,市民や報道機関の傍聴を認めること。
2009年(平成21年) 8月 27日 山形県弁護士会 会長 半田 稔

司法修習生に対する給与支給の継続を求める会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s004.html
1.平成16年の裁判所法改正と付帯決議
平成16年の裁判所法の改正により,平成22年11月1日から,司法修習生への給与支給(給費制)に代えて,修習資金を貸与する制度(貸与制)が実施されることとなった。この改正にあたり,衆参両議院共通の付帯決議がなされ,改革の趣旨・目的が「法曹の使命の重要性や公共性にかんがみ,高度の専門的能力と職業倫理を備えた法曹を養成する」ものであること(1項),「給費制の廃止及び貸与制の導入によって,統一・公平・平等という司法修習の理念が損なわれることがないよう,また,経済的事情から法曹への道を断念する事態の招くことのないよう,法曹養成制度全体の財政支援の在り方も含め,関係機関と十分な協議を行うこと」(3項)として,弊害の防止が明記された。
2.裁判所法改正後の事情変更
 裁判所法改正後,法科大学院が多数設立され,司法試験合格率は,司法制度改革審議会が期待した7,8割をはるかに下回り,平成20年度は33%にとどまっている。法科大学院への志願者は,前年度に比べて約6000名も減少している。法科大学院への志願者が減少している背景には,合格率の低下に加え,法科大学院の学費と在学中の生活費の負担など経済的事情があることも看過できない。そのうえ,司法修習生への給費制が廃止され,貸与制になれば,経済的不安により,初めから法曹への道をあきらめざるを得ない事態に拍車をかけることになる。まさにこれは,衆参両院が付帯決議で懸念していた弊害の現れである。ところで,民間人である医師の養成制度については,平成16年,国家試験に合格した医師に2年間の研修を義務づけるとともに,研修中はアルバイトなしで研修に専念できるよう新たに国家予算を導入する措置がとられることとなった。この措置により,従前から給費制廃止の根拠とされた2つの理由,即ち,非公務員である司法修習生への公費支給は極めて異例であること,及び法曹資格取得という利益を得るのであるからそのために経済的な負担をするのも当然であるとの考えは,その根拠の大半を失うことになった。
3.貸与制を再検討する必要性
 司法制度改革審議会は,弁護士の役割について,「国民の社会生活上の医師」であることを求め,弁護士に社会的責任(公益性)の自覚を求めるとともに,21世紀の我が国社会において期待される「国民の役割」として,「統治の主体・権利主体である国民は,司法の運営に主体的・有為的に参加し,プロフェッションたる法曹との豊かなコミュニケーションの場を形成・維持するように努め,国民のための司法を国民自らが実現し支えなければならない。」と述べている。司法修習生は,裁判官,検察官として公務員になるのか,弁護士として民間人になるのかを問わず,このような21世紀の我が国社会において期待される法曹として,社会的なインフラ(基盤)である。給費制は,有為な人材の確保,司法修習への専念,公共心の醸成された人材の育成,あるいは,弁護士になった者の社会への貢献・還元という点から法曹の養成に重要な役割を果たしてきた。貸与制の実施は,このような法曹養成の理念を損なうことになるというべきである。
4.結論
よって,当会は,国会,政府及び最高裁判所に対し,平成16年の裁判所法改正後の事情の変更,及び給費制が法曹養成に果たしてきた役割をふまえ,給費制に代えて貸与制を実施する時期を,平成22年11月1日から相当期間延期したうえで,給費制の継続の措置を講じられることを強く求める次第である。以上 
2009年(平成21年) 8月 19日 山形県弁護士会 会長  半田 稔

消費者庁関連3法の成立に関する会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s002.html
2009年(平成21年)5月29日,消費者庁及び消費者委員会設置法,消費者庁及び消費者委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律及び消費者安全法の消費者庁関連3法が成立した。近年,悪質商法被害や多重債務被害など,多くの分野での消費者被害が次々と発生ないし顕在化しており,これら被害を救済・防止できない消費者行政の仕組みや体制の問題性が指摘されてきた。このような事態に対し,当会は,2008(平成20)年6月26日「消費者行政新組織の実現を求める会長声明」を発表し,山形県内においても,消費者行政新組織の実現を求める多数の署名が寄せられるなど,その実現が強く期待されていたものである。こうした中で,消費者庁関連3法が成立し,消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に向けて,消費者の利益の擁護及び増進を目的とする消費者庁が設立され,また,独立した第三者機関として消費者行政全般に対する監視機能を有する消費者委員会が設立され,両者が,相互に協力して職務に当たることが定められたことは,高く評価される。当会は,今後も引き続き,消費者被害の予防と救済に全力で取り組むとともに,今後の課題とされた,消費者行政の基本ともいえる消費生活センター及び市区町村の相談窓口の相談体制の充実に向けて,全力を尽くす所存である。 
2009年(平成21年) 7月 1日 山形県弁護士会 会長  半田 稔

死刑執行に関する会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s001.html
2009年1月29日,東京拘置所において1名,名古屋拘置所において2名及び福岡拘置所において1名の計4名の死刑確定者に対して死刑が執行された。これは,森英介法務大臣が就任してから2度目,昨年10月の執行に続き,3か月という極めて短い期間で死刑を執行する姿勢を示したものであり,誠に遺憾である。我が国では,4つの死刑確定事件(免田・財田川・松山・島田各事件)について再審無罪判決が確定し,死刑判決にも誤判が存在したことが明らかとなっているが,このような誤判を生じるに至った制度上,運用上の問題点について,抜本的な改善が図られておらず,誤った死刑の危険性は依然存在する。また,死刑と無期刑の量刑につき,裁判所によって判断の分かれる事例が相次いで出され,死刑についての明確な基準が存在しないことも明らかとなっている。さらに,死刑判決事案ではないが,2009年5月8日には足利再審請求事件において,弁護側及び検察側それぞれが推薦した鑑定人がいずれも確定判決により服役している受刑者と被害者の着衣に付着していた体液のDNAが一致しない旨の鑑定結果を裁判所に提出していることが明らかとなった。この鑑定結果は,確定判決の有力な証拠とされていた事件当時のDNA鑑定の証拠価値を揺るがすものであり,科学鑑定を絶対的証拠としては評価することができない場合があることを示している。この点においても死刑の執行には問題があるというべきである。また,2009年5月21日から裁判員裁判制度が実施されるところであるが,多くの国民から死刑判決の判断をすることに対する不安と戸惑いが表明されている。そこで,死刑に関する国民的議論を更に深める必要があり,その意味においても死刑の執行を当面停止する必要がある。当弁護士会は,2002年11月に発表した「死刑制度問題に関する提言」及び2004年10月に採択された「死刑執行停止法の制定,死刑制度に関する情報の公開及び死刑問題調査会の設置を求める決議」において,死刑制度の存廃につき国民的議論を尽くし,また死刑制度に関する改善を行うまでの一定期間,死刑確定者に対する死刑の執行を停止する旨の時限立法(死刑執行停止法)の制定を提唱してきた。当弁護士会は,改めて政府に対し,死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間,死刑の執行を停止するよう,重ねて強く要請するものである。
2009(平成21)年5月19日 山形弁護士会 会長 半田稔

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2246 ら特集山形弁護士会④

法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会「事務当局試案」に関する会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s019.html
2014年(平成26年)4月30日に開催された,法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会(以下「特別部会」という)の第26回会議において,事務当局試案(以下「本試案」という)が公表された。しかし,本試案には以下のとおりの問題がある。
1 取調べの可視化が不十分である
本試案には,取調べの可視化の対象について,裁判員制度対象事件の取調べに限定するA案と,裁判員制度対象事件に加えて全身柄拘束事件における検察官取調べとするB案が併記されている。A案では,特別部会設置の契機とされた郵政不正事件のほか,志布志事件,パソコン遠隔操作事件,痴漢えん罪事件など多くの事件が可視化の対象とならない上,裁判員制度対象事件は全公判事件の2パーセント未満に過ぎないことから,可視化は原則ではなく,例外的に行われるものとなってしまう。B案でも,司法警察職員の取調べや身柄拘束のない事件における検察官取調べを対象としておらず,えん罪の原因となってきた密室における取調べが残存することとなり,取調べの適正化を図り,被疑者の黙秘権を保障しようとする可視化制度の目的を達成することは不可能である。また,本試案は「記録をすることが困難であると認めるとき」「記録をしたならば被疑者が十分な供述をすることができないと認めるとき」等を可視化の例外事由としており,取調官の判断により可視化されない場合を広く認める余地を残している。本試案が示す取調べの可視化制度は,これまで当会が求めてきた,取調べの全事件全過程の例外なき可視化とはほど遠いものであって,容認できない。
2 通信傍受の対象拡大・手続簡略化には反対する
本試案には,「通信傍受の合理化・効率化」として,犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(以下「通信傍受法」という)の適用対象となる犯罪を,一定の要件のもとで現住建造物放火,殺人,傷害,逮捕・監禁,略取・誘拐,窃盗,強盗,詐欺,恐喝にまで拡大し,さらに,現行の通信傍受法が通信傍受時における通信事業者の立会を要件として規定している点を変更して,捜査機関が通信事業者の立会なくして通信を傍受できる制度が示されている。しかし,現行の通信傍受法が定める通信傍受それ自体が,憲法が国民に保障する通信の自由をはじめとして,思想の自由,言論の自由,結社の自由,プライバシー権等の基本的人権を侵害する「盗聴」であり,また,通常の捜査とは異なり,捜査の対象となる通信が特定されず,かつ,事前に捜査の対象者に令状が提示されない点で憲法35条が定める令状主義に違反している疑いが強いものである。通信傍受法制定時にも同様の議論があり,その結果として通信傍受の対象は組織的銃器犯罪や組織的薬物犯罪などごく一部の犯罪に絞られているのである。そのような通信傍受について,対象犯罪を現行法よりも大きく拡大し,さらに通信事業者の立会を不要とする内容に改正することは憲法違反となる可能性が非常に高いのであり,許されるものではない。本試案が法案要綱案としてこのまま取りまとめられたとすれば,国民の通信の秘密の保障やプライバシー権が侵害される事態が生ずる懸念がきわめて強い。当会は,通信傍受の対象拡大・手続の簡略化については断固反対するものである。
3 証拠開示制度が不十分である
本試案には,証拠の一覧表の交付制度が示されているが,この一覧表には文書の要旨(内容を職別できる程度の事項)の記載が求められていないから,その内容が不明である。また,同制度は公判前整理手続又は期日間整理手続に付された事件のみに適用されるものであるから,被疑者・被告人の権利保障の観点からは不十分と言わざるを得ない。当会が従前求めてきた全面的証拠開示制度の創設が検討されるべきである。
4 被告人の虚偽供述禁止規定は被告人の黙秘権・防御権を侵害する
本試案には,被告人の虚偽供述禁止の規定が示されているが,この規定があることによって,起訴事実を否認する被告人が黙秘をした場合には,裁判官・裁判員に,「黙秘するのは,犯行を否認する供述をすると虚偽供述禁止規定に違反するからだ。犯行否認が虚偽だから黙秘している。」との心証を抱かせるおそれが高まり,そのため被告人は,実際上,黙秘権を放棄して被告人質問に応じざるを得なくなることから,被告人の黙秘権,防御権を侵害する危険性が高い。以上のとおり,本試案には,捜査の適正化という特別部会の設置趣旨を踏み外し,取調ベの可視化や証拠開示は不十分なものにとどまり,さらに通信傍受という憲法違反の疑いのある捜査手法を拡充する等という,重大な問題がある。当会は,特別部会に対し,被疑者・被告人の権利保障を実質化する法制度を確立するという出発点に立ち戻っての議論を行うことを強く求めるものである。
2014年(平成26年)5月28日 山形県弁護士会 会長 峯田 典明

集団的自衛権の行使容認に反対する会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s018.html
本日,日本国憲法が施行されてから67年目となる憲法記念日を迎えた。日本国憲法は,前文で「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」,「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,われらの安全と生存を保持しようと決意した」とし,平和的生存権を宣言するとともに,第9条において,戦争を永久に放棄し,戦力は保持せず,交戦権も認めないとする徹底した恒久平和主義を規定している。そして,これまで政府は,憲法第9条のもとでも日本を防衛するため必要最小限度の自衛権の行使は許されると解しながらも,「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を,自国が直接攻撃されていないにもかかわらず,実力をもって阻止する権利」である集団的自衛権については,必要最小限度の範囲を超えるものであって憲法上許されない旨表明し,この憲法解釈を30年以上にわたって一貫して維持してきた。ところが現在,政府は,これまでの政府解釈を大きく変更し,しかも憲法改正手続を経ずして,内閣の閣議決定により,集団的自衛権を容認しようとする動きを示している。しかし,この集団的自衛権の行使容認は,自国が攻撃されていないにもかかわらず他国のために戦争することを可能とし,戦争をしない平和国家としての日本の国の在り方を根本から変えるもので,恒久平和主義を基本原理とする憲法に明らかに違反する。また,このような憲法の基本原理に関わる重大な解釈の変更を憲法改正手続を経ず,時々の政府の判断で行うことは,憲法を最高法規と定め,国務大臣や国会議員に憲法尊重擁護義務を課して,政府や国会を憲法による制約の下に置こうとする立憲主義にも反し,到底許される行為ではない。よって,当会は,恒久平和主義を守り,立憲主義を堅持する観点から,政府の憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認の動きに強く反対の意思を表明するものである。
2014年(平成26年) 5月3日 山形県弁護士会会長峯田典明

商品先物取引法における不招請勧誘禁止緩和に反対する会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s017.html
 1. 経済産業省及び農林水産省は,本年4月5日に「商品先物取引法施行規則」改正案(以下,「本規則案」という。)を公表し,これに対する意見公募を開始した。本規則案には,同規則第102条の2を改正することにより,商品先物取引において,当該業者との間でハイリスク取引を継続的に行っていた顧客に対してのみ認められていた不招請勧誘について,①他の業者とのハイリスク取引の経験者に対する勧誘,②熟慮期間等を設定した契約(顧客が70歳未満であることを確認した上で,基本契約から7日間を経過し,かつ,取引金額が証拠金の額を上回るおそれのあること等についての顧客の理解度を確認した場合)の勧誘については不招請勧誘禁止の適用除外とする内容が盛り込まれている。
2. しかしながら,商品先物取引は,もともとその仕組みが複雑で消費者に理解しがたく,かつ,リスクの高い取引であることに加え,悪質な業者が,突然の電話や訪問による勧誘によって,商品先物取引の知識や経験に乏しい消費者を取引に巻き込んできたことで,深刻な被害を与えてきた実態がある。このような被害を度重なる行為規制の強化だけでは防止できなかったため,顧客の要請に基づかない勧誘自体を禁止すべきであるという,消費者・被害者関係団体等の強い要望によってようやく,2009年(平成21)7月の商品先物取引法改正で不招請勧誘の禁止が実現し,2011年(平成23年)1月に施行されたばかりである。また,同法が改正される際の国会審議においては,「商品先物取引に関する契約の締結の勧誘を要請していない顧客に対し,一方的に訪問し,又は電話をかけて勧誘することを意味する「不招請勧誘」の禁止については,当面,一般個人を相手方とする全ての店頭取引及び初期の投資以上の損失が発生する可能性のある取引所取引を政令指定の対象とすること。」,「さらに,施行後1年以内を目処に,規制の効果及び被害の実態等に照らして政令指定の対象等を見直すものとし,必要に応じて,時機を失することなく一般個人を相手方とする取引全てに対象範囲を拡大すること。」との附帯決議がされている。ところが本規則案は,事実上,70歳未満の個人顧客に対する不招請勧誘を全面解禁するに等しいものであって,法が個人顧客に対する無差別的な訪問電話勧誘を禁止した趣旨を没却するものである。
3. 熟慮期間を設定することについては,かつて,「海外商品市場における先物取引の受託等に関する法律」に類似の規定が設けられていたが,同法が適用される事案においても,熟慮期間を活用して被害救済された例はほとんどなかったという実情を考慮する必要がある。投資可能資金額を過大に記載させて,過大な取引を勧誘する事例や,習熟期間が経過したとたん,取引証拠金を目一杯利用した過当な勧誘が行われる事例が過去多数みられことからすれば,これらは不招請勧誘禁止規定の代替策となりえないものである。
4. さらに,過去のハイリスク取引の経験があったとしても,投機資金や余裕資金を喪失した顧客は,そもそも商品先物取引のような投機取引を行うにはふさわしくなく,過去のハイリスク取引経験者の全般に勧誘を拡大するような本規則案には賛成できない。
5. 不招請勧誘禁止規定の見直しについては,2012年8月に経済産業省に設置された産業構造審議会商品先物取引分科会が「不招請勧誘の禁止の規定は施行後1年半しか経っておらず,これまでの相談・被害件数の減少と不招請勧誘の禁止措置との関係を十分に見極めることは難しいため,引き続き相談・被害の実情を見守りつつできる限りの効果分析を試みていくべきである」「将来において,不招請勧誘の禁止対象の見直しを検討する前提として,実態として消費者・委託者保護の徹底が定着したと見られ,不招請勧誘の禁止以外の規制措置により再び被害が拡大する可能性が少ないと考えられるなどの状況を見極めることが適当である」と取りまとめている。しかしながら。現在も,個人顧客に対し,金の現物取引や損失限定取引を勧誘して顧客との接点を持つや,すぐさま通常の先物取引を勧誘し,多額の損失を与える被害が数多く発生していることが日本弁護士連合会の会員からも報告されており,商品先物取引業者の営業姿勢はまったく変わっていない。農林水産省及び経済産業省も,昨年12月に不招請勧誘禁止規定違反があるとして,ある商品先物取引業者の行政処分を行ったところである。現時点で,不招請勧誘禁止規制の緩和が許容されるような営業実態には全くないのであって,規制は維持されなければならない。
6. 本規則案は,そもそも透明かつ公正な市場を育成し,委託者保護を図るべき監督官庁の立場と相容れないものである上,「委託者等の保護に欠け,又は取引の公正を害するおそれのない行為として主務省令で定める行為を除く」(商品先物取引法第214条第9号括弧書き)とする法律の委任の範囲を超え,施行規則によって法律の規定を骨抜きにするものと言わざるを得ない。内閣府消費者委員会も本年4月8日付けで,本規則案が,「消費者保護の観点から見て,重大な危険をはらむものであることに鑑み,その再考を求める。」旨の意見を公表している。
1. 当会は,本規則案について,商品先物取引の不招請勧誘禁止規定を骨抜きにするような商品先物取引法施行規則の改正は,消費者保護の観点から手続的にも内容的にも到底許容できるものではなく,強く反対する。
2014年(平成26年)5月1日 山形県弁護士会 会長  峯田 典明

特定秘密保護法の廃止を求める決議
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s015.html
 1. 2013(平成25)年12月6日,第185回国会において,特定秘密の保護に関する法律(以下「本法律」という。)が制定された。
2. 本法律は,国民主権の原理を揺るがし憲法が保障する諸々の基本的人権に脅威を与える懸念があることから,当会でも同年11月19日に会長声明を発するなどして警鐘を鳴らし,日本弁護士連合会や各地の弁護士会とともに,その制定に反対する意思を表明していたところである。当会等が指摘してきた本法律の問題点は,①行政機関の長が指定することのできる「特定秘密」の範囲が広範かつ曖昧であるため,その恣意的判断により本来国民に開示されるべき重大な情報が隠蔽される危険があり,しかも一度特定秘密に指定すれば半ば恒久的に秘匿することが可能となること,②「適性評価制度」の導入により幅広い国民の個人情報が収集され,国民のプライバシーの権利が危険にさらされること,③「特定秘密」の漏えい行為や取得行為については,過失犯や共謀,教唆,煽動まで広く処罰の対象となるうえ,国民の側からはそもそも何が特定秘密として処罰されるのかを予測することが困難なため,国民の国政に関する情報に対するアクセス,ことに報道機関の取材活動に対する萎縮効果は計り知れず,報道機関の取材・報道の自由,ひいては主権者である国民の知る権利を著しく損なうこと,④国会議員も処罰の対象であるため,特定秘密を知得した国会議員が当該秘密に関して同じ会派の議員や専門家に相談をすることすらできず,国会の行政に対する民主的コントロール機能を後退させること,⑤特定秘密の漏えい等に関して起訴された場合,対象となる特定秘密の内容が明らかにならない状態で裁判が進められ,適正な裁判を受ける権利までも失われるおそれがあることなどであり,他にも多くの問題点が存する。
3. そのため,本法律に対しては,日本弁護士連合会や各地の弁護士会のみならず,学者,報道機関,作家,映画監督などを含む広範かつ多数の国民から,本法律の制定に反対する意見や慎重な国会審議を求める声が続々とあがっていた。衆議院での採決前に福島市で開かれた地方公聴会では,7名の公聴人全員が反対の意見を述べたほどである。さらに国連人権高等弁務官からも,秘密の要件が明確でなく,これでは政府がどんな不都合な情報も秘密に指定できてしまうとの懸念が示されていた。
4. したがって,本法律案の国会審議は,そうした反対意見に耳を傾け,国民に対する説明を尽くして,慎重なうえにも慎重になされるのが民主国家として当然の姿であるところ,政府与党は,上記のような強い反対意見や慎重審議を求める国民世論を振り切って,本法律案が国会へ提出されてからわずか1か月半あまりの短期間のうちに,衆議院でも参議院でも採決を強行し,本法律を成立させた。これは,本法律の内容のみならず,手続的にも国民主権,民主主義の理念を踏みにじる暴挙といわなければならない。当会はこれに強く抗議する。
2. 本法律は2013(平成25)年12月13日に公布され,公布後1年以内に施行されることになっているが,上記のとおり本法律は,到底看過することのできない憲法原理に関わる重大な問題を数多く含んでおり,抜本的な見直しがなされるべきであって,その観点から当会は本法律の廃止を求めるものである。以上のとおり決議する。
2014年(平成26年) 2月28日 山形県弁護士会

適正な弁護士人口及び給費制復活を含む司法修習生への経済的支援を求める決議
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s014.html
決議の趣旨
1. 当会は,政府に対して,2014年より司法試験合格者を1,000人以下にすることを求める。
2. また,早急に給費制復活を含む司法修習生に対する適切な経済的支援を求めるとともに,新第65期,第66期,第67期の司法修習生に対しても遡及的に適切な措置が採られることを求める。
決議の理由
第1.適正な弁護士人口について。
1. 法務省の発表によれば2013年の司法試験合格者数は2,049人であった。司法試験の合格者は1990年までは年間約500人であったが,その後に増員が繰り返され,2002年から約1,200人,2004年から約1,500人と増加し,2007年以降は2,000人台に増加されてきた。この司法試験合格者数の増加は,司法修習修了後の判事補,検事への任官者数が増加していないため(逆に近年は減少傾向にある),必然的に弁護士人口の大幅な増加に直結し,2000年3月に1万7,126人であったところ,2014年2月に3万5,445人と14年間で2倍以上に急増した。そして,この弁護士人口の急激な増加は,司法修習生の就職難,新人弁護士の既存の法律事務所での研鑚(OJT)の機会の不足,ひいては法曹志願者数の激減などの様々な問題を生じさせた。そこで日弁連は,2012年3月15日の理事会で「法曹人口対策に関する提言」を決議し,「司法試験合格者数をまず1,500人まで減員し,更なる減員については法曹養成制度の成熟度や現実の法的需要,問題点の改善状況を検証しつつ対処していくべき」であることを提唱した。しかし,2013年12月の一括登録時点における弁護士未登録者数は584人,28.7%にのぼる一方,法曹志願者数の激減にも全く歯止めがかからないなど事態の進展は極めて深刻であり,法曹すなわち司法を支える制度自体が危機的状況にあると言わざるをえない。
2. 言うまでもなく基本的人権の擁護と社会正義実現をはかるためにわが国憲法における司法は重要な役割を求められている。特に弁護士は,民間職業人でありながら,憲法上刑事裁判において人権擁護のための重要な機関とされており,民事訴訟,行政訴訟においても,弁護士が代理人として具体的事件を取り上げて訴訟を提起し,法廷活動を行うことによってはじめて裁判所の人権擁護や,社会正義に資する政策形成がなされるのであり,司法制度における弁護士の役割は必要不可欠かつ極めて重要なもので公共的機関性を有するものである。従って,弁護士業務は,その職務に関して高度の資質が求められ(弁護士法1条第2項),国家権力からの独立性とその前提としての経済的独立性も必要不可欠なものである。新規登録弁護士の就職難が社会問題化していることは周知の事実である。既存の法律事務所における研鑚(OJT)の機会もなく,経済的独立すらおぼつかない新人弁護士が急増すれば,国民の基本的人権の尊重や社会正義の実現という弁護士の責務を十分に尽くすことができず,その不利益が国民に及ぶおそれを生じさせる。さらに法科大学院入学志望者数の推移にみられるように法曹志望者が激減している実情は,この問題が一刻の猶予も許されない極めて深刻な事態であることを示している。法曹志望者の激減の原因は,法曹資格取得後の就職や開業に十分な見通しを立てることができない司法修習修了者や新規登録弁護士の実情が明らかになっているためである。このような状況が今後も続く限り,将来法曹を担うべき有為な人材がいなくなることになり,司法が機能しなくなる可能性も否定できない。
3. 当会は,適正な法曹人口について山形県内の事情を加味しながら,2002年10月24日に平成14年山形県地域司法計画案決議をし,2009年2月27日には司法試験合格者数を1,500人程度にとどめるべしとの総会決議をした。すなわち,前記司法計画案においては,県内の需要調査を行なったうえで10年以内52名の会員数を80名に増員することが必要としたが(被疑者国選制度実現をひかえての政策的目的もあった),2009年の総会決議時点では,その増員の見通しがついたとして,適正弁護士人口を考慮しての1,500人決議であった。しかるにその後も当会の会員数は増加し,2014年2月時点では会員数90名となった。司法制度改革は,国民の法的サービスに対する利便性の向上の観点,すなわち弁護士過疎地域の解消も目的とされてきたところ,山形県内でも,本庁管内で59名,米沢支部管内で10名,鶴岡支部管内で9名,酒田支部管内で8名,新庄支部管内で4名の弁護士がそれぞれ活動しており,山形県内のどの圏域でも弁護士への需要に対して十分に応えられる体制が整っている。他方,山形県内人口は,1988年をピークに減少し続けており,2013年までに12万人以上減少しており,今後も減少し続けることが予想される。事件数においても,破産事件は2009年より急激に減少しており,一般民事事件ももともと横ばいあるいは減少傾向にあったものが,一時的には過払い金訴訟などの急増で全体として増加したものの,それらの事件の減少により全体の減少傾向がはっきりとし,今後増加に転じる要因はみあたらず,刑事・家事事件も明確な増加の傾向にはない。また,弁護士の増加を必要とするだけの活動領域が,訴訟事件以外の分野で大きく拡大しているという事実もない。当会会員の9割近くは民事法律扶助の契約弁護士となり,県民の法的需要に応えてきたが,2011年より扶助件数は減少に転じている。
4. 前述のような法的需要の減少は当会に限ったことではなく全国的な傾向である。日弁連が1,500人減員の理事会決議をした後も,司法試験合格者数は,2012年2,102人,2013年2,049人と2,000人台を維持しており,合格者増による前記弊害は解消されることなく拡大しており,まさに猶予のない状況である。このまま2,000人合格の場合は,法曹人口は2048年ころには8万6,000人ほどに,1,500人合格の場合は同じく6万6,000人ほどとなり,仮に1,000人に減員したとしても,2043年ころには5万人ほどとなり,いずれにしても弁護士人口が増え続けることは確実である。
5. 弁護士人口が既に供給過剰に陥っていることは,総務省による法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価(2012年4月)によっても明らかにされているところである。
6. 従って,当会が1,500人減員総会決議をした当時から司法試験合格者数は2,000人台を維持したままでさらに状況は悪化していることから,2014年より直ちに1,000人以下に減員することを求めるものである。
 第2.給費制復活を含む司法修習生への経済的支援について。
1. 司法修習生は,最高裁判所によって採用を命じられ(裁判所法第66条第1項),守秘義務を負うほか,司法を担う法曹としての高い専門性を修得するため1年間司法修習に専念する義務を負い(同法第67条第2項),兼業・兼職が禁止され,収入を得る道はない。また,司法修習生は,全国各地に配属され司法修習を行うため,現在の居住地とは異なる場所に配属され,引越費用や住居費などの出費を余儀なくされることもある。このような司法修習生の法的地位及び実態を踏まえ,新第64期及び現行第65期までの司法修習生に対しては,司法修習中の生活費等の必要な費用が国費から支給されていた(以下「給費制」という。)。しかし,2011年11月から司法修習を開始した新第65期の司法修習生から,給費制は廃止され,司法修習費用を貸与する制度に移行した(以下「貸与制」という。)。
2. 日本弁護士連合会は,昨年6月,新第65期司法修習生に対し,司法修習中の生活実態を明らかにすることを目的としてアンケートを実施した。このアンケートの集計結果によれば,28.2%の司法修習生が司法修習を辞退することを考えたことがあると回答し,その理由として,86.1%が貸与制,74.8%が弁護士の就職難・経済的困窮を挙げた。すなわち,司法試験に合格していながら,経済的理由から法曹への道をあきらめることを検討した者が3割近くもいる実態が明らかになった。さらに,司法修習生の月平均の支出額は,住居費の負担がない場合が13万8,000円であるのに対し,住居費の負担がある場合は21万5,800円であった。司法修習の開始に伴い修習配属地への引越が必要だった司法修習生は,約6割を占め,この場合には,引越費用等で平均25万7,500円が別途必要になる。山形の新第65期司法修習生に対するアンケート結果においても11名が,引越費用や就職活動のための交通費等の負担での生活は大変であったと回答し,貸与制による借金を抱えての将来に対する不安を訴えている。また,第66期に対するアンケート結果においては,今後の修習生活費に対する不安,就職難に対する不安,将来借金返済が可能か不安に感じている者がほとんどであった。以上のとおり,新第65期司法修習生及び第66期司法修習生に対する生活実態アンケートにより,貸与制の不平等さや不合理さが改めて明確になった。司法修習生の多くは大学及び法科大学院の奨学金等の返済義務を負担しており,更に貸与制による借金が加算されることになる。こうした経済的負担の重さや昨今のいわゆる「就職難」が法曹志願者を減少させ,有為で多様な人材が法曹の道を断念する一因となっている。
3. そもそも三権の一翼を担う司法における人材養成の根幹をなす制度負担について,本来財政的事情のみで私費負担とすべきではなく,前述のような将来に対する不安を抱えながらの司法修習は,司法修習制度の目的実現にとって悪い影響となることは否定できない。そして,前述したとおり,司法研修所を卒業した66期のうち,一括登録日に弁護士として活動するために必要な弁護士会への登録を行わなかったものが584人と過去最多になっている(その後の弁護士登録予定者を控除した未登録者数でも400人を超えている)。これは貸与制も含めた負担の増大と就職難が大きな理由と考えられる。
4. 2012年7月に成立した裁判所法の一部を改正する法律によれば,「司法修習生に対する適切な経済的支援を行う観点から,法曹の養成における司法修習生の修習の位置付けを踏まえつつ,検討が行われるべき」ことが確認された。これを受けて,昨年8月21日の閣議決定により法曹養成制度検討会議が設置された。同検討会では,法曹養成制度において司法修習は重要な役割を担っており,司法修習生を修習に専念させる必要性があることから,給費制が制度化されていたことや,法科大学院制度を導入したうえで給費制を廃止すれば,経済的に余裕のない者が生じるなど,給費制廃止の弊害も指摘されていた。また,パブコメでは,2,400件もの意見が寄せられ,その大多数が給費制の復活を求める意見であった。しかるに,同検討会は,貸与制を前提とした中間的取りまとめをし,修習専念義務を緩和して一部アルバイトを認めるなど,極めて不十分かつ不合理な内容となっている。
5. そもそも,良質な法曹に支えられている司法制度は,法の支配の確保と国民の基本的人権の保障のための重要な社会的インフラである。したがって,法曹養成は国が責任をもって行うべきものである。弁護士を含む法曹が,社会正義実現の担い手として地域社会の各方面で公共的な役割を積極的に果たしていることも,国家国民の負担により養成された者としての自覚の現れであるということもできるのである。
3. 当会は,有為で多様な人材が経済的事情から法曹の道を断念することがないよう,早急に給費制復活を含む司法修習生に対する適切な経済的支援を求めるとともに,新第65期,第66期,第67期の司法修習生に対しても遡及的に適切な措置が採られることを求めるものである。
2014年(平成26年) 2月28日 山形県弁護士会

2245 ら特集山形弁護士会③

安全保障法制改定法案に反対する会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s025.html
安倍内閣は今月14日,自衛隊法,武力攻撃事態法,周辺事態法,国連平和維持活動協力法等を改正する「平和安全法制整備法案」及び他国軍の後方支援を随時可能とする恒久法を新設する「国際平和支援法案」(以下併せて「本法案」という。)を閣議決定し,翌15日,国会に提出した。 本法案は,昨年7月1日の閣議決定を受け,また本年4月27日の新たな日米防衛協力のための指針の合意に合わせて,自衛隊が,その活動範囲を大幅に拡大し,平時から緊急事態に至るまで,地理的限定なく世界のどこででも,切れ目なく,自らの武力の行使や,戦争を遂行する他国の支援,停戦処理活動等を広汎に行うことを可能とするもので,以下のとおり極めて重大かつ多岐にわたる問題点をはらんでいる。まず,わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し,これによりわが国の存立が脅かされ,国民の権利が根底から覆される明白な危険があるなどの要件を満たす事態を「存立危機事態」(武力攻撃事態法改正案2条4号)と称し,この場合に,自衛隊が地理的限定なく出動し,米国及び他国軍隊とともに武力を行使することを可能としている(自衛隊法改正案76条1項2号,88条1項)。これは憲法9条のもとで,歴代政府においても許されないとしてきた集団的自衛権の行使を容認するもので,同条に違反する。次に,わが国の平和と安全に重要な影響を与える「重要影響事態」(重要影響事態法案(周辺事態法改正案)1条)や,国際社会の平和と安全を脅かす「国際平和共同対処事態」(国際平和支援法案1条)において,自衛隊が,現に戦闘行為が行われている現場以外であればどこででも,米国に限らず戦争を遂行する他国軍隊に対し弾薬の提供等までも含む支援活動を行うことを可能としている。これは,これまで自衛隊の後方支援活動の内容を限定したり活動範囲を「後方地域」や「非戦闘地域」に限定したりすることで他国の武力行使との一体化を避けてきた歯止めをなくすものであり,憲法9条が禁止する海外での武力行使に道を開くものである。さらに,これまでの国連平和維持活動(PKO)のほかに,国連が統括しない有志連合等の「国際連携平和安全活動」(PKO協力法改正案3条2号)にまで自衛隊の業務範囲を拡大し,従来PKOにおいてその危険性ゆえに禁止されてきた安全確保業務や「駆け付け警護」を行うこと,及びそれに伴う任務遂行のための武器使用を認めている。しかし,この武器使用は,自己保存のための限度を超えて,相手の妨害を排除するためのものであり,自衛隊員を殺傷の現場にさらし,さらには戦闘行為から武力の行使に発展する道を開くものである。その危険性は,新たに自衛隊の任務として認められた在外邦人救出等の活動(自衛隊法改正案84条の3)についても同様である。これらに加え,本法案は,武力攻撃に至らない侵害への対処として,新たに他国軍隊の武器等の防護を自衛官の権限として認めている(自衛隊法改正案95条の2第1項)。これは,現場の判断により戦闘行為に発展しかねない危険性を飛躍的に増大させるものである。憲法は,前文で平和的生存権を宣言するとともに,9条で戦争を永久に放棄し,戦力は保持せず,交戦権も認めないとして,徹底した恒久平和主義を定めているが,以上のとおり,本法案はこれらに反し,自衛隊が海外で武力行使をする道を開き,平和国家としてのわが国の在り方を根本から変えるものである。また,立法により実質的な9条改正を行おうとするもので,立憲主義の基本理念に真っ向から反する。さらに,憲法の改正手続を踏むことなく実質的改憲をしようとするのであるから,国民主権の基本原理にも反する。よって,当会は,基本的人権の擁護を使命とする法律家の団体として,本法案に反対し,今後国会においてこれを成立させることのないよう強く訴えるものである。
2015年(平成27年)5月26日 山形県弁護士会 会 長  安孫子 英彦

憲法記念日にあたり集団的自衛権の行使容認に反対する会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s024.html
本日,日本国憲法が施行されてから満68年となる憲法記念日を迎えた。日本国憲法は,前文で「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」,「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,われらの安全と生存を保持しようと決意した」とし,平和的生存権を宣言するとともに,第9条において,戦争を永久に放棄し,戦力は保持せず,交戦権も認めないとする徹底した恒久平和主義を規定している。そして,これまで政府は,憲法第9条のもとでも日本を防衛するため必要最小限度の自衛権の行使は許されると解しながらも,「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を,自国が直接攻撃されていないにもかかわらず,実力をもって阻止する権利」である集団的自衛権については,必要最小限度の範囲を超えるものであって憲法上許されない旨表明し,この憲法解釈を30年以上にわたって一貫して維持してきた。本年8月には戦後70年を迎えるが,日本国民は,この恒久平和主義に基づく憲法のもとで,国際社会において戦争をしない平和国家としての地位を築くべく努めてきたのである。ところが,安倍内閣は,昨年7月,従来の憲法解釈を変更し,集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行い,これに基づく安保関連法案を今月中にも現在開会中の国会に提出する予定と伝えられている。しかし,集団的自衛権の行使容認は,自国が攻撃されていないにもかかわらず他国のために戦争することを可能とし,平和国家としての日本の国の在り方を根本から変えるものであり,恒久平和主義を基本原理とする憲法に明らかに違反する。また,日本国憲法には憲法改正の手続が規定されているにもかかわらず,このような憲法の基本原理の変更を憲法改正手続を経ずに行うことは,憲法を最高法規と定め(憲法第98条),国務大臣や国会議員に憲法尊重擁護義務(憲法第99条)を課して政府や国会を憲法による制約のもとに置こうとする立憲主義にも反し,到底許される行為ではない。よって,当会は,憲法記念日を迎えるにあたり,法律家の団体として,恒久平和主義を守り立憲主義を堅持する観点から,集団的自衛権の行使容認に反対する意思をあらためて表明するとともに,関係法律の改正等を行わないよう強く求めるものである。
2015年(平成27年)5月3日 山形県弁護士会 会長  安孫子 英彦

商品先物取引法における不招請勧誘禁止規制を緩和する省令の廃止を求める会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s023.html
経済産業省及び農林水産省は,2015(平成27)年1月23日,商品先物取引法施行規則の一部を改正する省令(以下「本省令」という。)を定めた。当会は,2014年(平成26年)4月5日付けで公表及び意見募集がなされた商品先物取引法施行規則に対し,同年5月1日付け会長声明において,これに反対する意見を表明してきた。ところが,本省令は当初の公表案を若干修正し,同規則第102条の2を改正して,ハイリスク取引の経験者に対する勧誘以外に,顧客が65歳未満で年収800万円以上又は2000万円以上の金融資産(現金,預貯金等)を有する者である場合に,顧客の理解度を確認するなどの要件を満たした場合を例外とする規定(本省令第102条の2第3号)を,不招請勧誘の禁止の例外として盛り込んだものである。しかし,上記の要件を満たすかどうかの顧客の適合性の確認自体が勧誘行為の一環としてなされるものであるから,本省令は,商品先物取引契約の締結を目的とする勧誘を不招請で行うことを許容するものというほかなく,実質的に不招請勧誘を解禁するものである。すなわち,本省令は,商品先物取引法第214条第9号の「委託者等の保護に欠け,又は取引の公正を害するおそれのない行為」に該当せず,法律の委任の範囲を逸脱した違法なものであり,省令によって,法律の規定を骨抜きにするものと言わざるを得ない。本省令は,透明かつ公正な市場を育成し委託者保護を図るべき監督官庁の立場と相容れないものである。さらに,委託者に年収や資産の確認の方法として申告書面を差し入れさせたり,書面による問題に回答させて理解度確認を行う等の手法は,いずれも,現在も多くの商品先物取引業者が事実上同様の手法を採っており,その中で業者が委託者を誘導して事実と異なる申告をさせたり,正答を教示するなどの不正行為が蔓延し,被害が生じていることからすると,これらの手法が委託者保護のために機能するものとは評価できない。そもそも,商品先物取引法における不招請勧誘を禁止する規定は,長年,同取引による深刻な被害が発生し,度重なる行為規制強化の下でもなおトラブルが解消しなかったため,与野党一致の下,2009年(平成21年)7月にようやく法改正が実現し2011年(平成23年)1月に施行されたばかりである。しかし,その後においても,個人顧客に対し,金の現物取引やスマートCX取引(損失限定取引)を勧誘して接点を持っておき,すぐさま通常の商品先物取引を勧誘し,多額の損失を与える被害が少なからず発生している実情がある。本省令はかかる立法経緯及び被害実態を軽視し,商品先物取引の不招請勧誘を事実上解禁するものであり,消費者保護の観点から許容できず,当会はこれに強く抗議し,本省令を直ちに廃止することを求める。
2015年(平成27) 3月30日 山形県弁護士会会長峯田 典明

集団的自衛権の行使容認に反対する決議
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s022.html
2014(平成26)年7月1日,安倍内閣は,従来の憲法解釈を変更し,集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行った。日本国憲法は,第二次世界大戦の反省から,前文で平和的生存権を宣言するとともに,第9条において,戦争を永久に放棄し,戦力は保持せず,交戦権を否認し,恒久平和主義に基づく平和国家の建設を目指してきた。そして,これまで政府は,憲法第9条のもとでも日本を防衛するため必要最小限度の自衛権の行使は許されると解しながらも,「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を,自国が直接攻撃されていないにもかかわらず,実力をもって阻止する権利」である集団的自衛権については,必要最小限度の範囲を超えるものであって憲法上許されない旨表明し,この憲法解釈を30年以上にわたって一貫して維持してきた。ところが,安倍内閣は,「我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず,我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し,これにより我が国の存立が脅かされ,国民の生命,自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において,これを排除し,我が国の存立を全うし,国民を守るために他に適当な手段がないときに,必要最小限度の実力を行使すること」は,憲法上許容されるとの閣議決定を行った。これは,従来政府が許されないとしてきた集団的自衛権の行使を容認するもので,自国が直接攻撃されていないにもかかわらず他国のために戦争することを可能とし,平和国家としての日本の国の在り方を根本から変えることになり,恒久平和主義を基本原理とする憲法に明らかに違反する。また,日本国憲法には憲法改正の手続が規定されているにもかかわらず,このような憲法の基本原理に関わる重大な解釈の変更を憲法改正手続を経ずに行うことは,憲法を最高法規と定め(憲法第98条),国務大臣や国会議員に憲法尊重擁護義務(憲法第99条)を課して政府や国会を憲法による制約の下に置こうとする立憲主義にも反し,到底許される行為ではない。政府は,本年の通常国会に,閣議決定を踏まえた関連法案を提出する予定と伝えられているが,当会は,恒久平和主義を守り,立憲主義を堅持する観点から,安倍内閣が憲法解釈を変更し集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行ったことにあらためて抗議し,その撤回を求めるとともに,今後の関係法律の改正等に反対し,これを行わないよう強く求めるものである。 以上のとおり決議する。
平成27年2月27日 山形県弁護士会
 
山形県弁護士会
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「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)に反対する会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s021.html
第1 はじめに
国際観光産業振興議員連盟(通称「IR議連」)に属する有志の国会議員によって,「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」,以下「本法案」という。)が,昨年の臨時国会に提出された。本年の通常国会では継続審議となり,IR議連は,今臨時国会での成立を目指している状況にある。
第2 法案の概要
 本法案は,刑法第185条及び第186条で処罰の対象とされている「賭博」に該当するカジノについて,一定の条件の下に設置を認めるために必要な措置を講じるとするものである。しかし,本法案には,以下に述べるような多くの問題点があり,国会においても,与野党を問わず慎重な意見が根強く存する。
第3 本法案の問題点
1. 暴力団対策,マネー・ローンダリング対策上の問題
 暴力団排除条例の全都道府県での施行等によって,暴力団の資金源は逼迫しつつある。そこで,暴力団が,資金獲得のため,カジノへの関与に強い意欲を持つことは容易に想定される。 例えば,カジノ利用者をターゲットとしたヤミ金融,カジノ利用を制限された者を対象とした闇カジノの運営,VIP顧客送客に伴う紹介料徴収等,カジノ事業周辺領域での活動に参入し,資金を獲得する可能性がある。暴力団が関与することで,襲撃やけん銃発砲等の威力が行使され,カジノの従業員や利用客に被害が及ぶ危険性もある。カジノの健全な運営を確保するためには,カジノ入場者からの暴力団排除も不可避であるが,暴力団の潜在化傾向に鑑みれば,入口でどこまでチェックできるのか疑問も残る。また,我が国も加盟している,マネー・ローンダリング対策・テロ資金供与対策の政府間会合であるFATF(Financial Action Task Force:金融活動作業部会)の勧告において,カジノ事業者はマネー・ローンダリングに利用されるおそれの高い非金融業者として指定されている。仮に,カジノ事業者に対し,「犯罪による収益の移転の防止に関する法律」に基づく取引時確認,記録の作成・保存,疑わしい取引の届出を求めたとしても,マネー・ローンダリングを完全に防ぐことができるとは考えられない。
2.多重債務者・ギャンブル依存症の増大
カジノ解禁により予想される弊害の中でも,多重債務者・ギャンブル依存症の増大は特に深刻である。2010年(平成22年)6月の改正貸金業法の完全施行及び近時の政府等による多重債務者対策の拡充により,近年多重債務者は激減し,その結果として破産等の経済的に破綻する者や,経済的理由で自殺する者も大きく減少した(平成26年版自殺対策白書)。 しかし,カジノが解禁されれば,賭け金を捻出するために前述したヤミ金融から借入をするなど,経済的に破綻する者が増えることは容易に想像でき,多重債務問題の再燃が大きく懸念されるところである。経済的に破綻する者が増加すれば,経済的理由による自殺者や犯罪の増加など,本人のみならず,その家族・友人・無関係の第三者にも深刻な影響を及ぼすことからすると,社会に及ぼす損失は非常に大きい。また,日本には,既にパチンコ・競馬・競輪・競艇などのギャンブルが存在し,本年8月20日に発表された厚生労働省研究班の調査によれば,日本国内でギャンブル依存症の疑いがある者は,男性8.7%,女性1.8%とされ(推定536万人),諸外国が1%前後に過ぎない中で,有症率は世界的にみても極めて高い。この調査結果からしても,日本において,ギャンブル依存症が深刻な社会問題であることは明らかであ る。その一方で,現在の日本では,治療施設や相談機関の設置,社会的認知への取組みなど,ギャンブル依存症に対する治療体制や予防施策が不十分な状況である。以上のような 状況下でカジノを解禁した場合,ギャンブル依存症のさらなる拡大を招くおそれが極めて大きい 。
3.青少年の健全育成への悪影響
 本法案で想定されているカジノ施設は,宿泊施設や飲食施設,物品販売施設,エンターテイメント施設等と一体となって設置され複合的観光施設とされ,「統合型リゾート(IR)」と呼ばれるものである。IRでは,様々な施設がカジノと一体となっており,カジノそのものに青少年が入場することができないとしても,青少年が家族や友人と一緒に出かける先にカジノが存在するという環境になる。こうした環境では,青少年の賭博に対する抵抗感が喪失してしまうおそれがあり,青少年の健全育成という観点からも大きな問題がある。
4.経済効果への疑問
 本法案の立法目的には,経済の活性化が掲げられている。しかし,経済効果については,プラス面のみが喧伝され,マイナス面の客観的な検証はほとんどなされていない。暴力団対策,マネー・ローンダリング対策,多重債務者やギャンブル依存症患者の救済などに要する社会的コストの発生も考慮すると,これを上回る経済効果が発生するかは甚だ疑問である。実際,韓国,米国等では,カジノ設置自治体において,人口が減少したり,多額の損失を被ったという調査結果も存在する。仮に経済効果があったとしても,それにより地域経済がカジノ依存体質に陥れば,弊害を押さえ込むためにカジノ規制が必要となった場合でも,自治体財政を脅かす行為として忌避されてしまいかねない。
第4 結語
 以上のとおり,本法案には,多くの問題点があり,防止及び排除の具体策が何ら示されていないばかりか,それらの問題点の中には,一旦カジノが解禁されてしまえば防止及び排除が極めて困難なものも存する。したがって,現在刑法上禁止されているカジノを合法化するような正当な理由はなく,本法案を容認することはできない。IR議連は,与野党を問わず慎重な意見が根強く存することを踏まえ,日本人の利用に資格要件を設ける規定を盛り込む修正を行う方向である旨が報道されているが,仮にそのような限定を付したとしても,多重債務者・ギャンブル依存症の増大を含め,上記の問題点が払拭されるわけではない。よって,当会としては,本法案に強く反対し,その廃案を求める。
2014年(平成26年) 11月4日 山形県弁護士会 会長 峯田 典明

集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定に抗議し撤回を求める会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s020.html
今月1日,安倍内閣は,集団的自衛権に関する従来の憲法解釈を変更し,集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行った。日本国憲法は,第二次世界大戦の反省から,前文で平和的生存権を宣言するとともに,第9条において,戦争を永久に放棄し,戦力は保持せず,交戦権を否認し,恒久平和主義に基づく平和国家の建設を目指してきた。そして,これまで政府は,憲法第9条のもとでも日本を防衛するため必要最小限度の自衛権の行使は許されると解しながらも,「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を,自国が直接攻撃されていないにもかかわらず,実力をもって阻止する権利」である集団的自衛権については,必要最小限度の範囲を超えるものであって憲法上許されない旨表明し,この憲法解釈を30年以上にわたって一貫して維持してきた。ところが,安倍内閣は,「わが国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず,わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し,これによりわが国の存立が脅かされ,国民の生命,自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において,これを排除し,わが国の存立を全うし,国民を守るために他に適当な手段がないときに,必要最小限度の実力を行使すること」は,憲法上許容されるとの閣議決定を行った。行使の要件を限定しているとはいえ,その文言は極めて幅の広い不確定概念であり,恣意的な解釈がされる危険性が極めて大きい。この集団的自衛権の行使容認は,自国が直接攻撃されていないにもかかわらず他国のために戦争することを可能とし,戦争をしない平和国家としての日本の国の在り方を根本から変えるもので,恒久平和主義を基本原理とする憲法に明らかに違反する。また,このような憲法の基本原理に関わる重大な解釈の変更を憲法改正手続を経ず,また,国会での議論に先立って時の政府の判断で行うことは,憲法を最高法規と定め,国務大臣や国会議員に憲法尊重擁護義務を課して,政府や国会を憲法による制約の下に置こうとする立憲主義にも反し,到底許される行為ではない。よって,当会は,恒久平和主義を守り,立憲主義を堅持する観点から,安倍内閣が憲法解釈を変更し集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行ったことに強く抗議し,その撤回を求めるとともに,今後の関係法律の改正等が許されないことを明らかにし,反対するものである。
2014年(平成26年)7月8日山形県弁護士会 会長 峯田 典明

2244 ら特集山形弁護士会②

司法修習生に対する給付型の経済的支援を求める会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s032.html
司法修習生への給付型の経済的支援(修習手当の創設)については,この間,日本弁護士連合会・各弁護士会に対して,多くの国会議員から賛同のメッセージが寄せられているが,先日,同賛同メッセージの総数が,衆参両院の合計議員数717名の過半数である359名を超えた。まずはメッセージをお寄せいただいた国会議員の皆様に対し感謝の意と敬意を表するものである。
 メッセージを寄せられた国会議員は,与野党を問わず広がりを見せており,司法修習生への経済的支援の必要性についての理解が得られつつあるものと考えられる。
 そもそも,司法制度は,社会に法の支配を行き渡らせ,市民の権利を実現するための社会的インフラであり,国はかかる公共的価値を実現する司法制度を担う法曹になる司法修習生を,公費をもって養成するべきである。このような理念のもとに,我が国では,終戦直後から司法修習生に対し給与が支払われてきた。
 しかし,2011年11月から,修習期間中に費用が必要な修習生に対しては,修習資金を貸与する制度(貸与制)に変更された。この修習資金の負債に加え,大学や法科大学院における奨学金の債務を負っている修習生も多く,その合計額が極めて多額に上る者も少なくない。法曹を目指す者は,年々減少の一途をたどっているが,こうした重い経済的負担が法曹志望者の激減の一因となっていることが指摘されているところである。
 こうした事態を重く受け止め,法曹に広く有為の人材を募り,法曹志望者が経済的理由によって法曹への道を断念する事態が生ずることのないよう,また,司法修習生が安心して修習に専念できる環境を整えるため,司法修習生に対する給付型の経済的支援(修習手当の創設)が早急に実施されるべきである。昨年6月30日,政府の法曹養成制度改革推進会議が決定した「法曹養成制度改革の更なる推進について」において,「法務省は,最高裁判所等との連携・協力の下,司法修習の実態,司法修習終了後相当期間を経た法曹の収入等の経済状況,司法制度全体に対する合理的な財政負担の在り方等を踏まえ,司法修習生に対する経済的支援の在り方を検討するものとする。」との一節が盛り込まれた。これは,司法修習生に対する経済的支援の実現に向けた大きな一歩と評価することができる。 法務省,最高裁判所等の関係各機関は,有為の人材が安心して法曹を目指せるような希望の持てる制度とするという観点から,司法修習生に対する経済的支援の実現について,直ちに前向きかつ具体的な検討を開始すべきである。当会は,司法修習生への給付型の経済的支援(修習手当の創設)に対し,国会議員の過半数が賛同のメッセージを寄せていること,及び,政府においても上記のような決定がなされたことを踏まえて,国会に対して,給付型の経済的支援(修習手当の創設)を内容とする裁判所法の改正を求めるものである。
2016年(平成28年)1月20日 山形県弁護士会 会長安孫子 英彦

安保法制改定法案の参議院における採決強行に抗議する会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s030.html
本日,参議院本会議において,「平和安全法制整備法案」及び「国際平和支援法案」(以下併せて「本法案」という。)の採決が強行され,成立した。集団的自衛権の行使を容認する本法案は,自国が直接攻撃されていないにもかかわらず他国のために戦争をすることを可能とし,海外での武力行使の道を開くもので,恒久平和主義を基本原理とする憲法に明らかに違反する。
 また歴代内閣も長年,わが国の憲法の下では集団的自衛権の行使を許されないとの見解を維持してきたのに,憲法の基本原理にかかわる変更を憲法改正手続を経ることなく行うのは立憲主義にも反し,到底許される行為ではない。かかる見地から当会は,これまで日本弁護士連合会や他の弁護士会とともに,本法案に反対してきた。弁護士会のみならず,多数の憲法学者,元最高裁判所長官を含む元最高裁判所裁判官,元内閣法制局長官らが,本法案は違憲であると指摘している。
 また,国会での審議が重ねられるに従い,国民の本法案への疑問,そして反対の声が大きくなり,報道機関による各種世論調査によっても,国民の意見は,今国会において本法案を成立させるべきないというものが多数を占めている。
 このような状況にあるにもかかわらず,本年9月17日,参議院特別委員会で本法案の採決を強行され,本日,参議院本会議で賛成多数により可決成立するに至ったことは,憲法の基本原理を破壊し,憲法による権力の縛りを自ら破壊するともに,民主主義の源泉としての国民の声を無視するもので,正に暴挙といわなければならない。
 よって,当会は,本法案の採決の強行に強く抗議し,成立した憲法違反の安保法制の速やかな廃止を求めるとともに,法律家の団体として,恒久平和主義や立憲主義を堅持する立場から,それに向けた取組に引き続き全力を尽くす決意であることをここに表明する。
2015年(平成27年)9月19日 山形県弁護士会 会 長  安孫子 英彦

少年法の適用年齢の引下げに反対する会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s029.html
自由民主党は,少年法の適用対象年齢等の引下げに関し,「成年年齢に関する特命委員会」を設置し,検討を始めた。しかし,少年法は,少年の可塑性・未成熟性に着目し,少年への教育的な働きかけやその環境の調整を行い,少年の立直りをはかることを目的とするものであって,基本的に成人を対象とする刑法とは,その目的や機能が異なるものであり,以下のとおり,少年法の適用年齢を引き下げるべき理由はない。
 少年法の適用年齢引下げの議論がなされる背景には,①少年事件が凶悪化している,②少年法が十分に機能していない等の意見がみられる。しかし,少年事件が凶悪化しているという指摘には,客観的根拠がない。司法統計年報によれば,少年事件に関しては,家庭裁判所の終局決定人員中,殺人(未遂等も含む。)の事件数は,昭和40年代頃までは,200件を超えていたが,その後,長期的に見れば減少を続け,平成20年以降は,40件以下で推移している。このうち,殺人既遂の事件数は,統計上確認することができる平成13年以降については,多い年でも年間20件前後に留まっている。少年の殺人事件は,少年事件全体の数からみれば,発生件数が限られており,不幸にも発生した一部の事件にのみ着目し,少年法を改正する根拠とすべきではない。
 また,その他凶悪事件とされる強盗事件や強姦事件についても,家庭裁判所での終局決定事件数は,増加の傾向にはない。また,少年法が十分機能していないとの批判も,客観的根拠に基づいたものではない。少年司法手続においては,18歳及び19歳の年長少年を含め,罪を犯したと考えられる少年は全て家庭裁判所に送致される。そして,医学,心理学,教育学,社会学等の知識を活用し,少年の成育歴等にまで踏み込んだ家庭裁判所調査官による社会調査,必要がある場合には付添人による援助及び少年鑑別所における資質鑑別がなされた上で処分を決めており,十分機能していないとの批判には根拠はない。むしろ,成人では比較的軽微とされ,懲役刑に至らない事件であっても,少年事件においては,少年院送致がなされる場合がある等,成人と比して厳しい側面もある。少年法は,少年自身の責任とすることのできない家庭等の環境上の問題等により,課題を抱える少年に対して,専門的な知見に基づいてきめ細かな対応をするものであって,このような少年法の理念や取組みが機能していない等とする根拠はない。
 仮に少年法の適用年齢を18歳未満に引き下げると,18歳及び19歳の少年が成人と同様の手続で処分されることになる。成人事件における公判請求率が,例えば平成25年は約7.3%であることからすれば,適用年齢の引下げによって,これまで全件が家庭裁判所に送致され,少年に対し,一定の調査や働きかけ,環境の調整等が図られていたにもかかわらず,そのほとんどのケースにこのような対応がなされないとの結果をもたらす。
 このような少年法改正は,少年の更生の機会を奪い,少年の再犯リスクを高める結果となりかねない。適用年齢引下げの議論は重大事件を念頭に置いてなされていると思われるが,少年法の適用年齢の引下げについて議論するのであれば,限られた個別の事件にのみ着目して十分な根拠もなく議論をするのではなく,統計等のデータや少年法に基づきこれまでなされた各種の取組みや成果を踏まえて,根拠に基づいた議論をすべきである。
 ことに,現行の制度においても,重大な少年犯罪については検察官に送致して成人と同じ刑事裁判を受けさせることが可能である。少年が刑事裁判を受けた場合の刑罰についても,2014年6月に厳罰化する方向での改正が行われたばかりである。この改正の結果の検証もないままにまた改正が行われるのは,非科学的な議論であるとの誹りを免れない。 さらに,公職選挙法の改正によって選挙権が18歳から与えられたことを念頭に少年法の適用年齢引き下げについて議論されている面もあると思われるが,この点に関しても,選挙権が与えられている年齢と少年法の適用年齢が連動すべきという理由はない。法律の適用区分はその法律ごとの目的に応じて個別に決められるべきものである。例えば,民法では法律行為の能力をもつのは20歳とされているが,親の承諾なく養子縁組ができるのは15歳からとされている。これらは選挙権の付与とは違う目的で定められているのであり,18歳に統一する必要はないし,すべきでもない。
 以上のとおりであるから,当会は,少年法の適用年齢の引下げに強く反対するとともに,本件に関し,少年法固有の問題を十分に検討することを強く要請する。
2015年(平成27年)8月25日 山形県弁護士会 会 長  安孫子 英彦
 
山形県弁護士会
ttp://www.yamaben.or.jp/html/kai4.html
司法試験年間合格者数を現状から大幅に減員することを求める声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s028.html
 1. 2013年(平成25年)9月17日の閣議決定により,法曹養成制度改革推進会議の開催が決まり,その下で法曹養成制度改革顧問会議が約2年近くにわたって開催され,その2014年(平成26年)5月から8月までの間に法律相談来訪者,企業,地方自治体に対してなされたアンケートその他の情報をもとにして作成された法曹人口調査報告書(平成27年4月,以下,単に「調査報告書」という。)を受け,本年6月30日,同推進会議は,法曹人口問題について取りまとめを行った。その取りまとめは,司法試験年間合格者数について,「1,500人程度は輩出されるよう,必要な取組を進め,更にはこれにとどまることなく,関係者各々が最善を尽くし,社会の法的需要に応えるために,今後もより多くの質の高い法曹が輩出され,活躍する状況になることを目指すべきである」とした。
2. 2013(平成25)年12月以降,複数の弁護士会の連名で4回にわたって,法曹養成制度改革推進会議,同顧問会議,同推進室に対し,司法試験年間合格者数の大幅な減員を求める申し入れを行ってきた。この申し入れにおいては,特に現状の司法試験合格者数の下で弁護士の供給過多を招いた結果,新人弁護士の就職難や即独などにより極端なOJT不足による質の低下や法曹志望者の激減などの現状の問題点を指摘してきた。とりわけ法曹志望者の激減は顕著であり,法科大学院全国統一適性試験の受験者は,2014年(平成26年)で4,091人,2015年(平成27年)で3,517人となり,法科大学院への実入学者数も2014年(平成26年)で2,272人(入試の競争倍率2倍)が2015年(平成27年)には2,201人(同1.87倍)であり,実質的な競争も確保できない状況に陥っている。
3.(1) ところが調査報告書では将来における法的需要について,それが未だ顕在化せず,その見込みも明らかでないものを需要見込みと位置付けるなど,その内容は具体的根拠に乏しいものである。 司法試験合格者数が激増して以降,企業や地方自治体では,法曹(有資格者)の需要があると言われながら,この間,需要が顕在化していない。調査報告書によっても,企業に対する調査では,「法曹有資格者を採用しているか」との問いに対し,大企業においては76.2%,中小企業においては98.1%が「法曹有資格者を採用していないし,今後も採用する予定はない」と回答し,地方自治体も同様の傾向を示しており,87.3%の地方自治体が「法曹有資格者を採用していないし,今後も採用する予定はない」と回答しており,これを裏付けている。
(2) 2012年(平成24年)4月に総務省が公表した「法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価」では,3,000人の合格目標は未達成であるが,国民の立場からは,未達成による大きな支障は認められないとされただけでなく,現在の2,000人の増員を吸収する需要の顕在化はなく,弁護士の供給過多により就職難が発生し,OJT不足による質の低下の懸念が指摘されていた。
(3) 訴訟事件数(地方裁判所及び簡易裁判所における新受件数(調停事件を含まない))は,2009年(平成21年)の893,735件をピークに減少の一途を辿っている。この2009年(平成21年)までの訴訟件数の増加も,いわゆる消費者金融に対する過払金返還訴訟が押し上げただけであったが,これも既に収束に向かっており,現状では,司法制度改革が始まった2001年(平成13年)以前の水準となり,2013年(平成25年)では481,136件にまで減少した状態にある。家庭裁判所の新受件数も家事審判事件が2012年(平成24年)672,690件,2013年(平成25年)734,228件と増加傾向があるものの,同各年次でも家事調停事件は141,802件が139,593件,人事訴訟事件は11,409件が10,594件へと減少に転じている。
4. しかしながら,取りまとめは,これまで司法試験合格者を毎年1,800人ないし2,100人程度の規模で輩出してきたことについて「一定の相当性」があるなど実際の問題点を把握していないと言わざるを得ない。法曹志願者減少の現状は一刻も放置できない状況である。法曹養成制度検討会議が2013年(平成25年)6月26日の取りまとめにおいて,「このままでは法曹志願者が減少し,多様で有為な人材を法曹に確保することが困難となる危機に直面している」とし,これを受けた同年9月17日の閣議決定において「法曹養成制度の改革を総合的かつ強力に実行するため」に法曹養成制度改革推進会議が設置されたにも関わらず,今回の取りまとめでは改革案としては極めて不十分である。司法試験年間合格者数については,現実の法的需要を前提に,法曹志望者の激減などの司法の危機的状況を脱するに足る大幅な減員が不可欠である。そこで,私たち弁護士会は,司法試験年間合格者数を現状から大幅に減員することを求めるとともに,今後もなお一層,その実現のために尽力する次第である。
2015(平成27)年7月30日
埼玉弁護士会 会長   石  河  秀  夫
千葉県弁護士会会長   山  本  宏  行
栃木県弁護士会会長   若  狭  昌  稔
群馬弁護士会 会長   橋  爪     健
山梨県弁護士会会長   關  本  喜  文
長野県弁護士会会長   髙  橋  聖  明
新潟県弁護士会会長   平    哲   也
兵庫県弁護士会会長   幸  寺     覚
富山県弁護士会会長   水  谷  敏  彦
山口県弁護士会 会長   清  水  弘  彦
佐賀県弁護士会会長   江  崎  匡  慶
大分県弁護士会会長   西  畑  修  司
鹿児島県弁護士会会長  大  脇  通  孝
仙台弁護士会会長    岩  渕  健  彦
福島県弁護士会会長   大  峰     仁
山形県弁護士会会長   安 孫 子  英 彦
青森県弁護士会会長   竹  本  真  紀
札幌弁護士会会長    太  田  賢  二

安全保障法制改定法案の衆議院での可決に抗議する会長声明(案)
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s027.html
安全保障法制等の改定法案が昨日,衆議院で可決され,参議院に送付された。集団的自衛権の行使を容認する本法案は,自国が直接攻撃されていないにもかかわらず他国のために戦争をすることを可能とし,海外での武力行使の道を開くもので,恒久平和主義を基本原理とする憲法に明らかに違反する。また歴代内閣も長年,わが国の憲法の下では集団的自衛権の行使を許されないとの見解を維持してきたのに,憲法の基本原理にかかわる変更を憲法改正手続を経ることなく行うのは立憲主義にも反し,到底許される行為ではない。かかる見地から当会は,これまで日本弁護士連合会や他の弁護士会とともに,本法案に反対してきた。去る6月4日,衆議院憲法審査会に参考人として招かれた憲法学者3人が全員,本法案の内容は憲法違反であるとの意見を陳述したように,憲法学者の多くも,本法案が違憲であるとの指摘を行っている。また,報道機関による各種世論調査によっても,国民の意見は,本法案を違憲,反対とするものが多数を占めている。このような状況にあるにもかかわらず,政権与党が一昨日,特別委員会で本法案の採決を強行し,昨日これを衆議院本会議で賛成多数により可決したことは,憲法の基本原理を破壊し,憲法による権力の縛りを自ら破壊する正に暴挙といわなければならない。よって,当会は,これに強く抗議し,本法案を今後,廃案とするよう求めるとともに,法律家の団体として,恒久平和主義や立憲主義を堅持する立場から,それに向けた取組に引き続き力を尽くすことをここに表明する。 
2015年(平成27年)7月17日 山形県弁護士会 会 長  安孫子 英彦

原発事故による避難者に対する住宅無償提供終了に反対する会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s026.html
東日本大震災以来,被災者に対する無償住宅提供は,災害救助法に基づき1年ごとに期限が延長されてきたところ,本年6月15日,福島第一原発事故により政府からの避難指示を受けずに避難したいわゆる「自主的避難者」について,福島県は,避難先の住宅の無償提供を2016年度(平成28年度)で終える方針を決定した。これにより,原発事故による自主的避難者への住宅提供は2017年(平成29年)4月以降延長されず,打ち切られるということになる。 自主的避難者は,政府による避難指示区域外から避難したということで「自主」と呼ばれるが,自ら望んで避難生活を選んだ者はいない。放射能による健康被害に不安を持ち,避難生活を選択せざるを得なかったという点では,避難指示区域からの避難者と本来変わるものではない。そして,自主的避難者の多くは,災害救助法に基づく無償住宅の提供を各自治体から受けて生活している。山形県内にも2015年(平成27年)6月4日現在,福島県内からの避難者は合計3539人いるとされているが(山形県発表),この中にも自主的避難者が多数存在し,その多くは無償住宅の提供を受けて生活している。自主的避難者の中には,仕事を失った者,子どもを転校させた者,家族と別れて生活している者などが多数存在し,その精神的・経済的負担は測りしれない。しかしながら,東京電力から受けている賠償額は不十分であり,生活費増加分や交通費すら十分に支払われていないのが現状である。そのような中で,自治体から無償で提供されている住宅は避難生活を続けるための重要な支えとなっている。山形県が2014年(平成26年)10月24日に公表した避難者アンケート調査の結果によれば,避難の理由として53.4%が「放射能による健康への影響が心配なため」をあげている。また,今の生活で困っていること・不安なことについては,「生活資金のこと」が 63.7%と最も多く,次いで「住まいのこと」,「自分や家族の身体の健康」「避難生活の先行きが見えないこと」の順となっており,それぞれ 40%を超えている。住居に関して困っていることについては,「入居期限があること」が 50.8%と最も多くなっている。仮に無償住宅の提供が打ち切られれば,福島県への帰還を迫られることになり,避難先での仕事,学校生活,その他ようやく築きあげた人間関係を捨てざるを得ないことになるが,それは容易なことではない。一方で,避難生活の継続を選択すれば,家賃負担が重くのしかかり,経済的困窮に立たされる可能性が高い。避難者にこのような選択を迫ることは避けなければならない。自主的避難者に対しても幸福追求権(憲法13条),生存権(憲法25条)に鑑みて,将来的な生活支援のための計画が立てられなければならないものである。当会では,2014年(平成26年)3月11日,福島県弁護士会及び新潟県弁護士会と共同で,「原発事故被害者に寄り添い,支援を続けていくことの共同宣言」を発表している。ここでは,福島原発事故によって被害にあった方々が,その滞在,避難,帰還,定住いずれを選択した場合であっても,適切な支援を受けられるよう,被害者に寄り添い,共同して支援を続けていくことを宣言している。今回の福島県の決定は,被害者が避難という選択をした場合の適切な支援を一方的に打ち切るものであり,「避難する権利」の侵害という観点から,到底許されるべきではない。よって,当会は,福島県に対し,自主的避難者への住宅無償提供を打ち切るという方針を直ちに撤回するように求めるとともに,政府に対し,原発事故被害者の意向や生活実態に応じた立法措置を早急に講じるよう求める。

2015年(平成27年)6月18日 山形県弁護士会 会長  安孫子 英彦

2243 ら特集山形弁護士会①

司法修習生に対する給付型の経済的支援を求める会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s032.html
司法修習生への給付型の経済的支援(修習手当の創設)については,この間,日本弁護士連合会・各弁護士会に対して,多くの国会議員から賛同のメッセージが寄せられているが,先日,同賛同メッセージの総数が,衆参両院の合計議員数717名の過半数である359名を超えた。まずはメッセージをお寄せいただいた国会議員の皆様に対し感謝の意と敬意を表するものである。メッセージを寄せられた国会議員は,与野党を問わず広がりを見せており,司法修習生への経済的支援の必要性についての理解が得られつつあるものと考えられる。そもそも,司法制度は,社会に法の支配を行き渡らせ,市民の権利を実現するための社会的インフラであり,国はかかる公共的価値を実現する司法制度を担う法曹になる司法修習生を,公費をもって養成するべきである。このような理念のもとに,我が国では,終戦直後から司法修習生に対し給与が支払われてきた。しかし,2011年11月から,修習期間中に費用が必要な修習生に対しては,修習資金を貸与する制度(貸与制)に変更された。この修習資金の負債に加え,大学や法科大学院における奨学金の債務を負っている修習生も多く,その合計額が極めて多額に上る者も少なくない。法曹を目指す者は,年々減少の一途をたどっているが,こうした重い経済的負担が法曹志望者の激減の一因となっていることが指摘されているところである。こうした事態を重く受け止め,法曹に広く有為の人材を募り,法曹志望者が経済的理由によって法曹への道を断念する事態が生ずることのないよう,また,司法修習生が安心して修習に専念できる環境を整えるため,司法修習生に対する給付型の経済的支援(修習手当の創設)が早急に実施されるべきである。昨年6月30日,政府の法曹養成制度改革推進会議が決定した「法曹養成制度改革の更なる推進について」において,「法務省は,最高裁判所等との連携・協力の下,司法修習の実態,司法修習終了後相当期間を経た法曹の収入等の経済状況,司法制度全体に対する合理的な財政負担の在り方等を踏まえ,司法修習生に対する経済的支援の在り方を検討するものとする。」との一節が盛り込まれた。これは,司法修習生に対する経済的支援の実現に向けた大きな一歩と評価することができる。法務省,最高裁判所等の関係各機関は,有為の人材が安心して法曹を目指せるような希望の持てる制度とするという観点から,司法修習生に対する経済的支援の実現について,直ちに前向きかつ具体的な検討を開始すべきである。当会は,司法修習生への給付型の経済的支援(修習手当の創設)に対し,国会議員の過半数が賛同のメッセージを寄せていること,及び,政府においても上記のような決定がなされたことを踏まえて,国会に対して,給付型の経済的支援(修習手当の創設)を内容とする裁判所法の改正を求めるものである。2016年(平成28年)1月20日 山形県弁護士会 会長安孫子 英彦

安保法制改定法案の参議院における採決強行に抗議する会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s030.html
本日,参議院本会議において,「平和安全法制整備法案」及び「国際平和支援法案」(以下併せて「本法案」という。)の採決が強行され,成立した。集団的自衛権の行使を容認する本法案は,自国が直接攻撃されていないにもかかわらず他国のために戦争をすることを可能とし,海外での武力行使の道を開くもので,恒久平和主義を基本原理とする憲法に明らかに違反する。また歴代内閣も長年,わが国の憲法の下では集団的自衛権の行使を許されないとの見解を維持してきたのに,憲法の基本原理にかかわる変更を憲法改正手続を経ることなく行うのは立憲主義にも反し,到底許される行為ではない。かかる見地から当会は,これまで日本弁護士連合会や他の弁護士会とともに,本法案に反対してきた。弁護士会のみならず,多数の憲法学者,元最高裁判所長官を含む元最高裁判所裁判官,元内閣法制局長官らが,本法案は違憲であると指摘している。また,国会での審議が重ねられるに従い,国民の本法案への疑問,そして反対の声が大きくなり,報道機関による各種世論調査によっても,国民の意見は,今国会において本法案を成立させるべきないというものが多数を占めている。このような状況にあるにもかかわらず,本年9月17日,参議院特別委員会で本法案の採決を強行され,本日,参議院本会議で賛成多数により可決成立するに至ったことは,憲法の基本原理を破壊し,憲法による権力の縛りを自ら破壊するともに,民主主義の源泉としての国民の声を無視するもので,正に暴挙といわなければならない。よって,当会は,本法案の採決の強行に強く抗議し,成立した憲法違反の安保法制の速やかな廃止を求めるとともに,法律家の団体として,恒久平和主義や立憲主義を堅持する立場から,それに向けた取組に引き続き全力を尽くす決意であることをここに表明する。2015年(平成27年)9月19日 山形県弁護士会 会 長  安孫子 英彦

少年法の適用年齢の引下げに反対する会長声明
ttp://www.yamaben.or.jp/html/semei_ketsugi/s029.html
自由民主党は,少年法の適用対象年齢等の引下げに関し,「成年年齢に関する特命委員会」を設置し,検討を始めた。しかし,少年法は,少年の可塑性・未成熟性に着目し,少年への教育的な働きかけやその環境の調整を行い,少年の立直りをはかることを目的とするものであって,基本的に成人を対象とする刑法とは,その目的や機能が異なるものであり,以下のとおり,少年法の適用年齢を引き下げるべき理由はない。少年法の適用年齢引下げの議論がなされる背景には,①少年事件が凶悪化している,②少年法が十分に機能していない等の意見がみられる。しかし,少年事件が凶悪化しているという指摘には,客観的根拠がない。司法統計年報によれば,少年事件に関しては,家庭裁判所の終局決定人員中,殺人(未遂等も含む。)の事件数は,昭和40年代頃までは,200件を超えていたが,その後,長期的に見れば減少を続け,平成20年以降は,40件以下で推移している。このうち,殺人既遂の事件数は,統計上確認することができる平成13年以降については,多い年でも年間20件前後に留まっている。少年の殺人事件は,少年事件全体の数からみれば,発生件数が限られており,不幸にも発生した一部の事件にのみ着目し,少年法を改正する根拠とすべきではない。また,その他凶悪事件とされる強盗事件や強姦事件についても,家庭裁判所での終局決定事件数は,増加の傾向にはない。また,少年法が十分機能していないとの批判も,客観的根拠に基づいたものではない。少年司法手続においては,18歳及び19歳の年長少年を含め,罪を犯したと考えられる少年は全て家庭裁判所に送致される。そして,医学,心理学,教育学,社会学等の知識を活用し,少年の成育歴等にまで踏み込んだ家庭裁判所調査官による社会調査,必要がある場合には付添人による援助及び少年鑑別所における資質鑑別がなされた上で処分を決めており,十分機能していないとの批判には根拠はない。むしろ,成人では比較的軽微とされ,懲役刑に至らない事件であっても,少年事件においては,少年院送致がなされる場合がある等,成人と比して厳しい側面もある。少年法は,少年自身の責任とすることのできない家庭等の環境上の問題等により,課題を抱える少年に対して,専門的な知見に基づいてきめ細かな対応をするものであって,このような少年法の理念や取組みが機能していない等とする根拠はない。仮に少年法の適用年齢を18歳未満に引き下げると,18歳及び19歳の少年が成人と同様の手続で処分されることになる。成人事件における公判請求率が,例えば平成25年は約7.3%であることからすれば,適用年齢の引下げによって,これまで全件が家庭裁判所に送致され,少年に対し,一定の調査や働きかけ,環境の調整等が図られていたにもかかわらず,そのほとんどのケースにこのような対応がなされないとの結果をもたらす。このような少年法改正は,少年の更生の機会を奪い,少年の再犯リスクを高める結果となりかねない。適用年齢引下げの議論は重大事件を念頭に置いてなされていると思われるが,少年法の適用年齢の引下げについて議論するのであれば,限られた個別の事件にのみ着目して十分な根拠もなく議論をするのではなく,統計等のデータや少年法に基づきこれまでなされた各種の取組みや成果を踏まえて,根拠に基づいた議論をすべきである。ことに,現行の制度においても,重大な少年犯罪については検察官に送致して成人と同じ刑事裁判を受けさせることが可能である。少年が刑事裁判を受けた場合の刑罰についても,2014年6月に厳罰化する方向での改正が行われたばかりである。この改正の結果の検証もないままにまた改正が行われるのは,非科学的な議論であるとの誹りを免れない。さらに,公職選挙法の改正によって選挙権が18歳から与えられたことを念頭に少年法の適用年齢引き下げについて議論されている面もあると思われるが,この点に関しても,選挙権が与えられている年齢と少年法の適用年齢が連動すべきという理由はない。法律の適用区分はその法律ごとの目的に応じて個別に決められるべきものである。例えば,民法では法律行為の能力をもつのは20歳とされているが,親の承諾なく養子縁組ができるのは15歳からとされている。これらは選挙権の付与とは違う目的で定められているのであり,18歳に統一する必要はないし,すべきでもない。以上のとおりであるから,当会は,少年法の適用年齢の引下げに強く反対するとともに,本件に関し,少年法固有の問題を十分に検討することを強く要請する。2015年(平成27年)8月25日 山形県弁護士会 会長  安孫子 英彦